株式会社関工務所

技術が自慢の地元密着型工務店。
しかし公共事業の減少と顧客の低予算化で
現場の単価が下落して利益が低迷。
一時期は「このままではジリ貧に陥る」
という危機感を抱くほどだったとか。
そこから設計事務所との協働と
SE 構法の本格導入によって見事にV 字回復。
その試行錯誤の物語をご紹介します。

1990 危機に直面
このままでは
赤字になってしまう…
危機に直面

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 関工務所の創業は明治30 年(1897年)にまでさかのぼります。本拠地である群馬県川場村で100年以上もの実績を積み上げ、わかっているだけでも住宅の施工棟数は1,200 棟以上を数えるほど。
 「先々代が大工出身ということもあり、とにかく施工精度や品質には厳しかったですね。仕上がりが納得いかないのであれば、壊してでもやり直そう、いいものをつくろうという思いは、どんな現場にでも浸透していました」。専務の関敏孝さんはこう話します。
 しかし、1990 年代に入ると、輸入住宅のブームが生まれたり、パワービルダーによるローコスト住宅が市場に現れたりといった変化が生まれます。技術力だけではユーザーを惹きつけられず、他社との競合に巻き込まれてしまうことに。
 当時は1棟あたりの受注金額は1,500 万~ 1,800 万円程度。その価格帯の仕様だと、どうしても既製品を安く仕入れて組み合わせるだけとなり、技術力の高さなど、出しようもありません。ローコストに特化した住宅会社と価格だけで比べられることもしばしばで、利益もろくに確保できないありさまに…。
 その一方、仕上がりにこだわる同社では、施工はすべて社員大工に任せており、10 組の大工で年間25 棟が限界。とても薄利多売の量産体制は不可能です。
「フルに受注できても年間4 億円ほど。当社の社員数、規模でこの売上では赤字です。頭を抱えましたね」と関さん。社内では、切迫した状況への対策が毎日のように検討されました。
 一時期は社員大工の数を減らすことも議題にのぼったとか。しかし「父に一蹴されました。" 私らがこうしていられるのは誰のおかげなんだ" ってね」(関さん)。
 そこで、あらためて自社の特徴、アイデンティティを見直すことに。
「これだけの腕のある大工を抱えている工務店なんてほかにない。技術の確かさには自信があるんだから、そこをもっと前面に押し出していこう。他社ではできないような設計・施工を見せてやろう」。

2000 SE構法との出会い
その施工精度に
大工が驚き、納得した。

 ●nwse103_0118-7.jpg同社が突破口として選んだのは、設計事務所と手を組むことでした。「昔はいい仕事をすればそれでやっていけましたが、今の顧客は意匠にもこだわりがあります。かと言って社内の設計担当者のレベルアップには相応の時間がかかる。まずは意匠デザインのプロの力によって当社の技術力をアピールしたい、と考えたのです」と関さん。
 年間4~5棟ペースで設計事務所との仕事を続け、少しずつその設計ノウハウを吸収していきました。同時に群馬県の家づくりコンクールなどにも積極的に応募。結果的に13 年で19 件もの受賞を勝ち取り、認知度の向上にもつながりました。
「設計事務所との仕事では細部に至るまで要求が厳しい。おさまりをどうするか、必死になって考えることで、大工だけでなく各協力業者や現場監督も含めた技術レベルが一段と向上したように思います」(関さん)。
 意匠・設計面でも大いに刺激を受け、自社の設計・施工による注文住宅においても、木造在来工法による自然素材の家という路線が確立していきます。 
 1998 年にはSE 構法にも出会います。もともと施工技術については積極的に情報を集め、研究に取り組んできた同社。断熱通気工法や外張り断熱も早くから採用し、集成材と金物による合理化認定工法なども試していたといいます。
「でも、システム化された工法の多くは物足りなかったですね。マニュアル通りに施工しても、構造の隙間やゆがみが気になってしまう。当社の大工の手作業の精度が高いものだから、" 今までの在来工法のほうがいい"という結論になることがほとんどでした」。
 そんなある日、4 社参加でコンペが実施されることに。その他の3 社がゼネコンだったので、町場の工務店ならではの特徴を出そうと、木造で計画する方針が採用されました。そこで着目したのがSE 構法です。
「要望やプラン内容を考えると、普通なら重量鉄骨造を選ぶところですが、SE構法ならスパンを飛ばしやすくて、コストも抑えることができました。条件的にちょうどよかったんです」と関さんは振り返ります。
 実際に施工してみると、普通に施工していくだけで構造材にまったくズレが生まれず、「防水工事の業者も"下地が揺れないねえ。施工しやすい"と喜んでいました」。
 NCNの構造設計担当者と打ち合わせすることによって、通常なら
構造に大きな負担のかかる屋上緑化も実現。「SE構法ならプランニングの幅も広がるんだなあと実感しました」。

2009 SE構法本格化
SE構法専門の
ブランドを立ち上げる

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 しかしその後、同社におけるSE構法受注のペースは年に1棟あるかないか、という足踏みを続けます。その頃には、在来工法による自然素材の家の受注がメインになっており、SE構法は3 階建てやビルトインガレージを希望する建主の場合にだけ、限定的に提案されていました。
「もちろん質的にいいものだということは確信していたんですが、これまで会社的に在来工法を推してきただけに、急に手のひらを返すようにSE構法に全面的に切り替えるわけにはいきませんでした」。
 もともと在来工法によって信頼を築き上げてきただけに