~リフォームできない日本の木造住宅~【3匹の子ぶたvol.041】

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第2章 あなたの家の値段はいくらですか?


あなたの家の値段はいくらですか?(8

 

リフォームできない日本の木造住宅

 

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二〇〇六年一二月二七日の㈱住環境研究所の「『建て替えの実態』について」の調査結果によると、
一〇年前と比較して〈同居〉〈子どものため〉の建て替えが減少し、
〈老朽化改善〉〈老後準備〉の建て替えが増加している。

また「自分のために建て替えた」人が六七%を占めるなど、〈子どもや親のため〉の建て替えから
〈自分のため〉の建て替えへ変化していることがわかる。
また、一〇年前に比べて〈住まいを広くする〉〈部屋数を増やす〉建て替えは減少していたこともわかった。

つまり古くなったから建て直したいという人だけでなく、
家族が小規模化して「夫婦のみ」の家庭が増加しているために、
間取りが合わなくなって建て直したいと考えている人が増えているということだ。

この傾向は特に六〇歳以上に多い。よくわかるが、間取りが合わなくなったからといって家ごと建て直す、
建て直さなければならないというのは、改めて考えてみるとおかしい。

現在の住まいについての不満を聞いても「子どもは独立し、
夫婦あるいは一人住まいにいまの家では使わない部屋が多すぎる」
「二階にある主寝室を足腰が弱ってきたので一階にしたい」
「一階の客間・廊下・納戸等の間仕切りを壊してワンルームに変更したい」などといった声が多い。

要は間取りを変更して広く使いたいわけだ。 ここで大問題になるのが構造である。

柱であり梁や筋交いである。第1章で指摘したように、木造住宅では構造計算をせず、
壁の枚数を数えて耐震性の指標とする間違いをしてしまったため、
リフォームして壁を減らしたとたんに耐震性がなくなるのである。

高いお金を出して部屋を広くした結果が、耐震性のない家をつくることになってしまう。
梁の補強や筋交いの入れ替え、基礎の変更などをするには四〇〇万~五〇〇万円程度の予算では到底できない。
業者も危険なリフォームよりも新築を勧める結果となる。
費用対効果を考えると新築建て替えに傾くのは仕方ない。

私が日本の住宅が短命な理由は家の老朽化だけではなく、
実は家族の変化に対応できないことにあるのではないかと考えるのは、こうした事実があるからだ。

さらに問題は続く。「適法(既存)不適格住宅」の問題だ。
壁量規定の耐震基準は二〇年に一度ずつ変わっている。
二〇年経ってリフォームするころには、いつも耐震不適格住宅になっている。

構造計算さえしていればどこを補強すればよいかすぐにわかるが、
新築のときに手を抜いたために、二〇年経ったときにはどうすることもできない住宅になってしまうのだ。

住宅ローンを払い終え、やっと老後の楽しみを享受できるときに、誰だって貯金を取り崩したくはない。
老後の人生設計が狂っていく。
私たちは、いったいいつまで住宅のためにお金を払いつづけなくてはならないのか?


このコラムは、2007年に発刊された「家、三匹の子ぶたが間違っていたこと」【ダイヤモンド社】の内容から、 弊社代表取締役田鎖郁男の記事を抜粋して掲載しています。詳細については、書籍をご覧下さい。 ………………………………………………………………………………………………………………………………

sanbiki「家、三匹の子ぶたが間違っていたこと」 田鎖郁男・金谷年展(共著)

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