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藤原徹平インタビュー vol.003

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日本の住宅に中間領域を取り戻す

― 中間領域を家の内部につくるために、グリッドを二重線で描いてみるという方法を提案されていますが、具体的にどのようなつくり方でしょうか?

藤原 軸組構法は、通り芯を考えて設計しますが、そうではなく二重線にして描いてみるという手法を取り入れました。僕はこれを「ポリラインフレーム」と呼んでいますが、前職場(隈研吾建築都市設計事務所)で公共建築を手がけたときに、屋内に外部を取り込むために何度か実践しています。ポリライン(二重線)の間を光や風の通り道として、構造体をつくると同時に中間領域をつくるという考え方です。開くことを外壁には期待せず、中間領域と内部空間が立体的に取り合い、その中間領域に対して大きく開いていくことで、外部には品よく閉じながら、縁側に大きく開いていくような日本独自の開放的な住空間を実現します。

外に開くのが難しいなら、家の内部に中間領域をつくってそこに対して大きく開いたらどうだろうか。
藤原徹平さんの「内と外の家」は、隣家との関係に配慮しながら、
季節や時間の変化を感じられる日本らしい住宅の再考を提案しています。

<インタビュー/文:木藤阿由子(建築知識ビルダーズ編集長)>

― 中間領域に着眼した理由を教えてください。

藤原 日本の建築って何だろうと考えたら、世界の建築を見ても、圧倒的に“中間領域”の存在だといえます。大きな軒の下に縁側があって、戸を大きく開いて室内と外がつながっている――このようなつくりは、世界で見ることはありません。しかし、これは外庭があるなど、外部が広くないと成立しないつくりです。当然、すぐ横に隣の家があったら、開きたくても開けない。隣家との関係に配慮して、あえて窓を開けずに壁をつくって閉じていく…これも日本らしい気遣いからくるものですが、そうなると本来日本人が心地よいと感じる軒下の縁側のような場所をつくるのは難しい現実があります。 では、どこに中間領域をつくればよいのか。ハコ(家)の外側につくろうとすると閉じてしまうなら、家の内部に中間領域をもってくればよいのではないか。今回の「内と外の家」は、ここからスタートしています。