木造で共同住宅を計画するための関連法規まとめ
共同住宅は、法27条による特殊建築物です。法27条1項により3階以上を特殊建築物の用途に供する建築物は、耐火建築物とする必要があります。ただし、特殊建築物の用途のうち下宿、共同住宅、寄宿舎については、防火および避難に関する一定の技術基準に適合する準耐火建築物とすることができ、防火地域以外の区域内に建設することが可能です。このコラムでは、木造で共同住宅を実現するための関連法規の規定についてポイントをお伝えします。
<このコラムでわかること>
・木造の共同住宅における耐火上の要件
・木造の共同住宅における内装制限
・木造の共同住宅の計画で建築基準法以外に注意すべき規定
エヌ・シー・エヌ共同住宅実例はこちら
木造の共同住宅における耐火上の要件
共同住宅については、利用者が特定の者で建物の構造を充分に理解していること、円滑な避難が期待できること、および各住戸ごとに小規模区画されており火災の拡大が比較的遅いことなど、防火上や避難上、他の特殊建築物に比べて有利な条件を有していることから、防火および避難に関する一定の技術基準に適合する準耐火建築物とすることができ、防火地域以外の区域内に建設することが可能です。(耐火建築物としなくてもよい木造3階建て共同住宅の詳細はこちら)
下記の表で、階数別、高さ別、規模別に耐火上の要件をまとめます。
<備考>
・「その他の建築物」とは、耐火建築物・準耐火建築物以外の建築物のことです。
・防火地域・準防火地域に建てる場合には、別の規定があります。
・複合用途の建築物とする場合は、上表だけとは限りません。
・本記事は2019年5月末段階の法規の情報となりますのでご注意ください。
・建築基準法やその他基準の改正により、内容が変更することがあります。
木造の共同住宅における内装制限
木造の共同住宅の場合、内装制限は、下記の表に該当する規模になると、内装に不燃材料、準不燃材料、難燃材料等の使用が必要などの制限がかかります。
<備考>
・その他:火器使用室、地階や無窓居室および避難経路は内装制限を受けます。
・本記事は2019年5月末段階の法規の情報となりますのでご注意ください。
・建築基準法やその他基準の改正により、内容が変更することがあります。
木造の共同住宅の計画で建築基準法以外に注意すべき規定
共同住宅の計画で建築基準法以外に注意すべき規定があります。
消防法施行令では、消令別表第1(五)項ロの防火対象物に対する屋内消火栓などの消火設備、自動火災報知設備などの警報設備、避難設備、消防用水、および消火活動上必要な施設に関する各設置基準が定められていますので、それぞれの規定を参照してください。
まとめ
木造の共同住宅では、防火区画において、建築基準法施行令112条の規定以外にも、高さ13mまたは軒の高さ9mを超える木造の共同住宅にあっては、3階建て建物の周囲に十分な空地として幅員が3m以上の通路が設けられない場合には、延べ床面積が200m2を超えるものについて、床面積200m2以内ごとに防火区画する必要があります。(建築基準法施行令129条の2の3)
木造で施設を計画する際には、建築基準法に加え、関連する条例等を遵守することが求められます。法律や条例等は常に改正されていきますし、その解釈や運用については該当の行政窓口や指定検査確認機関等により異なりますので、本コラムの内容は「記事掲載時の一般的な考え方」であることのご理解、ご了承をお願いします。建築実務者の皆様においては、常に最新の法規等の情報をチェックしつつ、該当の行政窓口や指定検査確認機関等によく内容を確認をしてから設計や施工を進めていただくようお願い申し上げます。
NCNへのご相談は無料となっておりますので、お気軽にお問い合わせください。