【理想の家づくりVol.002】 〜スケルトン&インフィルを考える。〜

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 スケルトン&インフィルを考える(1)

理想の家づくりについて考える


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スケルトン・インフィル。これは1960年代のことオランダのハブラーゲンという建築家が提唱したオープンビルディングという考え方にもとづいてできた言葉です。元々はコンクリートの集合住宅において考えられたものですが最近では木造の一戸建てに対しても使われるようになりました。一般には、住んでから変えられるものをインフィル、変えられないものをスケルトンと呼び、建築をその2つに分けて考える事で、建築の可変性や長寿命化を実現させようというものです。インフィルとはキッチンやお風呂などの住宅設備、配管など、間仕切などの建築の構造体でない壁のことも言います。建築本体と切り離して、できるだけ簡単に組み替えられるように始めから考えていこうという提言でした。

このスケルトンインフィルには大きく次のような視点があるようです。
1.インフィルの更新を容易にできるようにすることで、建築の耐久性を長くするという考え方です。インフィルが壊れたり時代に合わなくなったときに、インフィルそのものを交換することだけでなく、設備の配管などのインフラの交換も必要になります。インフィルの更新性を高め、スケルトンの耐久性を限界まで使うようにすることで資産価値を高める事が出来るのです。ここでの課題は、インフィルと配管などを容易に更新できるようにあらかじめ作るための建築的な技術の革新が必要であるということです。
2.所有に関しての考え方です。スケルトンを、事業者(所有者)が持ち続け、使う人がインフィル部分を所有するという考え方です、建築の建設費用を安く抑え、そして安く貸すことができ、住み手が自分の好みに応じて長く住み続けるという考えです。特に、公共の住居に関して、もっと安く、快適な暮らしを多くの人が手にいれられる方法として考えられたのです。ここでの課題は、実際に引っ越す時に、インフィルをどこまで持って行くことができるのか、新しい家にどこまで装着可能かという、技術的な課題と社会インフラの整備、そして、所有という概念の法律的な解釈です、可変と言っても、くっついているもの、所有の範囲が不明確なのです。
3.最後は、上のふたつに関わること、暮らし方に対する考え方です。可変性がどのように、暮らし方を変えることが可能かということです。ここがみなさんに一番かかわることでしょう。暮らしは世帯の変化によって変わるものです。子供が部屋を必要とするのはある時期だけ、子供が巣立ったら、または仕事をやめてから、地域の人との交流をするような場所、趣味の教室をつくりたい、家で仕事をしたい、様々なことがありますが、あらかじめ予想できるものではありませんし、その時々で改装するのではお金がかかりすぎます。そこで、できるだけ簡易に組み替え可能な建築の仕組みがあればいいと考えるのです。ここでの課題は簡易さと建築の質をどう成立させるか、そしていかに低価格にできるかという点です。本当にするかしないか、わからない将来の可変性のために、そんなに始めからお金をかけられないからです。もっと言えば始めは安くつくってあとから少しづつ足していくということが実現できればと、多くのユーザーから共感されるでしょうがそのハードルは高いようです。

 

使い手の想像力が価値を決める

このようにスケルトン・インフィルとはよい考え方なのですが、社会の中に定着させるにはまだまだ様々な課題があるのです。始めにある程度、費用が先行してかかるこうした考え方が、結果的に長い時間の中では得なのだということを実感する必要もあります。長い投資より、今ある予算で多くの物を手に入れたいと思うと、将来の可変性よりも目の前の欲求が優先されてしまうものです。また、こうした考え方によってどういう暮らし方が実現可能なのかという、使い手側の想像力がもっと育っていかなければならないでしょう。このコラムではそうした事例や考え方を紹介しながら、みなさんと一緒に長く住みやすい家について考えていきたいと思います。