~信頼が増したインフォームド・コンセント~【3匹の子ぶたvol.064】

第3章 つくる住宅から、しつらえる住まいへ


つくる住宅から、しつらえる住まいへ(2

信頼が増したインフォームド・コンセント

医学の世界では質の向上(QOL)の取り組みの一環として、インフォームド・コンセント(正しい情報を得たうえでの合意)ということも重視されている。

医師が診療情報を積極的に提供することによって患者が疾病と診療の内容を十分に理解し、
医師と患者とが相互に信頼関係を保ちながら一緒に疾病を克服することである。
医学のたとえが重なって恐縮だが、家も医学も人の命に関わるという意味では共通する問題があると思うのでご了承いただきたい。

私の父が昨年、定期健診を受けたとき、大動脈瘤の疑いがあると診断された。
そして、大動脈瘤切除の手術を行なった。
いまはすっかり元気になったが、そのときの担当医の対応はまったくすばらしいものであった。
そのすばらしさをあげていくと次のようになる。
一、定期診断をした医者は、すばやく専門の医者の意見を聞くように指示をくれ、紹介状を書いてくれた。その病院で入念な検査を行なうことができた。

二、すべての検査結果を本人と家族(私)に懇切丁寧に伝えた。三回にわたってすべての検査写真を開示し、難解な医学用語についてはメモをつくり、リスクについて相談してくれた。七五歳という高齢のため開腹手術には体力の消耗が激しく、このまま放置するという選択肢も残しながら、外科手術としての失敗の確率は三%程度であることも伝えられた。

三、セカンド・オピニオン(第三者の意見:主治医であるその医師とは別の医師の意見)を求めることを許可した。そこで、外科医である私の従兄弟に相談することにしたが、その際にもすべての診断結果を開示した。
セカンド・オピニオンが聞きたいと思っても、「主治医に失礼になるのでは」と思い、いい出せない人も多いだろう。露骨に嫌な顔をする医師もいるという話を耳にしたこともある。
しかし、どんなに立派だといわれている医師であっても、情報も知識もない患者や家族にとっては、不安を覚えたり、提示された治療法を決定できない場合がある。
できれば、別の専門医に相談し、意見を聞きたいと思うのは自然な気持ちだ。患者サイドからいい出す前に、担当医が「セカンド・オピニオンをお聞きになりたければ、どうぞ診断結果はすべて公開します」といってくれることは、そうした患者サイドの不安を軽減するだけでなく、その医師への信頼を増すことにもなる。

インフォームド・コンセントとセカンド・オピニオンは車の両輪なのである。

 


このコラムは、2007年に発刊された「家、三匹の子ぶたが間違っていたこと」【ダイヤモンド社】の内容から、 弊社代表取締役田鎖郁男の記事を抜粋して掲載しています。詳細については、書籍をご覧下さい。 ………………………………………………………………………………………………………………………………

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