コンパクトな箱の中に実現した非日常空間|大輪建設

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o01ワンルームの大空間に高低と明暗のメリハリを盛り込んで

緩やかに連続しながらも変化に富んだスキップフロアに。

o02自宅横の敷地を、隣り合う者同士で購入し、分け合うことになったUさん夫妻。約15坪の敷地に「離れ」としての建物を計画することになりました。「信州に別荘を持ちたい夢が隣で現実のものになりました」とご主人。設計を手掛けた建築家、進藤勝之さんは「隣にご自宅があるので生活機能はそちらで足りる。こちらは普段の生活から切り離された非日常の場として設計しました」と意図を説明します。敷地に計画されたのは、間口3.5m×奥行き8.5mの総2階、箱形の建物です。「規模が小さいので、気積を最大限に確保しました」と進藤さん。ワンルームの空間の中央には、耐力壁を含んだ大きな壁を配置。その脇に階段を設置して、ダイニングキッチンから、リビング、寝室へと半階ずつ展開していくスキップフロアの構成に。動線を最大限に取って室内全体を巡ることで、視線は上下左右に伸び、常に新鮮な視界を楽しむことができます。レベルの高低、採光の明暗差なども意識的に取り入れた設計により、シンプルな箱形の建物の中には、これまで見たことのない空間が生まれました。

自転車、ワイン、料理、音楽、友人との語らい…e.t.c.。

日常から隔絶されたサロン的空間でくつろぎの時間を過ごす。

o03ガルバリウム鋼板で覆われた建物のファサードでひときわ目立つのが、木製のドアです。表面はヤリガンナで仕上げられ、微妙な凹凸が木材ならではの温もりを引き立たせることに。

ドアを開けると、ご夫婦の趣味であるロードバイクのためのスペース。ガラスをはめ込んだ戸の向こうには、約5mの高さがある吹き抜けとダイニングキッチンがあります。

吹き抜けを巡るように構成されたダイニングキッチン、リビング、寝室の3つのフロアは、高低差が付けられながらも連続しており、ダイナミックなワンルームの空間に。

床は杉の無垢板、壁には構造用合板で仕上げられ、間取りの中央で吹き抜けを貫く耐力壁にはフレキシブルボードが張られました。

「内装には、表面と内部が同じもので出来ている素材を使いました。経年変化によって味わいが増す空間になるような仕様にしています」と進藤さん。

いわば「素」の材料を美しく仕上げたのは、大輪建設の施工チーム。単なる構造用合板であっても意匠性を損なわないように目地を互い違いに張り、木目の方向にも配慮してすっきりと施工しています。ほかに例を見ない仕様と空間とあって、現場が進行するごとに施主、設計者、施工者の三者で打ち合わせを重ね、仕上がりを確認して、調整しながら完成度を高めていきました。

o04「フレキシブルボードを留めるビスひとつから、決めていきましたね」とご主人は振り返ります。木質材とは対照的なハードな質感を漂わせるフレキシブルボードは、ワンルームの室内をゾーニングしながら、それと同時にその向こうの空間を意識させることで、深みのある奥行きを生み出しています。南には2m四方の大きなFIX窓を設置。室内全体に明るい自然光を行き渡らせています。窓には窓枠の中に仕込まれた半透明のカーテンにより、近隣の住宅をシルエットにしてしまうことで、日常の風景と距離を置きました。そのほかの窓にはフロストガラスを入れ、通風と採光のみに機能を絞り込んでいます。夫妻は自宅での夕食を終えると、こちらにやってきて、ゆっくりと音楽とワインを楽しむのだとか。

「レコードをかけてワインを飲んでいると、ライブハウスで一杯やっているような気分になります」とご主人。収納や洗面室など家事をイメージさせる要素がないため、奥様も「気兼ねなくリラックスできます」と笑います。今では毎週のように友人を招いては、杯を酌み交わすひとときを楽しんでいるそうです。自転車置き場になっている玄関土間には配管が通っているため、将来、浴室を設けることも可能。そんな可変性も備えた「離れ」は、夫妻の暮らしに刺激と潤いを与える場となっています。


施工 大輪建設株式会社

滋賀県大津市別保ニ丁目9番48号 Tel 077-537-0751