〜大地震のたびに繰り返される悲劇の本当の理由は何か〜【3匹の子ぶたvol.002】

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 家づくりで見落とされている、いちばん大切なこと(2)

大地震のたびに繰り返される悲劇の本当の理由は何か


2007年7月16日、新潟県中越地方でマグニチュード6.8の地震が発生し、死者11人、約2,000名の重軽傷者が出た。中越沖地震である。

 2004年10月に起こった新潟中越地震から3年もたっていないのに、ほぼ同じ地域でまた大地震が起こったのだ。また2007年3月にはマグニチュード6.9の能登半島地震も発生し、多くの被害を出している。
 新潟中越沖地震の直後、新聞各紙は「老朽化した瓦ぶきの二階建て木造住宅の被害が目立つ」「倒壊した木造家屋の下敷きで多くの高齢者が犠牲となった」「老朽化した瓦ぶきの木造建築が崩れた」と古い木造住宅の被害について報じている。8月22日の消防庁の発表資料によると全壊家屋は944棟にものぼったが、その多くが木造家屋であったと伝えられている。また、同じ古い木造でも軽いトタン屋根の住宅は倒壊を免れたといった報道も見られた。
 13年前、6,400人余もの犠牲者を出した阪神淡路大震災のときにも同様の総括がされており、古い木造住宅で、屋根が重く、一階に開口部の多い住宅の倒壊が多く見られた。それはおおむねそのとおりである。しかし、その原因は? というと、家が古いから、屋根が重いから、開口部が多いから、というのは実は間違いである。では何が一番の問題なのか? それはこれまで2階建て木造住宅の97%以上、すなわちそのほとんどが、一貫して、地震に対してきちんと科学的に評価することなく、供給されてきていることなのである。これまでも、そして現在も、2階建ての木造住宅については構造計算が義務づけられていないのだ。そう聞くとあなたは、「そんなわけはないのでは。建築基準法の耐震基準というものがあるはずでは…」と思われるだろう。
 建築基準法では、二階建て以下でかつ延べ床面積500平方メートル以下の木造住宅は、構造計算は必要としていないが、仕様規定というものが存在している。これが木造住宅の事実上の耐震性の基準となっている、「壁量規定」というものだ。詳しくは本論で述べていくが、これは耐震性の参考になるという程度のもので、厳密に科学的に耐震性を評価できるものではない。

 実際にこの「壁量規定」を満たしている木造住宅を、構造計算によって評価してみたところ、本来必要な耐震基準の六~七割の強度しかない家も多く存在していることがわかった。マンションの耐震偽装で問題になった姉歯元建築士の関わった建物は違法であったが、これらの家は合法的に建てられている。いわば、〝合法的姉歯物件〟といっても過言ではないのだ。さらにその「壁量規定」は、確認審査することが免除される特例も存在し、実際には、この壁量規定を満たしているのかを第三者が評価することすらないまま、市場に供給されている木造住宅が大半なのである。

 


このコラムは、2007年に発刊された「家、三匹の子ぶたが間違っていたこと」【ダイヤモンド社】の内容から、

弊社代表取締役田鎖郁男の記事を抜粋して掲載しています。詳細については、書籍をご覧下さい。

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sanbiki「家、三匹の子ぶたが間違っていたこと」 田鎖郁男・金谷年展(共著)

大地震のたびに繰り返される悲劇の本当の原因は何か?本書に、その答えのすべてがある。「日本の二階建て木造住宅の97%以上が構造計算されていない」という事実を知っていますか?“家”の考え方が180°変わる目からウロコの書。
単行本 213ページ 発刊:2007年11月 発行:ダイヤモンド社

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