~よいつくり手は住まいのコンシェルジュ~【3匹の子ぶたvol.070】

~よいつくり手は住まいのコンシェルジュ~【3匹の子ぶたvol.070】

第3章 つくる住宅から、しつらえる住まいへ


よいつくり手は住まいのコンシェルジュ

プレミアムパートナーの家づくりは、「この条件のなかでどれだけ豊かな空間がつくれるか」というところから始まる。
施主やその家族がどう楽しんで暮らすのか、その人たちにとって何がいいのかに耳を傾け、相談する。 東京は山の手の市街地、Sさんが家を建てようとした場所はとても建て込んだ窮屈なところで、普通に窓を設けようとすると雑多な風景がどんどん飛び込んできてしまう場所だった。
その風景をできるだけ見たくないという施主の声を聞いたプレミアムパートナーは、施主と話し合いを繰り返しているときに、ある方向に窓を開けるとそこだけ近くの公園の木々と空の風景が、まわりのどの建物にもじゃまされずに借景できることがわかった。
そこでその位置に普通よりも小さな窓を設けた。
新緑や紅葉、月明かりに浮かぶ木々の姿など「動く絵画」が楽しめる部屋になった。
窓はただ開ければいいというものではないし、いつでも広く大きな窓がいいわけではない。
できれば見たくないもの、見るとうれしいものを選択し、いいものだけを家に取り込むことができるのが窓だ。
そのことで結果的に家のなかにいる時間が「よい時間」になり、「豊かな時間」を実感できることになる。

これこそがプレミアムであろう。
収納量の大きさや天井の高さを競い合う家づくりではなく、本当に豊かさを実現するのは何かを考える家づくりがここにある。
こうした価値をつくりだす工夫──家の間取りをどうするかといったことだけでなく、施主の想いに沿って選択肢を広げていくことが、施工者が本来あるべき態度でなければならないはずだ。
その役割は、ホテルで案内やチケットの手配といった、お客様の要望に細かく応じていくコンシェルジュという係に似ている。
どんな家づくりをしたら豊かな生活を実感できるのか、どんなつくり方なら実現できるのか、安心なのはどんな技術なのか、図面だけでは想像できない空間づくりをお手伝いすること、つまり、よいつくり手は住まいのコンシェルジュでもなければならないということだ。

パターンや見本で家を売ろうとする住宅メーカーや建設業者には、決してこの家の窓はつくれない。
プレミアムパートナーでなければ絶対にできないとまではいわないが、施主の地元にいて地域の風土や文化や歴史などさまざまな事情を知り、高い技術のある「よいつくり手」でなければ決してできないということは間違いない。
インフォームド・コンセントやセカンド・オピニオンがきちんとできる建築版コンシェルジュである。
だからこそ、コンシェルジュは金持ちだけに許されるサービスであってはならないのである。

 

sanbiki「家、三匹の子ぶたが間違っていたこと」 田鎖郁男・金谷年展(共著)

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