株式会社星野建築事務所

物件の独自性は顧客が作り出してくれるもの。
緻密なヒヤリングが、実現への近道です。

 新潟市内で設計士として活躍していた星野雅明さんが不慮の事故で亡くなったとき、息子の貴行さんはデザインの勉強をする21歳の若者だった。急ぎ事務所を引き継ぎ、残された仕事を仕上げることはできた。しかし「信頼してくれる人もいませんから、仕事は途絶えましたね」
そんななかでプレゼンに参加する機会を得るようになる。当初からハウスメーカーに対抗しても敵うわけがないと、独自性をアピールしてきたそうだ。しかしアイデアは次々に湧いてくるものの、具体化させるノウハウがない。受注に繋がれば幸運だが、一方でいかにして実際に形にするのか、頭を悩ませることになったという。さらに現場に出つつ、一級建築士の資格取得のために勉強もする。「とにかく覚えよう、チャンスをモノにしようと必死の毎日」だったのである。
だがこの努力が実を結ぶことになる。オリジナリティ溢れる物件は次第に注目を集め、10余年で100棟を超える住宅や店舗の設計・施工を行うまでになった。この人気の理由が徹底した顧客目線による設計だろう。ヒヤリングに時間をかけ、注文住宅の範疇を超えた物件を提案してきた。身体にフィットするからこそ生まれる使い心地と住み心地の良さを味わってもらいたいからだ。

 

「住む人が決まらなければ家づくりはできない。設計上のコンセプトは“The○○家”ってことなんです」
予算が許す限り、既成品は使わない。つまり既製品のみの家は自社のポリシーに反すると設計することもない。だから
「要望に対して“できない”は禁句。限界線を引いていたら成り立たちません」
 顧客の要望、デザイン的なアレンジに加え、時には顧客の身長さえも視野に入れると星野さん。身長を基準に最適な高さ、広さ、サイズなどを導き出すという。必然的に設計にも時間がかかり6カ月~1年を要することになる。施工も手間がかかるが「いいものを作るためには難しいのは当然」と意に介した様子もない。星野さんは顧客の要望を踏まえ、最終的に構造、デザイン、性能がバランス良く備わった設計に帰結させていく。「最初に構造を考えます。夕暮れ時になれば、家の色や素材は見えなくなり、家のシルエットが浮かび上がる。ロケーションとも融合した美しさを備えるために、骨格に高いレベルを持たせたい」 SE構法には骨格がスマートなうえに、構造的に考えられ、さらに耐震性という安心感があるとお気に入りの様子だ。市内には雅明さんの設計による物件も多く、住宅、店舗、ビルと多岐に渡る。「現役の頃の父の仕事ぶりが理解できるのは、同じ設計士だからでしょうね。いま見ても勉強になります」

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 ショールームとホームページが集客の手段。
今後はマーケティングにも注力していきたい。

星野建築事務所ではチラシを配ったこともなく、営業担当も置いていない。そんななかで、能動的な宣伝手段を取るのがショールームだ。インテリアショップを集めたスイートホームストア内に2002年に開設した。
「家もインテリア感覚で自由に作れる、ということを発信したかったんです。また弊社のイメージを若い世代に記憶してもらうのも目的ですね」

 

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 施工事例写真や模型を展示し、資料請求ができるアンケートを置く。月20件の請求が来るという。また新潟県版の住宅情報誌の広告からもショールームへ誘導ができており、ショールームからホームページへ、またホームページからショールームへという流れも完成しつつある。さらに同社は“roomz”という名称で展開しているが、その理由は「roomsだと膨大な検索数になるが、最後をZにすれば確実にヒットする」から。欲しいものは貪欲に調べる、若者の特性を見極めたネーミングなのである。その結果、顧客の9割がショールームまたはホームページからというのだから効果は絶大だ。 しかしホームページにはクリック数がカウントできないため、情報収集に役立っていないと頭をかく。またアンケートに記載される内容も「データベースになると最近気付いた次第で……」と苦笑い。「これからの10年はマーケティングを視野に入れ、会社経営にどう活かしていくかが課題になるでしょう。ただ僕自身、どこか設計士としての自我が強い。経営者と設計士、その折り合いをつけるのが当面の目標かもしれません」 
 

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株式会社星野建築事務所
新潟県新潟市中央区窪田町2-116
Tel.025-229-2302
URL  http://www.roomz.jp/
E-mail  info@roomz.jp