カテゴリー別アーカイブ: 吉村靖孝

yoshimura_intevew004

吉村靖孝インタビュー vol.004

Share on FacebookTweet about this on TwitterPin on PinterestShare on Google+

たくさんの家をみんなでつくる

― 「アプリの家」は具体的にどのような家になるのでしょうか?

吉村 アプリをつくるにあたって、柱や梁のような主要構造部材だけでなく、間柱や根太などの2 次部材(小梁や間柱など)も点数を減らし極力シンプルにすることを考えました。その結果、柱や梁が間柱や根太を兼ねるカゴのような構造体が生まれました。平面的(縦横)には在来木造と同じ910㎜のグリッド、立面的(高さ)には1200㎜のグリッドです。柱や梁が多いと効率がよくないように見えるかもしれませんが、大きなフレームを使うと2次部材が増えます。小さな格子モジュールを採用することで部材の種類を減らすことができ、コスト削減にもつながります。部材も軽くなるので施工時の負担も減らせます。

― 床や壁は、どのように決めるのでしょうか?

吉村 アプリの家は、このグリッドに合わせて床・壁のパーツを選んで家をつくっていく仕組みになっています。まず、2間×3間から3間×7間までの長方形平面で広さを選びます。2 階の床の面積は、好きなように決められます。床は、2400㎜、3600㎜、4800㎜に設置可能で、たとえば、1.5 階分の天井高さ(3600㎜)を持つ部屋や、0.5 階分の天井高さ(1200㎜)の小屋裏収納など、さまざまな場所をつくることができます。スキップフロアも簡単になります。窓もグリッドに合わせて好きな位置・高さに配置します。壁面をすべて窓にすることも可能です。ただし、柱を取り除くことはできないので、全面大開口にはなりません。

 ここまでの流れを一般ユーザーがアプリ上でシミュレーションするのです。ユニット家具のパーツを選ぶように、住宅パーツを組み合わせて自分の家をバーチャル設計します。その過程で価格が表示されるため、ユーザーは価格を把握しながら、どこで(どういうカタチで)設計をとめるかを自分自身で決めることになります。アプリを介して、ユーザーと家が直結するといえます。

― このアプリがあれば、私でも設計できるような気がしてきました。

吉村 最終的につくった家はSNSなどを使って、みんなで共有できるとよいと思っています。デザインのノウハウを蓄積していくためのプラットホームのようなものです。そうすることで、同じ構造体でも少しずつデザインが変わって展開されていきます。こうしてできたアプリの家が建ち並べば、単に統一感があるだけでなく、各住宅の個性を賑わいと感じられるような、活き活きとした街並みができるでしょう。たくさんの住宅を、建築家に頼らず、みんなでつくる――そんな住宅のつくり方があってよいと思います。

 

自分で設計できる。すぐに値段が分かる。吉村靖孝さんの「アプリの家」は、アプリを使って住み手が家づくりに参加できる新しい仕組みの提案です。
構造部材のパーツ化によって、これを可能にしています。
住み手の知識レベルの底上げができれば、木造住宅の質の向上にもつながっていく――そんな期待が寄せられます。

<インタビュー/文:木藤阿由子(建築知識ビルダーズ編集長)>

yoshimura_intevew003

吉村靖孝インタビュー vol.003

Share on FacebookTweet about this on TwitterPin on PinterestShare on Google+

たくさんの家をみんなでつくる

― 間取り支援ツールは多くありますが、一般ユーザーに対して骨組みからのアプローチは新しいですね。

吉村 専門家の経験に頼る壁量の略算ではなく、SE構法のような厳密な構造計算を行うシステムがバックボーンにあれば、一般ユーザーが家を直接設計することも不可能ではないと思いました。アプリの操作手順は、①家の大きさを決める、②床のレイアウトを決める、③壁のレイアウトを決める、④屋根の形状を決める、というシンプルな流れです。重要なのは、その過程で画面上にコストが表示されるという点。これによって、たとえば家を大きくすれば価格が上がるなど、価格の根拠も知ることができます。単なる設計支援ではなく、構造計算に裏付けられた躯体が価格と一緒に表示されるので、そのまま買って建てられるものになっています。このアプリで設計して、躯体を買い、それを建築家や工務店とカスタマイズしていくこともできるし、DIYでつくっていくこともできます。

自分で設計できる。すぐに値段が分かる。吉村靖孝さんの「アプリの家」は、アプリを使って住み手が家づくりに参加できる新しい仕組みの提案です。
構造部材のパーツ化によって、これを可能にしています。
住み手の知識レベルの底上げができれば、木造住宅の質の向上にもつながっていく――そんな期待が寄せられます。

<インタビュー/文:木藤阿由子(建築知識ビルダーズ編集長)>

吉村靖孝インタビュー vol.002

Share on FacebookTweet about this on TwitterPin on PinterestShare on Google+

たくさんの家をみんなでつくる

― 住宅設計支援アプリを提案しようと思った理由は何ですか?

吉村 住宅は愛されて長持ちするもの。建築家の建てる家は、オートクチュールで比較的愛されていると思いますが、それはデザインがよいからだけではなく、設計から完成までのプロセスを共有していることが大きいと思います。パーツ化するにあたって、注文住宅ではなく住宅の量産化を前提とした場合、どうやって家に愛着をもってもらえるだろうかと考えました。それには、住み手が直接設計して、家をつくる過程を理解してもらうのがよいという結論に至りました。その方法として、アプリを提案しています。

自分で設計できる。すぐに値段が分かる。吉村靖孝さんの「アプリの家」は、アプリを使って住み手が家づくりに参加できる新しい仕組みの提案です。
構造部材のパーツ化によって、これを可能にしています。
住み手の知識レベルの底上げができれば、木造住宅の質の向上にもつながっていく――そんな期待が寄せられます。

<インタビュー/文:木藤阿由子(建築知識ビルダーズ編集長)>

yoshimura_intevew001

吉村靖孝インタビュー vol.001

Share on FacebookTweet about this on TwitterPin on PinterestShare on Google+

「アプリの家」 吉村靖孝

SE構法の原点に戻り、必要なパーツを見直し、柱と梁の2種類に。

室内に現れる大黒柱が、新しい暮らしのよりどころになります。

自分で設計できる。すぐに値段が分かる。吉村靖孝さんの「アプリの家」は、アプリを使って住み手が家づくりに参加できる新しい仕組みの提案です。 骨組みは、平面的(縦横)に910㎜のグリッド、立面的(高さ)に1200㎜のグリッドで虫かごのようなかたちをしています。大きなフレームを使うと2次部材(小梁や間柱など)が増えますが、小さなグリッドであれば部材の数は少なくてすむためシンプルです。そこに床・壁のパーツを選んで家をつくっていきます。一般的な木造住宅よりも目が細かく、グリッドに合わせて窓の位置が好きなように決められます。床も自由に配置できるため、スキップフロアにしたり、小屋裏をつくったりすることも簡単です。

ここまでの流れを、アプリを使ってシミュレーションします。ユニット家具のパーツを選ぶように、住宅パーツを組み合わせて自分の家をつくることができるのです。ポイントは価格表示がされること。価格を把握しながら、どこまで設計するのかをユーザーにゆだねます。