石巻の家|kotori

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耐力壁を外周に配置してリビングを広々と。

吹き抜けを通して東西に風の流れを計画。

kotoriの設計担当、原茂貴さんは、基本設計の段階から「構造をどのように組んで建物を構成するか、常に意識している」といいます。「石巻の家」では、建物の周囲に広がる緑の景観を生かし、広がりのある住空間をつくり出すため、リビングの南と東に大きな開口部を設置。東側には薪ストーブを配しました。

薪ストーブの背後は、一般的には耐熱材を張った耐力壁を入れるところですが、景観を望む視界と開放感を確保するため、耐熱ガラスに。必要になる耐力壁は、南北の壁と西側の外周部に振り分けられました。

ishi02ワンルームの広いLDK には吹き抜けが設けられる一方、キッチンの上部には2階の個室が載せられた形に。その荷重を支えるため、リビングの天井に一部表れた梁は、600mm の梁せいとなりました。柱や耐力壁に遮られることなく、広く確保された室内空間は、将来の間取り変更も容易です。

また、構造の自由度を生かし、通風・採光についても配慮しています。1階で取り込んだ風は吹き抜けを通じて2階へ、そして2階の居室の窓から排気するという、東西の風の流れが計画されました。

1階の梁の上部には2階へ続く開口部も用意。窓の引き戸を開ければ、風が通り抜けていきます。
南と東の大開口に対しては、その外側に設けられたウッドデッキを覆うように軒の出があり、真夏の直射日光をカットしながら、冬の低い日差しは取り込むように計画されました。

「当社のような歴史が浅く、規模の小さな会社では、SE構法による構造の信頼性や精度というのは、お客様に対して提供できる保険・保証のようなもの。同時に、SE構法を生かして通風・採光計画については特に重視し、気持ちのいい空間づくりができるように考えています」と今泉さんは話します。


内外観に取り込まれた薪ストーブを中心に。

大屋根が印象的な北欧モダンの住まい。

愛知県豊橋市の郊外、緑豊かな地域にある「石巻の家」。青空と里山を背景に、おおらかな大屋根と深い軒の出を持つ、シャープなフォルムが印象的です。「環境に恵まれた敷地だったので、この土地ならではの建物になるよう、周囲の自然環境と対比して、お互いに引き立て合うようなデザインを目指しました」。設計を担当した原さんはこのように説明します。

ishi03以前、この場所には施主のSさんのお祖母様の住宅が建っていました。「築40年の木造住宅で、冬は底冷えが厳しいので、寒さはなんとかしたかったですね」と奥様。そこで、躯体には発泡ウレタンを吹き付けて気密・断熱性を高める一方、リビングには薪ストーブを設置。冬の日差しを取り込む開口部とともに、大空間のLDKを効率よく、心地よく暖めています。夏は、綿密な通風計画に基づく通気により、気持ちのいい風が抜けます。1年を通じて快適な温熱環境に。

約24 畳のLDKは、南北に架けられた梁によって、リビングとダイニング・キッチンとにゾーニング。リビングには勾配天井の吹き抜けがあり、東と南の大開口によって、開放感のある空間に仕上げられました。
「素晴らしい景観があるので、最大限に取り込みたかった」という原さんの配慮により、東側の壁面には、薪ストーブの背後も含め、一面に開口部を配置しました。

東側の開口部と合わせ、パノラマ状に視界が確保され、リビングには、屋外にいるかのような開放感が。薪ストーブは屋根を貫く煙突も含め、内外で存在感を発揮し、この家のシンボルとして強い印象を残しています。

室内では、周囲の自然とフィットするように、床にはナラの無垢材が張られ、インテリアは白を基調とした北欧モダンのスタイルにコーディネートされました。トーンの明るい内装は、窓から差し込む自然光を柔らかく受け止めて、部屋全体を包み込むような温もりが広がっていきます。
リビングの西側には、すっきりとまとめられた空間を損なわないよう、踏み板のみとなった片持ち階段を設置。浮遊感を楽しみながら2階へと続く動線を演出しています。

ishi04 2階は約12畳の個室。家族構成に変化があったときに対応できるよう、出入り口や収納が2つずつ用意され、2部屋に分けることも可能なつくりになっています。この部屋には、外に向いた窓のほか、1階で取り込まれた風の抜け道として吹き抜けに面した地窓も設けられました。「石巻の家」の室内における通気計画の重要な経路のひとつとしても機能しています。

LDKのほか、寝室、洗面・浴室などは1階にまとめられ、ほぼ平屋のような生活動線に。建物の東側中央部に玄関を置き、LDKと寝室を左右に振り分けることで、プライバシーを守っています。

kotoriという会社の名前は、「子と里」が由来。子どもや人が集まる里のような家にしたい、という思いがこもっています。
「石巻の家」も、オープンなLDKはもとより、L字型のウッドデッキや眺めのいい2階、ホールと連続する玄関など、おおらかに人を迎え入れる温もりに満ちた住まいに。
「目指すところは毎回同じでも、前と同じことはしたくない。常に新しいことを見つけ出し、進化し続ける提案を行っていきたい」という今泉さんと原さんの方針は、「石巻の家」でも見事に結実しています。

 

設計・施工 株式会社kotori
愛知県豊川市八幡町亀ケ坪120-7 Tel 0533-75-6266