【理想の家づくりvol.003】 〜住みながら少しづつ足していく〜

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スケルトン・インフィルを考える(2)

住みながら少しづつ足していく


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© 2014 milligram / all rights reserved.

第1回目は少し概論的な話をしましたが、今回は少し具体的な事例でスケルトン&インフィルを説明できればと考えています。紹介したい建築はミリグラムスタジオの内海智行さんが設計した家です。体育館のような大きな3階建ての高さの何もない空間を先に作り、その中に施主が自らセルフビルドで部屋をつくっていくというプロジェクトです。あとからつくる部屋はまるで家具のような扱いです。一気に完成させるのでなく、住みながら少しづつ足していくという、特殊なアプローチで家を作っているのです。まさにスケルトン&インフィルという考え方をそのまま実現したような家です。この家は設計段階からおもしろい方法をとっています。

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内海さんは設計者として家の外側をつくり、内部の設計は始めから施主が自由につくっていき、内海さんはそれをアドバイスするという役割に徹したというのです。そうして建築家側から施主への引き渡し時点では、外側の箱だけが手渡され、その後施主が自ら手を加えていきながら、まずは住める状態にして、その後も変更や追加を加えながら住んでいるとの事です。

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一見面倒とも思えるこの方法ですが、この方法の最大のメリットは施主は自分の家を自分でつくることを通して、今後いつでも自由に家の間取りの変更を加えていく可能性を手に入れたということだと思います。

必ずしも安いというわけではありません。しかし、自分の家を自分で編集し続けることを前提にして、家づくりとその知識を習得したことで、施主はこれからも容易にいつでも思い立ったら家を変更し続ける事が可能になったのです。
つまり単にスケルトン&インフィルというハードの仕組みだけがあっても、住まい手が変更するということへの知識がない限り、間取りの変更は簡単にはできるものではありません。
そして、可変性を前提にした住まいは、暮らしへの強い意識を持ち続ける事に繋がっていくでしょう。
自分たちの関わりが多い事によって、家を自分のものとして向き合うことができるでしょうし、何より愛着が湧いていくものです。

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この家の現在の状態の写真をごらんください。大きなタペストリー、茂った植栽、変更された間取り、建築家がいなくてもこのように楽しく、美しい建築として住み続けられているのです。
住み手が満足し続ける家づくり、スケルトン&インフィルの最も成功した事例のひとつに思えます。

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