~ 私のライフスタイルまでメーカーに決められたくない~【3匹の子ぶたvol.067】

第3章 つくる住宅から、しつらえる住まいへ


私のライフスタイルまでメーカーに決められたくない

しつらえるという言葉が、いまの住宅購入プロセスからほど遠いことにお気づきだろう。
住宅展示場に赴き、住宅メーカーのカタログから自分の家を選ぶ。
自分のローン返済額を決め、カタログ商品のなかから目いっぱいの装備を選ぶが、その装備は決して容易には変えられない。
おのずと間取りは取り外すことができない壁で仕切られて、家族の人数+リビング。
窓の位置はそこから見える景色とは無関係に決められ、南側だという理由で一番人通りの多いところに大きな窓がつけられる。
大きな窓では防犯上都合が悪いので、美観を損ねることはお構いなしに大きなシャッターもつけられる。
住宅メーカーのセールストークによって、断熱性能を示すQ値と気密性能を示すC値を効率的な冷暖房のためにと、できるだけ小さくなるように数字を出してその家の性能を決め、外壁と内装のクロスを展示品のなかから選んでいく。
選ぶたびに、自分の生活観とかけ離れていくのである。

その一方で、住宅メーカーと家をつくると「決めてください」といわれることが多い。
この部屋はどの大きさがいいですか? どこに収納をつけますか? どういう生活を送られますか?
その結果、リビングは20畳で、寝室は8畳、書斎は6畳といった提案がなされるのだが、私がもしそうしたこと一つひとつに明確な答えを出すことを求められたら、正直にいって悩んでしまうだろう。
どんな人でも家を建てるときにすべてを決めることはできないのではないか。
私にとってスケルトン&インフィルの家は、「いま決めなくてよいあいまいさ」が許されている家でもある。
あいまいなやさしさ、生活を押しつけないやさしさといってもいい。
スケルトン&インフィルの家であれば、ウォーク・イン・クローゼットを一つつくって、タンスを置きたかったら好きにタンスを置けばいいし、棚をつくりたかったら棚をつくればいい。
広い空間に家族の気に入った家具を置いてもいい。
それができる「あいまいさ」が贅沢だと思っている。
あいまいだけれど、いい加減ではない。

私は、私のライフスタイルをメーカーに決められたくはないだけだ。
私たちが、日本人が本来持っていた「しつらえる」という美意識を取り戻し、住宅づくりにも文化を取り戻したとき、現在のパターン化した商品住宅をつくりつづけている住宅メーカーは、本当の質(QOL)を語ることができるのだろうか。

 

sanbiki「家、三匹の子ぶたが間違っていたこと」 田鎖郁男・金谷年展(共著)

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