~家のなかの物を全部出して写真を撮らせてください~【3匹の子ぶたvol.062】

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第3章 つくる住宅から、しつらえる住まいへ


つくる住宅から、しつらえる住まいへ(2

家のなかの物を全部出して写真を撮らせてください

 

ここに二枚の写真がある。

『地球家族』(TOTO出版)という写真集に納められたアイスランドと日本の家と、
そこに住む家族の写真だ。

「世界三〇か国のふつうの暮らし」というサブタイトルのついたこの写真集は、
一九九〇年代初頭にカメラマンとインタビュアーが
南アフリカ、マリ、イタリア、アイスランド、ブラジル、インド、タイ、中国、日本など
三〇の国々の平均的な家族を訪ね、
「申し訳ありませんが、家のなかの物を全部、家の前に出して写真を撮らせてください」といって撮影し、
インタビューをしてまとめた前代未聞の「持ち物と暮らしのレポート」である。

The Thoroddsen family outside their home with all of their possessions, 4:00pm December 15, 1993, Hafnarfjordur, Iceland. Published in Material World, pages 162-163.

▲アイスランドの家族

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▲日本の家族

高級車を四台持つクウェートの超豪華な持ち物。
うすや杵、フライパン、馬や山羊などと暮らすエチオピア、
一頭のロバで毎日四〇分かけて水を汲みにいくアルバニア。
自転車、豚、鶏と暮らすベトナム。

生きていることが成功の印というグアテマラは糸紡ぎ機、宗教画など驚くほど物が少ない。
環境や人口といった地球が抱える問題を考えると子どもの未来が不安だというドイツ。
大きなソファにテレビなど物質に囲まれながら、信仰生活になぐさめを得ているアメリカ。
アイスランドでは、男の子と母親がチェロを持ち、テレビやソファとともに一五〇年前の机や馬が見える。

そして日本はといえば、テレビ、洗濯機、炬燵(ルビ:こたつ)、傘、靴、ぬいぐるみ、ローラスケート、
洋服掛け、数々の食器、消火器、電話などなど細々した物があふれ、
よくこれだけのものが家に入っていたものだと苦笑してしまう。

人は物の間に身を縮めて暮らしているかのようだ。
なんだか日本の豊かさの内実を見せつけられたような気がする。
おそらく消費という視点から見れば、日本は世界のなかでもかなり異様なのだと思う。
はっきりいえば、悲しいほどに貧しいのだ。

アイスランドと日本、どちらの家族が幸せそうに見えるかはいうまでもないだろう。
家の本質は家族の暮らしにある。ライトがいうように「住宅とは生活である」とつくづく思う。

 

「地球家族」(TOTO出版)より、©MaterialWorld/UniPhoto press

参照元:Photos From Around the World of Families and Their Possessions – Flavorwire
http://flavorwire.com/205437/photos-from-around-the-world-of-families-and-their-possessions


このコラムは、2007年に発刊された「家、三匹の子ぶたが間違っていたこと」【ダイヤモンド社】の内容から、 弊社代表取締役田鎖郁男の記事を抜粋して掲載しています。詳細については、書籍をご覧下さい。 ………………………………………………………………………………………………………………………………

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