~高齢化社会で注目すべきリバースモーゲージ~【3匹の子ぶたvol.053】

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第2章 あなたの家の値段はいくらですか?


あなたの家の値段はいくらですか?(17

高齢化社会で注目すべきリバースモーゲージ

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「物件担保ローン」は簡単にいえば、
建物の価値に応じて住宅ローンの貸し出し金額を算出する制度である。

住宅ローンは建物に対する借金なのだから建物の価値で補うのが筋ではないかという発想だ。

アメリカでは一般的に、住宅ローンが払えなければ住宅の土地・建物を返せば
借金がなくなるという制度が利用されている。

住宅の負債は住宅で返すことでチャラにするというもので、
これは生命保険を担保にした日本の制度とはまったく違う。

これをノン・リコースローンという。 日本の住宅ローンはこれまですべて「リコース・ローン」、
つまり貸付であり、担保に取っている不動産の処分価格が融資した弁済額に足りなくなった場合には、
連帯保証人など他の財産ですべての債権を回収する仕組みが一般的である。

そこで、家を巡るさまざまな悲劇が起こりやすい。日本の住宅は地震で人を殺めるだけでなく、
ローンでも人を殺めているわけだ。

これに対して、先の自民党の「二〇〇年住宅ビジョン」のなかで示されている「リバースモーゲージ」は、
日本語で表現すると「逆抵当融資」あるいは「住宅担保年金」と呼ばれる。

リバース(Reverse)は逆方向、モーゲージ(Mortgage)は抵当のことで、
高齢者が、自分の所有する住宅など不動産を担保に、
年金のように定期的に融資を受ける金融の制度である。

融資の返済はどうするかというと、本人の死亡、相続の発生などで契約が終了したときに、
担保となっている不動産を処分して返済することになる。

たとえば、自宅など不動産を所有していても、収入が年金以外になく、将来の生活不安や病気、
万が一の事態に対する不安を持つ高齢者が、保有している不動産を担保にして、
年金のような形で毎月の生活資金を受け、
融資は本人が死亡した時点で担保となっていた自宅を売却して清算する。

つまり、リバースモーゲージの制度を国が政策に盛り込んでいる理由は、
高齢化社会到来と年金制度の崩壊危機があるからである。

苦しい国の財政事情を緩和していくには、国民の保有する資産を利用するしかないのだ。
厚生労働省は二〇〇二年度、全国規模でリバースモーゲージを導入すると発表した。

さらに、二〇〇三年度以降は厚生労働省が貸付原資の三分の二を補助する形で、
全国都道府県が「長期生活支援資金貸付(リバースモーゲージ)制度」を導入した。

これによって、同制度の利用件数は顕著に増加しはじめ、
大手住宅メーカーなどは将来の新築市場の縮小を睨んだ戦略の一つとして
リバースモーゲージを意識した商品開発を進めている。

たとえば、旭化成ホームズが二〇〇三年一〇月に、トヨタホームは二〇〇四年四月に、
自社の住宅購入者が対象であるがリバースモーゲージを導入している。

ほとんどのハウスメーカーが家を売ったら売りっぱなしで、
その後どんな悲劇が起ころうと知らん顔を決め込むなかで、
こうしたメーカーが企業責任を果たそうとしていることは注目に値する。


このコラムは、2007年に発刊された「家、三匹の子ぶたが間違っていたこと」【ダイヤモンド社】の内容から、 弊社代表取締役田鎖郁男の記事を抜粋して掲載しています。詳細については、書籍をご覧下さい。 ………………………………………………………………………………………………………………………………

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