~現代の暮らしに対応していない現代の家~【3匹の子ぶたvol.049】

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第2章 あなたの家の値段はいくらですか?


あなたの家の値段はいくらですか?(14

現代の暮らしに対応していない現代の家

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夜は布団を敷いて寝室にする暮らしが当たり前だった。台所は暗い土間の一角に置かれていた。

家族と個人のあり方と住宅との関係を調べてきた社会学者の上野千鶴子氏は、
こうした状況に対して「現代の住宅は、一戸建てでも注文住宅でも標準世帯の拡大期に対応してつくられています。

拡大期とはn(個室の数)が一番多いとき。学齢期の子どもに個室を与えたいという住宅取得動機からです。
しかし少子化の影響で、この拡大期はせいぜい一〇年か一五年しか続きません。

もう一方で高齢化が進行していますから、拡大期が終わった後も、
本人たちは数十年間そこに住みつづけることになります。

家族の拡大ということしか念頭に置かずにつくられてきた住宅は、
家族の縮小に対応しきれるのでしょうか」と問う。

さらにこうもいっている。「nLDKの完成と同時に、家族の個別化は急速に進み、
いまや家族それぞれの個室の扉を閉めてしまう『個族』の時代であるという指摘もある。

仕事でほとんど家にいない父親、子どもも塾やおけいごとで家にいる時間が減り、
帰ってきても自室に籠もっている時間が格段に長くなっている。

そして、家族の共有スペースに取り残されている母親……。
その母親もいまでは外で働くか、趣味に出かけることが多くなっている」
(『家族を容れるハコ 家族を超えるハコ』平凡社)。

上野氏の指摘のとおり、現代の住宅は現代の暮らし方に対応しきれていないのだ。
家族メンバーをその人数だけから見ても大きな変化がある。

一九五五年までの日本の平均世帯人数はほぼ五人だったが、以降は一貫して減りつづけており、
二〇〇〇年には一世帯当たりの平均人数は二・六七人である。

これを単純にいえば、若い夫婦に子ども一人いる家庭と
子どもが独立して夫婦だけになった家が半々ずつになったということだ。

一人の女性が生涯に子どもを生む数は、いまのおばあちゃん、
おじいちゃんの世代の人たちが生まれたころは四・五人以上だったが、
一九七五年には二人を割り込むようになり、その後も減りつづけ、二〇〇五年には過去最低の一・二五人になった。

これは、現在の三〇歳以上の時代はすでに一人っ子が多く、兄弟姉妹がいてもせいぜい一人か二人であり、
いまの子どもたちは圧倒的に一人っ子が多いということである。

また、二〇〇〇年の国勢調査では六歳未満の子どものいる核家族世帯は七八・六%。
つまり、祖父母と一緒に住んでいる子どもは四人に一人しかいない。

新築建て替えのほうが儲かるからといって、
夫婦二人の老後の生活のための建て替えをさせようとしている住宅業界はいかがなものか。


このコラムは、2007年に発刊された「家、三匹の子ぶたが間違っていたこと」【ダイヤモンド社】の内容から、 弊社代表取締役田鎖郁男の記事を抜粋して掲載しています。詳細については、書籍をご覧下さい。 ………………………………………………………………………………………………………………………………

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