〜耐震性だけではない日本の住宅問題〜【3匹の子ぶたvol.035】

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第2章 あなたの家の値段はいくらですか?


あなたの家の値段はいくらですか?(2

耐震性だけではない日本の住宅問題


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いま、あなたの家を売るとしたら、いくらで売れるだろうか? あまり知りたくないことだが、日本の家は約20年で価値が0円になってしまうという暗黙のルールがある。不動産流通近代化センターという財団法人が住宅の価格査定に関するマニュアルを出している。日本の不動産業界ではこれに基づいて評価をする。そこには「木造住宅はAランクで25年、Cランクだと15年で新築時の10%の評価」と記載されている。一般に不動産会社で査定すると築20年の木造住宅の価値は0円。酷い例になると、建物の価格は取り壊し費用でマイナス300万円と査定される。「そんなこと関係ない。ずっと住みつづけるのだから」と思っていると、大損をするだけでなく、今後の生活を脅かす元凶となってしまうことがある。そのマイナス査定のあなたの家は、住宅のローンが残っている間は、まだ完全にはあなたのものになっていない。

いまから18年前(2007年時)、バブル崩壊という大事件が日本全国に襲いかかった。「リストラ」が流行語になり、生き残りをかけた企業は、大量に社員をクビにした。定年退職まで当たり前のように働いていたサラリーマンが、突然職を失うという悲惨なことが全国のあちこちで起きた。そして、当たり前に払っていた住宅ローンが払えなくなってしまった人が大量に発生した。一般の人々は想像もしていなかったが、住宅ローンが払えなくなるとその家は、住宅ローンの担保として銀行に取り上げられ、家の持ち主は、賃貸住宅への転居を余儀なくされた。しかも、住宅ローン残高と売却価格を比較すると、ローン残高のほうが多かった人が大半で、その人たちはローンを返済しながらもその家に住めないということになった。 住宅を手放した後に住宅ローンの残債を支払わなくてはいけないという現実が、実際にあったのである。そのときの悲劇は、いまも忘れることができない。 住宅を手放したくないと思った人が自殺するという事件まで起こった。住宅ローンを苦にした自殺者年間3000人。住宅ローンを組んだときには生命保険(団体信用保険)に加入することになっているので、生命保険で住宅ローンの残債を精算しようとしたのだ。幸せに暮らそうと、がんばって自宅を購入した人が、自分の家と自分の命のどちらを選ぶかなどという、あってはならない事態に陥ったのである。 日本人の住宅に対する悪しき慣習から、不幸になってしまうケースがここにもある。 耐震性のない家を買ったばっかりに、地震の被害で二重のローンを払わなければならない被災者とも重なる。この悲劇もなんとしても避けなければならない。


このコラムは、2007年に発刊された「家、三匹の子ぶたが間違っていたこと」【ダイヤモンド社】の内容から、 弊社代表取締役田鎖郁男の記事を抜粋して掲載しています。詳細については、書籍をご覧下さい。 ………………………………………………………………………………………………………………………………

sanbiki「家、三匹の子ぶたが間違っていたこと」 田鎖郁男・金谷年展(共著)

大地震のたびに繰り返される悲劇の本当の原因は何か?本書に、その答えのすべてがある。「日本の二階建て木造住宅の97%以上が構造計算されていない」という事実を知っていますか?“家”の考え方が180°変わる目からウロコの書。 単行本 213ページ 発刊:2007年11月 発行:ダイヤモンド社 →書籍のご購入はこちらから