〜木造住宅のうま味とは?〜


 あなたの家は「構造計算」されていますか?(24)

木造住宅のうま味とは?


30150326 top  こうした事実を列挙しても、「私の家は一流企業に頼んだから法律で規定されてなくても、それ以上のことをやってくれているにちがいない」と信じている人が多い。
 しかし、その期待も裏切られる。
 そして、その裏切りは企業としての株主利益と経済合理性の名の下に正当化される。 安全性の裏側にコストの問題が常にあるのは当たり前だ。
 たとえば、中国製食品は安いかもしれないが、いまのところ安全性は担保されていない。安い肉を使ったミートホープの食肉偽装も同じことだ。だとしたら、木造住宅でもコストのために安全性を犠牲にしている部分があることは想像に難くない。 もちろん、安ければ安全ではないといっているわけではない。
 強度という条件をしっかり決定したうえで、コストにしても材料にしても、消費者(施主)にもわかるようにオープンな家づくりを行なえば、施主にも納得できる適正な価格で安全な家ができるはずだといいたいのである。いまのままでは、日本人はいくらお金をかけたとしても胸を張って耐震性があるといい切れる木造住宅を手に入れることができない。
 10年ほど前、あるハウスメーカーの社長さんと木造住宅の構造計算について話したことがある。 私が構造計算の必要性について話し、「業界に先駆けてすべての家で構造計算をしましょう」というと、その社長さんは「木造はわからないところに儲けがあるのだ」といった。
 「ここにはヒノキを使っています」「うちの職人は腕がいいから」と説得すると、施主は値切れない。わからない世界を説明するほうが利益に繋がる。「これが木造住宅屋の醍醐味だ」とおっしゃるのである。
 「構造計算」という科学的な要素を入れてしまうと、施主は最低限で安全な家を求めるようになり、どのメーカーも同じような家になってウマミがなくなってしまう。「木造住宅を構造計算してすべてを明らかにすることは人間としては正解かもしれないが、ビジネスマンとしては不正解だ」ともいわれた。

 木造住宅イメージ販売の典型的なパターンは、
 ①とにかく無垢材、天然志向
 ②集成材は使いません、貼り付けたものよりも自然派
 ③丈夫な家は大工の腕前で決まります。

である。なるべく科学的根拠ではなく情緒に訴えてお客さんの思考能力を奪っていくこうした営業手法を、私は「寅さん営業」と呼んでいる。寅さん営業は、材料価格がかからないので人より儲かる。この売り方を教えるコンサルタントもこの業界にはたくさんいるのである。 ここまで読んで、まるで木造住宅業界は魑魅魍魎(ちみもうりょう)の世界のような印象を受ける方もいるかもしれないが、そうした主流に背を向けて、強い信念で独自の道を切り開いている業者もたくさんある。そうした例を次回、1つ紹介します。

 


このコラムは、2007年に発刊された「家、三匹の子ぶたが間違っていたこと」【ダイヤモンド社】の内容から、 弊社代表取締役田鎖郁男の記事を抜粋して掲載しています。詳細については、書籍をご覧下さい。 ………………………………………………………………………………………………………………………………

sanbiki「家、三匹の子ぶたが間違っていたこと」 田鎖郁男・金谷年展(共著)

大地震のたびに繰り返される悲劇の本当の原因は何か?本書に、その答えのすべてがある。「日本の二階建て木造住宅の97%以上が構造計算されていない」という事実を知っていますか?“家”の考え方が180°変わる目からウロコの書。 単行本 213ページ 発刊:2007年11月 発行:ダイヤモンド社 →書籍のご購入はこちらから