〜日本の家づくりを「180度」変える。〜【3匹の子ぶたvol.003】

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 家づくりで見落とされている、いちばん大切なこと(3)

日本の家づくりを「180度」変える。


「地震国日本だからこそ、木造住宅の構造計算を進めよう」


 そんな力強い理念のもと、この10年以上にわたり、現在義務づけられていない日本の木造住宅の構造計算を進めるべく、誰よりも力を尽くしてきた人物がいる。それが本書を一緒に書いた田鎖郁男氏である。彼は、全国で工務店やビルダーにこうした理念や考え方を説き、彼らの供給する木造住宅で構造計算を推進してきた。これが結実したのが「重量木骨の家」という組織で、なんとこの工務店、ビルダーは、全棟で構造計算を実施している。
 しかし、「たかが構造計算」というなかれ。実は耐震性だけではなく、この構造計算こそが、日本の家づくりを一八〇度変える、新しい本当の意味でのユーザーオリエンテッドの家づくりの可能性を示しているのである。
まず、構造計算することで、木造で50年、100年と超高耐久でかつ初めて安全・安心な家をつくることができる。また、構造計算は安心・安全に大空間の家を可能にもする。大空間の家はライフステージに合わせて間取りを自由に変えていくことができるため、本当の意味での長寿命な利用価値、資産価値の高い家が可能となるのだ。
さらに私が非常に驚いたことは、この「重量木骨の家」の工務店、ビルダーの建てた家のプラン、設計がひと味もふた味も違うことだ。どう違っているのか、というとユーザーの方と工務店が一体となって、ユーザーの方がこんな暮らしがしてみたいというライフスタイルを形にしている、すなわち本当に住みたい家だけでなく、暮らしも実現させているケースがきわめて多いという事実である。言い換えると、家をつくった満足度の持続性がきわめて高いということである。「重量木骨の家の会」で実施された「ちょっとプレミアムな家と暮らしコンテスト」には、100以上もの応募があり、これはこの工務店で建てた木造住宅の実に約2割にものぼる。この手のコンテストに『わたしの家と暮らしを自慢したい』と応募をするお施主さんがこれだけたくさんいるというのは画期的なことだと思う。
 これはなぜか、を田鎖氏に問うたときの答えが非常に印象に残っている。
「本当にユーザーが満足できる高いクオリティ・オブ・ライフ(生活の質・価値)を可能にする家はどうやったら実現できるかわかりますか? それは、本当に家のことがきちんとわかっていて、かつユーザーのことを心底考えて家をつくってくれる工務店、ビルダーに家をつくってもらうことです。では、本当に家のことがきちんとわかって、ユーザーのことを心底考えてくれるかどうかの一番よいバロメーターは何だと思いますか? それが『構造計算』なんです。『構造計算』は工務店やビルダーにとって義務づけられていなく、コスト増になるため、普通はわざわざやりたくはないものです。それにもかかわらずユーザーさんの命を守るため、財産を守るため、構造計算をあえて全棟で実施する『重量木骨の家の会』は、まさに本当に家のことを理解し、ユーザーのことを心底考えている工務店、ビルダーの集まりとなっていると思うのです」
これまで日本では、明治以降の百数十年の間に約20万人もの人々が地震で命を失い、約100万棟もの家が倒壊により失われてきた。このままでは今後も多くの方々の命と財産が失われていくことは間違いない。日本の木造住宅こそ構造計算を進め、日本の家づくりを一八〇度変えていくことで、今後失う必要のない命を守り、失う必要のない財産を守っていただきたい。そして心からあなたが満足できる資産価値のある家と暮らしを手に入れていただきたい。そんな思いを、本書をお読みいただくなかで少しでも感じていただければ本望である。

金谷年展

(慶應義塾大学大学院政策メディア研究科助教授/2007年当時)
※2012年現在、東京工業大学ソリューション研究機構特任教授

 


このコラムは、2007年に発刊された「家、三匹の子ぶたが間違っていたこと」【ダイヤモンド社】の内容から、

弊社代表取締役田鎖郁男の記事を抜粋して掲載しています。詳細については、書籍をご覧下さい。

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sanbiki「家、三匹の子ぶたが間違っていたこと」 田鎖郁男・金谷年展(共著)

大地震のたびに繰り返される悲劇の本当の原因は何か?本書に、その答えのすべてがある。「日本の二階建て木造住宅の97%以上が構造計算されていない」という事実を知っていますか?“家”の考え方が180°変わる目からウロコの書。
単行本 213ページ 発刊:2007年11月 発行:ダイヤモンド社

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