~住宅を資産化する条件とは?~【3匹の子ぶたvol.045】

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第2章 あなたの家の値段はいくらですか?


あなたの家の値段はいくらですか?(12

住宅を資産化する条件とは?

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中古住宅市場ができるには、住宅が資産になっていなければならない。
「住宅を資産化する」とは、いま住んでいる家に値段がつくということにほかならない。
中古でも売れる家が「資産になる家」ということである。

そして、「資産になる家」であるには次のような要件を満たす必要がある。
・利用価値を維持できる住宅であること
・賃貸等で収益を得られる物件であること
・建築作品としての価値、骨董的価値があること
・品質等が客観的に表示され、瑕疵がないこと
・社会制度として、金融制度を持つことなど

まず、一番大きな問題が利用価値である。
住宅の場合、特に間取りが重要な要素になる。
家族構成、ライフスタイルなどはこの二〇年で大きく変わってきた。

ダイニングキッチンはリビングと一緒になってリビングダイニングキッチンとなり、
広さが二〇畳以上となった。オープンキッチンが主流となり、
壁際に据え付けてあったキッチンは部屋のなかに出てきた。

古い間取りは、いまの暮らしでは使いにくくなり、中古住宅は住みにくいことになる。
収納もウォーク・イン・クローゼットになり、
昔のような押入れ型の収納は使いづらいものになった。

最近のライフスタイルに合わせようとすれば、部屋を広く、部屋数を少なくする必要が出てきたのだ。
前述したリフォームできない木造住宅とまったく反対のつくり方をする必要がある。

そこで、あらかじめ家の構造をどんな間取りにも対応できるようにつくっておくという
アイデアが登場した。「スケルトン&インフィル」である。

間取りを自由に変えられる住宅の豊かさも構造計算が大前提
「スケルトン&インフィル」とは、
建物を「スケルトン(構造体)」と「インフィル(内装・設備)」を別々に分けて設計する考え方のことで、
略してSI(エスアイ)という。内外装・設備・間取りが干渉することのない
耐久性の高い構造体(骨組み)をつくることができれば、
自由に間取りの変更を行なうことができるようになる。

家族構成の変化などのライフスタイルの変化に合わせられる長く暮らせる住宅をつくることができるから、
一〇〇年以上持つ良質な住宅ストックが形成できる。地球環境にも負荷がかからないため、
都市再生機構がSIの技術開発を進めるなど近年関心が高まっている。
最近のマンションには、SI対応などと表示しているものも多くなってきた。

マンションを購入するときに、間取りは購入者の好きなようにアレンジできるということが売りで人気も高く、
一般のマンションより少し値段が高い。 また、間取りの変更が自由ということは、
生活の変化に対応させて何年も利用できるということになるので、将来の利用価値も高い。

電気配線や給排水の設備もフレキシブルなものを利用して、
リフォームにも容易に対応できるシステムになっているものが多い。

しかし、木造住宅では、マンションのような「スケルトン&インフィル」は、
難しいといわれている。マンションでは、一般に鉄筋コンクリート造か鉄骨造(ラーメン構造)であるため、
部屋を区切っている壁は間仕切りでしかなく、構造強度とは無関係で自由に動かすことができるが、
木造では壁が構造そのものなので、壁を自由に動かすことができないからだ。

つまり、建てたままの間取りでないと強度が保てないのでスケルトン&インフィルにはできないというわけだ。
ここでも壁量規定は資産価値のためには邪魔なルールになっている。

しかし、少し費用はかかるが、木造でも鉄骨造のように柱と梁で構造を支えるつくり方(ラーメン構造)ならば、
スケルトン&インフィルは十分に可能である。

家族の変化に本当にフレキシブルに対応できるためには、
間仕切り壁がなくても強度が保てる木造住宅、
つまり木造ラーメン構造の技術がこれから資産化住宅を考えるうえでは重要になる。

耐震性を保った木造のスケルトン&インフィルの家をつくるには、
木造ラーメン構造できちんと構造計算をして家をつくることが最善の方策なのだ。

また、スケルトン&インフィルというコンセプトは住宅の資産価値だけでなく豊かな空間も与えてくれる。
壁で小さく部屋をつくることなく大きい空間で生活することは、人の心を豊かにしてくれる。

たとえば、三〇坪の家を狭いという人の話をしばしば聞くが、
確かにいままでの家づくりのプロセス──まず間取りを決めてから始まるというスタイル──であれば、
個室が増えるだけで広いとは感じられない。

しかし、スケルトン&インフィルで家の構造から考えれば、
三〇坪=六〇畳の広さをそのまま使える贅沢な家が実現できる。

私は自分の家を建てたいという人に「MAX ONEROOMの家づくり」(トイレとバスだけは除くが)を
お勧めしている。家を間取りからつくらずに、一部屋で考える家づくりである。
そこにはLDKの発想とはまったく違う家族の住まい方があると思う。

最大限確保できる空間をつくり、その最大空間のなかに、
それぞれの居場所(ゾーン)をつくっていくというプロセスは楽しいものだ。
その後に、間仕切りを簡便なものでしつらえるのもいいだろうし、
ついたてで仕切るのもそれぞれの家族ならでは……。

もし転売することになっても、何もない空間を売るのだから次に購入する人は、
また自由に自分の生活をつくることができる。

間取り(家の中身)を買うことから空間そのものを選ぶという発想への転換ができれば、
三〇坪の敷地があれば、十分豊かな暮らしが実現できると信じている。

そのためには、LDKという固定概念から離れ、

「壁と筋交い」による耐震構造から離れて自分の生活を考える家づくりをお勧めしたい。

 


このコラムは、2007年に発刊された「家、三匹の子ぶたが間違っていたこと」【ダイヤモンド社】の内容から、 弊社代表取締役田鎖郁男の記事を抜粋して掲載しています。詳細については、書籍をご覧下さい。 ………………………………………………………………………………………………………………………………

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