〜多くのマスコミも誤解した阪神淡路大震災の被害の事実〜【3匹の子ぶたvol.009】

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 あなたの家は「構造計算」されていますか?(3)

多くのマスコミも誤解した阪神淡路大震災の被害の事実


2007年4月8日の記者会見で、石原慎太郎東京都知事は阪神淡路大震災のときに「(自衛隊に派遣要請する)首長の判断が遅くて2,000人が死んだ」と発言した。これに対して兵庫県の井戸敏三知事は翌日「いいかげんな議論はしていただきたくない。誠に失礼だ」と不快感を示し、自衛隊派遣の有無と犠牲者の数は脈絡がないと反論した。

二人の知事の発言は、どちらが正しいのだろうか?

阪神淡路大震災で死亡した方の場所を見てみると、

実に86.6%と大半の方が自宅で亡くなっている。

神戸市内の死者の死亡原因では83.3%の方が建物の倒壊や家具の転倒を原因とする「窒息死」や「圧死」「頭部や内臓などの損傷」などであった。次に多い死因は火事による「焼死」で12.2%。しかし、この火災をさらに調べてみると、そのほとんどが家の倒壊が原因で火事が起こったり、延焼しやすくなったりし、さらに家の倒壊によって避難できなかったことが、尊い命を奪った理由であることがわかったのだ。
したがってこれらを合わせると、亡くなった方の何と98〜99%までもが、多かれ少なかれ家の倒壊が原因になっていたのである。すなわち家が倒壊さえしなければ、これらの方々のほとんどが死ななくてすんだといえる。
さらにこの大震災で亡くなった方の死亡時刻を見てみると、もう一つの重大な事実がわかる。専門性の高い監察医のデータによれば、現場で亡くなった方々の約92%が地震発生後14分以内、すなわち地震が起きて間もなく、すでに命を失っていたのだ。臨床医のデータを加えても14分以内に八割以上が亡くなっている。大地震で倒壊した家のほとんどは地震が起きてわずか5〜10秒で倒壊したと言われている。犠牲者のほとんどが地震発生直後に家が倒壊し、倒壊後すぐに亡くなっていたのだ。大地震はその揺れ自体が怖いのではなく、大地震が起こったときに倒壊する〝家〟が怖いのである。犠牲になった大半の方々は地震で倒れない家をつくっておく以外には、命を救う方法はなかったのである。

さらに言うならば、突然、激震が襲ってくると多くの人はほとんど何もできないというデータもある。阪神淡路大震災後に行なわれた「大きな揺れの中でどんな行動をとったか?」というアンケートに、

「自分の身を守るのに精一杯」が約2割、
「布団をかぶった」が約3割、
そして一番多かった約4割の人は「何もできなかった」

と答えている。

大地震が来たら、その最中にはただ揺れが過ぎるのを待つしかない。その間に家具が転倒しないように、家が倒壊しないように願いながら。もしかしたら気が動転して、願うことさえできないのかもしれない。
阪神淡路大震災直後にマスコミでは多くの犠牲者を出した元凶の犯人探しが行なわれ、「あのとき村山首相は、地震が起きてからしばらくまったく大災害という認識がなかった」「自衛隊の出動が非常に遅れた」「災害情報システムがなかった」などと繰り返し指摘された。そして、「こうしたことがきちんとできていれば多くの人の命を救えたのに」という世論が広がった。確かにこうしたことは重要なことであり、それによって救われた人がいた可能性があることも否定できない。しかし、地震で人が死なない対策の第一番は、なんといっても建物そのものの耐震性を確保することなのである。つまり木造住宅でも当たり前に構造計算をすることなのである。

 


このコラムは、2007年に発刊された「家、三匹の子ぶたが間違っていたこと」【ダイヤモンド社】の内容から、

弊社代表取締役田鎖郁男の記事を抜粋して掲載しています。詳細については、書籍をご覧下さい。

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単行本 213ページ 発刊:2007年11月 発行:ダイヤモンド社

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