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改正民法で契約ルールが変わる!瑕疵から契約不適合へ

  • 改正民法で契約ルールが変わる!瑕疵から契約不適合へ -

企業や消費者の契約ルールを定める債権関係規定(債権法)に関する改正民法が202041日に施行されました。改正民法により契約重視に大きくかじが切られ、「契約不適合」が生じた場合の設計事務所や建設会社の責任は今まで以上に重くなりますので、契約書や約款などを見直す必要があります。設計事務所や建設会社の責任が問われる範囲も広くなっていますので、注意が必要です。このコラムでは改正民法における建築分野の概要についてお伝えします。

 

<このコラムでわかること>

改正民法により瑕疵担保責任から契約不適合責任へ概念が変わる

改正民法における契約不適合責任とは?

改正民法における契約不適合責任で生じる発注者の4つの権利

改正民法で契約関係を打ち切りやすくなる

・まとめ

 

改正民法により瑕疵担保責任から契約不適合責任へ概念が変わる

改正民法により瑕疵担保責任から契約不適合責任へ概念が変わる

民法が改正されて20204月から建設工事等における契約ルールが大きく変わります。改正されたのは、民法の中でも「債権法」と呼ばれている条項群です。物の売り買いといったビジネスルールの基本を定義した部分です。

今回の改正民法は、「契約社会」を志向し、当事者同士の契約をより重んじる傾向にあるとされています。多数に及ぶ改正条項には建築の施工契約に一般的に用いられる「請負契約」に関するルールも含まれます。

最も大きな改正点は、従来「瑕疵担保責任」と呼ばれてきた責任の在り方は、改正民法では「契約不適合責任」という言葉に置き換わります。引き渡し後の紛争解決フローも変化します。

こうした改正に合わせて、建築業界で一般的に使われていた契約約款の改訂が、各団体で進められました。

改正民法が施行された202041日以降に締結された契約は、すべて改正民法が適用されますので、契約約款も改正点を反映する必要があります。

 

改正民法における契約不適合責任とは?

改正民法における契約不適合責任とは?

建築物を引き渡した後の施工者の責任は、「瑕疵担保責任」と呼ばれてきました。

改正民法は、請負契約も売買契約に準じた契約類型と再定義されました。そのため、売買のルールが建築行為にも影響してきます。その最も端的な言葉が、「契約不適合責任」です。

契約不適合に該当するのは、

「引き渡された成果物が、種類、品質または数量に関して契約内容に適合しないとき」

とされています。契約不適合の対象となるのは、「種類」「品質」「数量」の3つの要件です。

 

改正民法における契約不適合責任で生じる発注者の4つの権利

改正民法はさらに、この契約不適合責任が見つかった場合、発注者は下記の4つの請求について権利行使できます。

 1.追完請求権

 2.代金減額請求権

 3.損害賠償請求権

 4.契約解除権

1.追完請求権」とは、成果物に存在する不十分な部分を受注者に是正させる権利です。契約不適合があると判断された場合、修繕や代替物の引き渡しなど求められることです。

2.代金減額請求権」とは、受注者が履行不能または履行拒否を主張して「1.追完請求権」では解決できなかった場合、成果物の不十分な部分を金銭的に補わさせる権利です。契約した内容と現状の差異を見積り、その分の代金減額を請求されることです。

3.損害賠償請求権」とは、実際に発注者側へ損害が生じた場合の権利です。この責任を受注者が負うのは、受注者に「責めに帰すことができない事由」がない場合に限る、と規定されています。

4.契約解除権」とは、受注者の帰責事由がなくても発注者が請求できる権利です。従来も建物が完成するまでは可能でしたが、改正民法では完成後も請求できるようになります。

 

改正民法で契約関係を打ち切りやすくなる

改正民法で影響が大きいとみられているのが契約解除に関する規定です。

一般的な設計契約は、発注者には中止権があるが、改正前の民法では「契約解除」できるのは設計者側に帰責事由(責めに記すべき事由)がある場合に限られました。

改正民法では帰責性要件が外れました。契約当事者同士が任意に契約関係の拘束を解くルールと位置づけられました。

損害賠償にも直結する債務不履行を理由とした契約解除は、要件が明確化されました。相手方の帰責自由とは関係なく、契約不適合が「契約および取引上の社会通念に照らした軽微」ではない場合、契約解除できるというルールです。

施工契約においては、発注者が契約不適合(債務不履行)が重大なら、建物の引き渡し後でも契約が解除できることになりました。

契約不適合を理由とした損害賠償請求では受注者が帰責性を抗弁できるのに対し、契約解除の場合はこの要件が必要ありません。

 

まとめ

改正民法は運用が始まったばかりなので、判断や解釈がまだ揺れている条項も少なくありません。そうした点も今後の裁判で明らかになってくると予測されます。

本コラムの内容は「記事掲載時に発表されている情報」であることのご理解、ご了承をお願いします。建築実務者の皆様においては、改正民法の実務に関しては弁護士などの法律の専門家に確認、相談していただきながら進めていただきますようお願い申し上げます。

建築業界にとって最も大きな改正点となるのが、不具合や欠陥などを指す「瑕疵」という法律用語の廃止です。新たに「契約不適合」という概念が登場し、解決までの道筋も変わります。契約不適合の対象となるのは、「種類」「品質」「数量」の3つの要件です。

中大規木造の実務に取り組む上でも、建築実務者の改正民法対応は、まず契約書式や契約約款の切り替えです。

具体的には、瑕疵かどうかではなく契約に適合しているかが問われるようになります。例えば、耐震性能について契約内容と設計・施工されたものが異なった場合は、契約不適合に該当する可能性があります。

中大規模木造の構造設計、構造躯体において、NCNが提供する耐震構法SE構法は、契約不適合の対象となる3つの要件を守りやすい工法です。

「種類」:JAS規格の構造用集成材が標準であり、トレーサビリティも明確である

「品質」:設計、構造材、専用金物、プレカット、施工まで独自に定めた基準がある

「数量」:設計、積算、プレカット、施工まで一貫のシステムがあり、数量等も明確に示せる

 

NCNでは、SE構法によるJAS構造用集成材を活用した、非住宅の構造設計のご提案、構造材料の手配・プレカット、施工者のご紹介に合わせまして、JAS構造材個別実証事業に関しまして、ご提案と申請サポートをさせていただいております。

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【次回のコラム→契約書の重みが大きく増す改正民法で建築実務者が守るべきポイント 改正民法の実務的なポイントを解説します。】