〜「最低の基準」から「最適の基準」へ〜【3匹の子ぶたvol.033】

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 あなたの家は「構造計算」されていますか?(30)

「最低の基準」から「最適の基準」へ


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建築基準法は、基準という単語が入っているためか「最適の基準」を定めていると誤解している方が多いが、

第一条(目的)に

「この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする」

とあるように、実際には「最低の基準」を定めているにすぎない。住宅の質的な転換を求められるようになってきたいま、私たちは「最低の基準」に則った家ではなく、もっと「最適の基準」を求める必要があるのではないだろうか。そして、住宅の耐震性をも含めた安全性を確保する「最適の基準」とは、きちんと構造計算をするということではないかと思うのである。

2006年6月3日に、東京都港区にあるマンションのエレベーターの扉が開いたまま突然上昇し、自転車に乗った高校生が天井に挟まれ死亡するという事故が起こった。エレベーターというあまりに日常的な乗り物の安全性を根本的に疑わざるを得ない事故だった。ここ数年、こうした日常的な安全性を足下から揺るがすような事故が増えているように思われてならない。 そうした点からも、私たちが当たり前の日常を当たり前に過ごせる「最適の基準」を積極的に求めていく必要があると思うのだ。 地震国日本に住む私たちにとって、家づくりで見落としているいちばん大切なこと。そして、これから大地震の災害によって被害に遭う人を一人でも少なくするためにいますぐにでもやるべきこと。それは倒壊しない家を建てることである。阪神淡路大震災のデータでも見たように、家が倒れなければ命が助かる可能性は非常に高くなる。そして、家が倒れないということは、地震が収まってから少なくとも暮らしの基盤は失われないということだ。混乱のなかで家族が住む家さえも定まらないままに新しい生活をつくらなければならないとしたら、どんなに大変だろうか。しかも無になった家の住宅ローンを抱えていたら、その絶望はさらに深いに違いない。 もしも、すべての家が地震でも壊れない家になったとしたら、被災地の風景はずいぶん違ったものになる。そのためには、私は木造住宅でも「構造計算」をし、それを審査・検証するシステムを早急に構築すべきだと思う。家族の安心な暮らしを守るための家で、人間の命を奪うことは許されない。構造計算を全棟できちんと行なえば、かなりの人の命が救えるのである。 人の命を奪わない安全な家を建てるためには「最低の基準」を愚直に守るだけではいけない。繰り返しいいたい。「最適の基準」を実行していくことは人の命や人生に関わる仕事をしている住宅業界にいる者の責務なのである。


このコラムは、2007年に発刊された「家、三匹の子ぶたが間違っていたこと」【ダイヤモンド社】の内容から、 弊社代表取締役田鎖郁男の記事を抜粋して掲載しています。詳細については、書籍をご覧下さい。 ………………………………………………………………………………………………………………………………

sanbiki「家、三匹の子ぶたが間違っていたこと」 田鎖郁男・金谷年展(共著)

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