インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢

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最大スパン9mの大空間を確保した校舎。

170角の構造材、梁を表して開放感を演出。line_lite

nwse121_p2_7-4 「インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢」は、男女共学で全校150人規模の全寮制高等インターナショナルスクールです。2014 年の開校を目指し、建築家・鈴木エドワードさんの設計によって、寮、校舎、体育館が完成しました。
建物は敷地の傾斜に合わせ、北から寮、校舎、体育館の順に配置。約7000 坪の敷地があったものの、自然保護の観点から容積率・建ぺい率ともに20%に規制されていました。「そのままの建物では150人規模の学校には狭すぎる」と判断した鈴木さんは、「LearningEverywhere」(どこでも学ぶ)」をコンセプトに、建物の外のテラスやアプローチなども計画に取り込みました。「自然に恵まれた地にふさわしいのは、やはり木造。そして、自由度の高い大空間をつくるには、スパンを確保できるSE 構法が最適でした」(鈴木さん)。

 2階建ての校舎は、SE 構法の特徴を生かし、1階中央の食堂は9mものスパンで計画。多人数で使用する建物でもあり、積載加重が大きいため、構造は170 角の柱と170 幅の梁で構成されました。室内における開放感を演出するため、それらの構造は表し仕上げとなり、頭上に力強い姿を見せることに。nwse121_p2_7-3-

 カフェテリアの南側には、18m×6m の大きなウッドデッキのテラスを設けています。多目的に使うことを想定して、可能な限り広く確保。
建物の両端には階段を配置。その間を真っ直ぐに片廊下でつなぎ、南向きの居室スペースが並べられました。1 階はカフェテリアと厨房、事務・職員室。2 階は、屋根勾配をそのまま表した図書室と教室が配されました。
室内ではシナ合板など明るいトーンの木質系建材をメインに。床には、エコを踏まえ、木よりも成長の早い竹のフローリングを使いました。構造、仕上げを木、竹といった自然素材でまとめることで、独特の柔らかな風合いが生まれています。綿密に計算された窓からの景観と合わせ、温もりと広がりの両方を体感できる生活空間に仕上がりました。

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傾斜を生かしたスキップフロアの寮は、変化と楽しさに満ちた場所に。

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nwse121_p2_7-3-- 寮も2階建てですが、こちらは敷地の傾斜を取り込んだスキップフロアのプランです。1階には6つの玄関を設け、1 人用、2人用と4人用の個室を対称に配置。2 階は、階段でつながったワンルームのリビングとダイニングです。こちらでもSE 構法を生かし、耐力壁は北側にまとめ、10.8m のスパンで壁に遮られない大空間を実現。リビングは教室としても機能し、限られた空間を有効活用できます。「10 代の多感な時期に多国籍の仲間と共同生活を経験するのは、大変に意義あること。私自身、インターナショナルスクール出身なので、今回のプロジェクトは建築家としてだけでなく、個人としてもぜひ取り組みたいと思いました」と鈴木さん。

 寮のプランニングでは、共同生活の場の中であっても個人の時間を持てるように、造作のデスクに背の高いパーティションを設けたり、ベッド下に私物をおさめられるスペースを広くとったり、と生徒の気持ちをくんだ配慮が施されています。

 建物の中央には教職員の住宅2戸を配置。寮と内部でつなぐことで、生徒の生活管理や心理的な安心感などを意図しています。
効率よく生活機能がまとめられた1 階と、南に向けて大きく開いた2 階。寮は、めりはりのある構成によって、変化と豊かさを感じられる空間となりました。

line_liteパッシブデザインによる自然エネルギーの活用。

エコに配慮しながら快適な住空間を実現。line_lite

nwse121_p2_7-4 軽井沢の自然環境で暮らすには、マイナス20℃にもなる冬の寒さの対策が不可欠です。外壁と屋根は通気層を設けた外張り断熱の仕様とし、開口部は複合断熱サッシ+複層ガラスに。暖房には効率よく稼働し、ランニングコストの安い温水放射暖房(PS 暖房)を取り入れました。

 換気には、外気を床下に通して自然加温したあと、床グリルから各室に自然給気。暖められて上昇した空気は天井面の換気扇から排出するという循環方式を採用。換気による熱損失を抑えています。

 豊かな自然を生かすための採光と通風、そして設備と断熱。建築によって、人と自然は密接な関係を結びながら、共存していこうとしています。「こんな学校がもっと増えるといい」。そんな鈴木さんの言葉にも素直にうなずくことができました。