株式会社 エーティーエム建築

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代表取締役社長 笹川晋也氏line_lite

 顧客と向き合って求められる情報を提供。
良質な人間関係を築いて「選んでもらえる会社」に。

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 「ただ売るだけ」の家ではなく責任を持って提供できる住宅へ。設立以来、変わらぬ方針をもとに常に情報発信を続ける。
顧客心理を見据えた戦略で自社の姿勢、社風をアピール。エーティーエム建築の家づくりは信頼関係の構築から始まります。

line_lite自信を持って顧客に提供できる家づくり
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笹川晋也さんがエーティーエム建築を立ち上げたのは、1995年のこと。それまでは分譲住宅の会社で営業を担当していました。
「分譲住宅の場合は最初から土地も含めて予算が決まっていて、その枠内でしか建築することができません。私を信用して購入を決めてくださったお客様に対して、自信を持ってお勧めできるような家を提供したいと思いました」と笹川さん。

また「住宅を販売する」という立場だと、どうしても「売ること」が目的となり、その後のアフターケアまでは手が回らないということも、笹川さんにとって大きなストレスになっていました。「一生ものの家を買うお客様に責任を持ってケアできない状況というのは、我慢がならなかったですね」。

勤務して10年が経過したころ、笹川さんはSE構法の存在を知ります。「住まい手を守る、という理念が一貫していて”これはいい”と心に残りました」と笹川さん。さっそく当時勤務していた会社にも採用を進言したものの、「コストがかかりすぎる」と却下。

「でも、いいものを知ってしまった以上、それ以下のものは売りたくない」。笹川さんはそのあとすぐに独立。98年にSE構法登録店に加盟してからは、受注した住宅すべてにSE構法を採用しています。予算が足りないというお客様には、床面積を調整してでもSE構法を勧めているそうです。
「断面欠損がなく集成材を架構できるというのは説得力がありますよね。阪神淡路大震災から東日本大震災まで、ここ20年くらいの間に大きな地震が何度も発生していますが、SE 構法なら自分の子どもが建てるというときでも自信を持って勧められますよ」。

line_lite「いいもの」の価値を顧客に伝える

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志高くスタートしたエーティーエム建築でしたが、当初は人脈も実績も乏しく、思うように売上も伸びなかったといいます。
「独立してから9年間で新築は30棟程度しか受注できませんでした。下請け仕事をこなしていましたがいつ倒産してもおかしくない状況でした」。当時の苦境を笹川さんはこのように振り返ります。

このままではいけない、と笹川さんはマーケティングの手法を勉強します。
「つまり、” 売り方”です。” いいものを安く”では、やっていけない。いいものの価値をお客様に認めていただかなくては。どうやって伝えるか。その方法をずっと考えていきました」。

まず着手したのは、顧客層の分析です。今、新築住宅の主要な顧客層となっている20~30代の消費者の行動原理や心理について、書籍やセミナーなどを通して学んでいきました。
「住宅は2,000万円以上はする高額な商品。チラシやホームページで売り込んだからといって、すぐに買ってもらえるものではありません。私たちがモノを買うときに何をするか。まず、商品について、情報収集してから買いますよね。ならば売り込みよりまず先に、お客様に対して情報を発信する必要がある、と考ました」。

atm02見学会やホームページなどを通して寄せられた問い合わせには、笹川さんの著書「26年でダメになる家に35年ローンを組むのはやめなさい」やNCNの関連書籍などを送付。送付先はリスト化し、その後も自社のニュースレターを毎月送り続けました。

ニュースレターの内容は、見学会の告知や社員のコラムなどが中心に。「人がモノを買うのは、予算があって必要が生じたとき。それもどこの会社でもいいわけではなくて、自分が共感できる、好感を持てる相手からしか買わない。高額商品であればなおさら、よく知らない相手から買おうとは思わない」。そんな笹川さんの考えから、ニュースレターでは売り込みの要素はなるべく排除し、会社の姿勢や社員の人間性を伝えることが優先されています。

ニュースレターの発行は今年で8年目。現場の大工や職人にもコラムを書いてもらっています。現在は2,000件の見込み客・OB顧客に送付しているそうです。
「一時期、ちょっと件数を絞ろうかと思ったこともあるのですが、5~6年前のニュースレターを持って依頼に来られるお客様も出て来るようになりました。即効性のあるものではなく、続けることが重要であるようです。種まきのつもりで取り組んでいます」と笹川さん。

line_lite消費税引き上げに備えて取り組み改善line_lite

主要な集客の場である完成見学会についても改善を進めています。「見学会の告知のために、A2のサイズで両面カラー印刷で5万枚のチラシをつくったことがあります。

しかし、たった2組しか反応がありませんでした。その後、マーケティングの勉強をして、商品の売り込みをしないように文面を変えました。こういう構法がありますよ、見に来て家づくりの知識を増やしませんか、という知人に呼びかけるような内容です。A4サイズ両面コピーで8,000部撒いたところ、18組の来場がありました。カラーとか写真とか、そうした小手先のことではなくて、押し付けや営業行為を嫌がる顧客心理にきちんと向き合えばいいのだな、ということがよくわかりました」。

見学会の場でも、来場者に対して一方的に説明をすることはありません。「なぜ見学会にいらしたんですか?」「なぜ住宅に興味があるんですか?」と、逆に質問をしていきます。笹川さんは「” なぜなぜ作戦” です」と笑います。

見学会でいきなり受注をとろうとアプローチすると、来場者は警戒してしまいます。まずは、コミュニケーションを図ることで、関係づくりから始めていこうというわけです。「なぜ」と行動原理をたどっていくことで、その相手の価値観や状況が自然と聞き出していくことができるそうです。「アンケートをその場で渡しても生きた情報はなかなか書いてもらえませんからね」と笹川さん。

atm03接点ができたら、「資金計画がいちばん大事」という話をして、相手が興味を示すようであれば、「今日はじっくりお話ができないので」と次回面談のアポイントメントをとります。
「家づくりに本気のお客様がもっとも気にしているのは、資金計画ですからね。最初にお金の話ができれば、信頼関係はぐっと深まります」。面談時には、意志決定のキーパーソンは誰か、親の同意はあるのかといった要望の背景も含め、聞き漏らしのないよう、じっくりとヒアリングしたら、見積もりと提案はスピーディーに。
「その場で手描きの間取りと概算の見積もりを出します。見積もりはひな形をつくってあり、数字を調整すればすぐに金額が出せるようになっています」。必要以上に競合相手に振り回されないよう、決断できる要素を提供する準備を整えてあるのです。

「今は、ハウスメーカーと相見積もりしているお客様も歓迎しています。もうそちらでおおよその基本設計や敷地調査も終わっていますから話が早い。あとは間取りや価格、仕様などに対する不満をヒアリングして解消する提案をすればいい。SE構法は自由度が高いので、他社で” できない” と言われたことにも対応できるのが強みになっています」。

迷う顧客の背を押しているのが、OB顧客に書いてもらった感想文です。いいこともそうでもないこともそれぞれ書かれていますが、そんな声をオープンにすることで、同社は顧客からの信頼を獲得することができています。

年に2回、NCNで開催している構造部材の工場見学会も同社にとっては重要な顧客対応のコンテンツになっています。午前中に設備メーカーのショールームを見学し、午後に工場見学会。移動の間はバスの車中で社員と見込み客が接点を持ち、関係を深めていきます。工場見学会の告知もニュースレターを通じて2か月前、1か月前の2 回行われ、毎回10組以上の参加があるといいます。

こうした独自のマーケティング理論で営業手法を確立させた笹川さんですが、消費税引き上げを控えてその対応にも余念がありません。
「今年前半は、顧客の様子見もあったのか、受注に苦戦しましたが、これから一気に動きそうですね」。そこで新規顧客の入り口になる商品として、仕様などの規格化を進めたパッケージプランを用意。
「消費税引き上げに関連する駆け込み受注が一段落したら、大きく市場は冷え込むはず。今のうちに、受注は確保しておかないと」。

またOB顧客向けには毎年秋に恒例となっている感謝祭イベントのほか、7月にはOB顧客限定のバーベキュー大会も企画しています。「OBのお客様の中には、何組もご紹介いただける人もいます。今後、新規が落ち込む分、OBのお客様との関係をより強化しておきたい」と笹川さん。地元を中心にしっかりと人脈の根を広げることで、これからの時代に生き残りを図ろうとしています。

株式会社エーティーエム建築
奈良県橿原市曽我町1196-2 Tel 0120-137-147