BLITZ COFFEE|カーポス工作所

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広い駐車場と倉庫のような雰囲気を持った建物は、富士山の眺めも楽しめるカフェでした。line_lite

「建築前はウィークポイントしか見えない土地で、神主さんに『家はどこに建てるの?』と聞かれるほど」
地鎮祭での出来事を笑顔で話すのはカーポス工作所の森岡耕三さんです。
静岡県富士市の国道139号と凡夫川に挟まれた場所にあるBLITZ COFFEEは、2階が店舗、1階が6台分の駐車場という構成。物件を見る限り、森岡さんの言葉は想像できません。
しかし、北側にある凡夫川から見ると、川の斜面ギリギリに建物があることがわかります。しかも川面から地面までは7m ほどあり、かなりきつい傾斜になっています。「土地のヘリもうねっていて、弱点ばかりに見える。だからこそ、アイデア次第だと思いましたね」
c02 最初の段階ではRCで地中に埋設することも考えたそうですが、造成工事に1,000万円以上かかるとわかりました。そこで森岡さんは建物が軽く、コストが削減できるSE構法を採用することに決めました。
「大きなスパンが取れるし、カフェ内も広々とした空間になる。木造であれば自重が軽いので基礎の持ち出しも可能です。それに2 階からの眺めも得られる。SE構法がこの土地を攻略するための武器になりました」
依頼したのはBLITZ COFFEEのオーナー、白川澄人さん。最初に喫茶店を開いた10年以上前から、カーポス工作所のファンだったと明かします。「多くの店舗を手掛けていることも知っていましたし、それらに足を運んだりもしていました。実際にお目にかかって話をしたら、お互いに“ 倉庫の雰囲気が好き”ということもわかり、トントン拍子に進みました」
一方、森岡さんは設計する上での考え方を「使い方次第でいかようにでも造作できる、シンプルな箱を提案し、提供することが設計屋の仕事だと思っています。今回はSE構法を使えば、“ 間違いなくいいモノができる”と確信していました」と語ります。

line_lite傾斜地のウィークポイントを利点に変えたのは

69本もの杭を使って完成した堅牢な基礎。line_lite

 この物件の特徴は見えないところにあります。地中、つまり基礎部分です。19,110×6,370mmという土台の物件に対して、全部で69本もの杭打ちを実施しているのです。これにより、傾斜面であっても、堅牢な基礎づくりを可能にしました。 森岡さんは「1階が駐車場ということもあったので、通常よりも多めに杭打ちしています。川側の持ち出し部分は910mm 間隔で打ち込みました」と説明します。一般的な間隔が1,820~2,000mmということからも、半分の幅で杭が打たれていることがわかります。 そしてその杭をさらに強固なものにするため、既存の擁壁の上に、新たに高さ1mの擁壁を設けるという念の入れよう。そのため、基礎工事に要した期間は約3ヵ月と長期になりましたが、

「この物件は、基礎が終われば、完成したようなものでしたからね(笑)」。

 c03そしてもうひとつの特徴が、稀に見ると言っても過言ではないほどの耐力壁の少なさです。これを実現した理由はグリッドにあります。「グリッドがシンプルであれば、耐力壁を少なくできますし、耐力壁が少なければ管理もしやすい。ですから“グリッドだけはずらさない”、このことを念頭に、つねに設計しています。また耐力壁の場所も、施主が使用していく上で、支障のないところに備えるよう、考慮しています」
たとえば2階にある耐力壁は、隣接する工場側に設置しています。ここは当初から視界に工場が入るとして、窓にする予定がありませんでした。余計な壁が一切ない。ゆえにすっきりとした、そして広々とした大空間が誕生したのです。

line_liteカフェの内装はオーナー夫妻の手により完成。

富士山という最高の景色も手に入れました。line_lite

「2階の窓からは、富士山が一望できるんです」そう笑顔で語る白川さん。凡夫川による解放感のおかげで見事な眺望を手に入れました。

ユニークなのは、設計図はあったものの、内装などの細かな点はほとんど決めずに施工をスタートしたということ。そのため、床材は工事中に見てその質感に惚れ込んだという足場板を採用できました。梁のペンキ塗りや化粧室のタイル貼りといった内装の仕上げは、白川さんご夫妻が担当したそうです。
「完成してから2ヵ月以上毎日通いました。いまは希望通りに仕上がったと満足しています。作っている間は楽しかったです……けど、やっぱり大変でした」と思い出を語る白川さん。居心地良さそうに過ごしているお客様を見ると、内装は成功だったようです。

設計・施工 カーポス工作所
静岡県富士宮市粟倉2737-23 Tel 0544-26-8965