~一〇〇年住宅には一〇〇年ローン?~【3匹の子ぶたvol.052】

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第2章 あなたの家の値段はいくらですか?


あなたの家の値段はいくらですか?(16

一〇〇年住宅には一〇〇年ローン?

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日本の家づくりをより豊かなものにするために、住宅ローンも変わっていくことが必要である。
住宅ローンを大きく分類すると、クレジットローン(信用貸し)と
モーゲージローン(担保貸し)の二つに分けられる。

金利では、固定金利方式と変動金利方式に分けられる。

金融制度においては、住宅ローンは借主(つまり住宅所有者)の信用でお金を貸すという考え方と、
不動産を購入するので不動産を担保にお金を貸すという考え方の両方が存在するが、
日本ではクレジットローンが主流である。

私は、住宅ローンには物件担保ローンをつけるべきであると考えている。
極端な例だが、もし物件が担保であれば、一〇〇年住宅には一〇〇年ローンがあってもよいことになる。

現在、国(国土交通省と自民党)で策定している「二〇〇年住宅ビジョン」のなかにも
この概念は取り込まれている。今後の進み方に注目していきたい。
固定金利か変動金利かという問題では、私は圧倒的に固定金利をお勧めしたい。
住宅ローンの金利は変動金利のほうが安く設定されている。

そこで、住宅を買うときに将来を考えない人は変動金利で借りてしまうのだが、これは大間違いだ。
もし、金利が上昇したら(いま金利は上昇局面である)、自動的に返済金額は増えてしまう。

ちなみに三〇〇〇万円の住宅ローンで一%金利が上昇すると、
金利だけで年間約三〇万円も増える計算になる。

月々二・五万円程度の支払いが増えるのだ。三%も上昇したら大変なことになる。
住宅の利用価値は金利が上がっても急に増えたりしない。
資産として考えるのであれば、利用価値=支払い金額という関係を維持するべきである。

返済が厳しくなったら人に貸すことで個人の資産を守る。そういう考え方が資産形成には必要である。
変動金利型の住宅ローンでは返済金額はそのときどきの市場金利で決められ、
自分の支払い余力で決められないから、いつローン破綻するかわからない。

売りたいときに売れない、売りたくないときに手放すことになるような住宅ローンは
資産形成にならないのである。 最近、住宅ローンのなかに「フラット35」というローンが登場した。

住宅金融公庫は二〇〇七年に住宅金融支援機構と改組され、
現在は、このフラット35という住宅ローンを提供している。

これは、住宅の資産化に向けた取り組みであり、
住宅ローンを物件担保ローンに変えていく取り組みの一つといえる。

フラット35の仕組みはアメリカで利用されている制度であり、その骨格は二つある。

一つは三五年間同じ金利で貸し出す制度であり、もう一つは住宅ローンを債権化して、
住宅債として一般資本家から資金を調達するという制度になっている。

フラット35では銀行があまり儲からないために、住宅を購入する際に勧める銀行は少ないが、
いまの住宅ローン制度のなかでは一番お勧めできる制度である。

ところで、あなたは金融機関にとって企業融資(企業に対する貸し出し)と、
一般個人に貸し出す住宅ローンとどちらが安全な貸し出しかご存じだろうか?

企業融資における不良債権発生率は破綻懸念先を含めて一〇%程度(二〇〇二年度)、
一方、一般窓口で貸し出す住宅ローンの不良債権発生率は〇・三%(二〇〇〇年度)である。

住宅ローンは企業融資に比べると非常に安全な債権であることがわかる。
なぜなら、住宅ローンは生命保険を担保にしているから焦げ付きがないのだ。
だから、銀行は、現状のクレジットローンの貸し出しには必死になる。

資産価値のない家に対して、自分の生命を担保にして借金をする、
つまり生命保険付きの住宅ローンを払いつづけ、三五年の返済が終わった頃には住宅の寿命も終わり、
資産価値がゼロになった家は、転売するにも解体費用を請求される始末。
建て替えるにしても長期の住宅ローンは組めない。

金融機関は収入の当てのない高齢者に、住宅建設資金を貸すことはまずありえない。

バブル崩壊後の金融混乱時、借金が膨れ上がった企業から金融機関に対して
借金の棒引きを正当化する動きがあったが、個人レベルでのそれはなかった。

個人向けの民事再生法案が二〇〇一年八月に提出されたが、個人の住宅ローンは除外項目で、
たとえ破産しても住宅ローンだけは返済しなければならないことになっている。
一般消費者側から見ると、住宅ユーザーは大変優秀な債務者なのである。
にもかかわらず、返済し終わったころ、その家の価値はゼロなのである。
クレジットローンに頼らない限り家が建てられないのなら、一〇〇年住宅など夢のまた夢だ。

しかし、欧米の先進国の住宅ローンは、日本のような生命保険付き住宅ローンではなく、
モーゲージローンと呼ばれる「物件担保ローン」であり、
こうした取り組みも日本ではようやく進みはじめている。


このコラムは、2007年に発刊された「家、三匹の子ぶたが間違っていたこと」【ダイヤモンド社】の内容から、 弊社代表取締役田鎖郁男の記事を抜粋して掲載しています。詳細については、書籍をご覧下さい。 ………………………………………………………………………………………………………………………………

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