2025.05.02お客様の声
【特別対談コラム】快適な暮らしを科学する ~コバヤシホーム~
【特別対談コラム】1985アワード2025大賞受賞記念インタビュー
快適な暮らしを科学する――SE構法とパッシブデザインの最前線
話し手 :有限会社コバヤシホーム 代表取締役社長・小林正和 氏(https://kozen-style.com/)
聞き手 :株式会社エヌ・シー・エヌ 執行役員 環境設計部長・前田哲史

+++++対談コラム+++++
前田 : 本日は、一般社団法人Forward.to 1985 energy lifeが主催する「1985アワード2025」にて、大賞を受賞されました有限会社コバヤシホームの小林正和社長にお話を伺います。小林社長、よろしくお願いいたします。
小林 : よろしくお願いいたします。
前田 : まずは、受賞本当におめでとうございます。発表を拝聴して、設計内容の深さと実測に基づく確かさに感銘を受けました。私自身はパッシブデザインの実務にはまだまだ学ぶべきことが多く、ぜひ今日はさまざまなことを教えていただければと思っております。
小林 : ありがとうございます。こちらこそ、そう言っていただけて光栄です。少しでもお役に立てる情報をお伝えできればと思います。

前田 : 今回は平屋の物件での大賞受賞となりましたが、どのような工法を採用されているのでしょうか?
小林 : 弊社では、すべての新築住宅でSE構法を標準採用しています。木造の中でも非常に強靱で安定した構造体ですし、設計の自由度が高いため、私たちが追求しているパッシブデザインとも非常に相性が良いと感じています。
前田 : 平屋でもSE構法をご採用頂いているのですね。どのような部分がパッシブデザインを実現する際の助けになっているのですか?
小林 : そうですね。例えば大開口を確保しながら耐震性を保つといった設計が可能になりますし、自由な間取りを前提とした温熱設計や風通しの計画を立てやすくなります。もちろん冒頭の写真のように、デザイン的にもお客様にご納得いただける素敵な空間をデザインすることができます。
前田 :なるほど「安心の構造・快適な空間・美しいデザイン」すべてにご活用頂けているのですね。

前田 : 今回の発表では、シミュレーションと実測のデータが豊富で、根拠に基づいた設計がされていることが大変印象的でした。
小林 : ありがとうございます。設計時点では、地域特性や敷地条件を踏まえた「温熱シミュレーション」を必ず行います。完成後には、実際にどのように暮らされているかを「実測(モニタリング)」して、当初の設計意図と実測値のズレを確認します。それによって、次の設計に対するフィードバックが得られるわけです。
前田 : 本当に理にかなった手法だと感じました。特に、プライバシーと日射取得のバランスや、蓄熱の考え方など、工夫に満ちたポイントが多く、とても勉強になりました。
小林 : ありがとうございます。パッシブデザインでは「机上で理想的に見える設計」と「実際に暮らしやすい設計」との間にギャップが出ることがあります。ですから、日射シミュレーションや蓄熱容量の計算など、目に見えない部分をどれだけ可視化しながら設計に反映させられるかが鍵になります。
前田 : なるほど。全物件シミュレーションを行い、建てる前の設計段階で家の性能を決められているのですね。建築主様は、小林社長のような作り手に出会えて本当に幸せですね。
小林 :ご入居頂いたお客様から感謝のお言葉を頂くのが、この仕事をしていて良かったと心底思える瞬間です。そのために夜な夜なとシミュレーションを繰り返し回して設計しています。笑

前田 :エヌ・シー・エヌは、お役に立てていますでしょうか?
小林 : はい、エヌ・シー・エヌさんには、構造計算はもちろん省エネ計算や長期優良住宅申請の業務もお願いしています。特に私たちのような設計と現場監理に時間を使う工務店は時間がありません。申請準備資料が多く、申請後は評価機関とタイムリーにやり取りを行わないといけない長期優良住宅の申請をお願いできて非常に助かっています。
前田 : そう言っていただけて嬉しい限りです。法改正で着工スケジュールが長期化する中で、サポート業務の正確さとスピードには、私たちも常に気を配っています。
小林 : 頻繁に行われる法改正制度の変更点などを常にフォローしていただけるので安心です。パッシブデザインに注力する中小工務店が、高性能な住宅を提供するための裏方として、エヌ・シー・エヌさんの支援はとてもありがたいです。
前田 : ありがとうございます。多くの工務店・設計事務所の皆様にサービス内容をお伝えしたいと思い、1985アワードへの協賛を行っています。SE構法とパッシブデザインとの親和性だけでなく、省エネ計算や評価書申請サポートも是非ご活用いただけたらと思います。
小林 : 構法と申請サポートの双方に信頼を置ける体制があるのは、私たちにとって大きな武器です。

前田 : ありがとうございます。大賞受賞のプレゼンテーションをお聞きし、学ぶことばかりでした。最後に、今後の取り組みや展望をお聞かせいただけますか?
小林 : 今後は「熱を配る仕組み」のさらなる研究に取り組みたいです。1台のエアコンでどこまで空間をカバーできるか、どう分散・蓄熱させるかなど、まだ改善の余地が多くあります。また、中間期の通風や自然利用についても、設計の中に織り込んでいきたいですね。
前田 : ありがとうございます。貴重なお話を本当にありがとうございました。今後とも、ぜひいろいろと教えていただければと思います。
小林 : こちらこそ、ありがとうございました。エヌ・シー・エヌさんとともに、より良い家づくりを続けていければと思っています。今後ともよろしくお願いいたします。
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※本インタビューは2025年春、株式会社エヌ・シー・エヌ大阪支店にて収録されました。