【コウゾウノハナシvol.003】 〜13世紀の高さへの挑戦〜

20131225

建築デザインと構造(3)

13世紀の高さへの挑戦


20131225 ゴシック建築の台頭による高さへの挑戦は、それまでの自重との戦いで積み重ねてきた。建設技術の改良と風に対抗するための技術革新を必要とした。とはいえ、この時代では材料的な革新は望めず、石とレンガを石灰モルタルによって積み上げる工法でのシステム的な革新である。ゴシック建築は、宗教的意味あいから、外観のモニュメント性と内部空間の荘厳さを求めて、30メートルを超す高さと上部から内部空間に射し込む光を確保するための開口を必要とした。そのため頂部に設けられたヴォールトの自重によるスラスト(水平に広げようとする力)を控壁に伝えるためのフライングバットレス(飛梁)のほかに、三角屋根と高窓のある壁面に作用する風に対する抵抗システムとして、外陣上部にも露出した飛梁が設けられたと考えられる。自重を伝達するという観点から見ると、この上部の飛梁は、不必要に感じるかもしれない(デザイナー的視点では単なる飾りに過ぎないよに見えるであろうが)。
このように、ゴシック建築は、木造の屋根と控壁の上部にあるピナクルを除けば、構造そのものであり、自重を横力(風)に対して適切な処理がなされている。飛梁に伝えられたスラストは、身廊外部の厚くて重い控壁に伝達される。控壁は、重力式擁壁のように、飛梁からの水平力が加わっても引張応力が生じない構造となっている。このように、すべてを圧縮応力場にすることによって石積みの大架構が成り立っているのである。さもなくば、現在の気象記録が示すような激しい嵐が襲ってきたとしたら、弱い石灰モルタルで積み上げられた大聖堂はもろくも崩壊していたであろう。多くのゴシック建築が現存しているのは、この時代の工匠たちが計算もしないで、巧みにデザインと構造を融合させていたかを示すものである。それに比べて、現在のポストモダン回顧主義が、なんと技術を無視した味気ないものであるかを考えさせられる。


 

ban_coment003