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2024.09.07お客様の声

【インタビュー】関工務所 取締役AD事業部本部長 北爪 俊之 氏(一級建築士)

話し手(北爪):株式会社 関工務所 取締役 AD事業本部長  北爪 俊之 氏

聞き手(前田):株式会社エヌ・シー・エヌ 執行役員環境設計部長   前田 哲史

 

前田

:本日は、群馬県高崎市で明治30年から工務店を営まれています株式会社 関工務所で取締役 AD事業本部長をされておられます北爪 俊之さんに東京赤坂見附の株式会社エヌ・シー・エス東京本社までお越し頂きました。

簡単に御社についてご紹介頂けますでしょうか?

 

北爪

:当社は群馬県利根郡川場村で明治30年に創業し、今年で127年を迎えます。

現在は従業員35名、自社専属大工17名と共に、川場村と高崎市の2拠点で年間30棟の住宅設計施工を行っている工務店です。

耐震構法 SE構法のプレミアムパートナーでもあり、構造設計から省エネルギー計算・性能評価サポートまでエヌ・シー・エヌさんとは深いお取引関係にあります。(笑)

 

前田

:いつも大変お世話になり、ありがとうございます。

 

北爪

:今年度は高崎展示場の移転計画があり、今後の経営戦略を固める年でもあり、エヌ・シー・エヌさんと沢山議論をさせて頂いています。

 

前田

:展示場移転計画について、詳しくお話をうかがえますか?

 

北爪

:高崎市内の幹線道路沿いに良い建設用地を入手することができました。道路から大変よく見える立地で、今後の集客に大いに役立ちそうです。

計画当初、道路からなるべく大きく見えるプランにするように経営会議で方針が決定され、プランニングを進めていました。

北爪

:SE構法での建築を計画していましたので、エヌ・シー・エヌさんの構造担当に構造計画の相談をしたときに、「うちの環境設計にもインプットさせていいですか?」と申し出を頂きました。

 

前田

:なぜ構造担当者が環境設計のインプットを提案したのでしょうか?

 

北爪

:幹線道路が建築地の西側にあり、当初計画していたプランが西向きに非常に大きい開口があり心配になったのだと思います。

 

前田

:環境設計部の担当K氏は良いインプットを持ってきましたか?(笑)

 

北爪

:環境設計の担当K氏の熱意がすごかったですよ!(笑)

これから営業をしていく展示場ですから、SE構法の長所を最大限活用して、パッシブデザインの要素を取り入れましょう!と。。。

敷地の南側に分譲住宅が建っていて、日射取得なんてできないからパッシブデザインは難しいと思うよって言ったんだけどひかなくてね。(笑)

あまりの熱意に少し考えてみようかという気になりましてね。

 

前田

:ありがとうございます。(苦笑)

 

北爪

:そうすると、ふとアイデアが下りてきたんですよ。SE構法なら道路からも大きく見えて、日射取得もできるプランが。

2階だけ90°ぐるっと南を向けるプランを思いついたんです。

北爪

:まあでも、これだけでそんなに変わるもんじゃないだろうと思っていたのですが、温熱シミュレーションの結果を見て、そのインパクトの大きさに仰天しました。

 暖冷房と24時間換気を合わせた光熱費が2/3になりました。高崎は内陸なので、夏暑く冬寒い気候です。地域区分こそ6地域ですが、すぐとなりは5地域と冬の暖房負荷が非常に大きい地域です。その費用が2/3になるというのは、大きなセールスポイントになります。 K氏に理由を尋ねると、北関東の高崎市は瀬戸内海に面する温暖な岡山市と比較して2時間も冬の日照時間が長いことが起因しているとのこと。驚きませんか?群馬県が岡山県よりも冬の日照時間が長いなんて、今まで聞いたことありませんでしたよ!

前田

:いつも省エネ計算はさせて頂いているのですが、そんな話は出たことがありませんね。

 

北爪

:省エネ計算は全国を8拠点の気候で計算しているので、高崎市の省エネ計算を行う際の気象条件は岡山市になっているそうです。今回の計算は、全国841拠点の気象データで計算ができる室温燃費シミュレーション(AE-Sim/Heat Plus)で行っているらしく、日照時間を地域に合わせて正確に計算ができるそうです。

 

前田

:だから2/3になったわけですね。室温燃費シミュレーションだから本当の差が明らかになったということですね。

北爪

:そうなんです。全国を相手にしているハウスメーカーとは違い、地域工務店は限定された地域にしか建築しません。自分たちが建築する地域を深く理解し、その気象条件にピッタリとあったパッシブデザインを提供することができます。

 

前田

ハウスメーカーさんと競合された際に地域工務店の優位性を説明できる重要なポイントですね。

 

北爪

敷地日照シミュレーションからどこにどれだけの窓を設計するかを定量的に考えプランニングに反映することが重要だと思います。一邸一邸丁寧にお客様の家づくりに反映していきたいと思います。

 

前田

:そこまで考えてプランニングしてくれたんだぁ!って感動していただけそうですね。

北爪

:構造の検討をエヌシーエヌにしてもらう様に、日射取得と室温燃費のバランスをチェックしてくれるサービスがあると定量的にプレゼンできて嬉しいんだけどできませんか?

 

前田

今まさにそのサービスを提供できるように日々システム開発に取り組んでいます。近い将来サービス開始できる様に頑張ります。

 

北爪

:楽しみにしています。

 

前田

:最後にこれからの地域工務店の戦略について、ご意見を伺えますか?

北爪

ハウスメーカーと地域工務店では年間に施工できる棟数が違うということです。建材の購入コストはハウスメーカーの方が圧倒的に安く、一見お得感がある商品を提供してきます。  しかし逆を返せば、誰が設計しても、始めても大工が建ててもソコソコの家になるような建材を使い、短時間で棟数をこなさなければ成り立ちません。 私はここに勝機があると考えています。

 地域性や敷地条件に丁寧に向き合いパッシブデザインの提案をする技術を磨き、自社大工がいるからこそ実現できるこだわりのデザイン、ハウスメーカーでは真似のできないデザインを追求するなど「モノ」より「ヒト」に私たちは軸を置く経営戦略をとればいいのではないかと思います。

大量生産されるもので満足されるお客様もいれば、思い入れのある自分だけの一品を望まれるお客様もいらっしゃいます。特に高額な商品をお求めになるお客様は、自分たちだけの特別な一品を選択される傾向があります。地域に根差して127年の信頼と実績はこれからも「ヒト」の力によって受け継がれていくと考えています。

 

前田

:本日は貴重なお話をお聞かせいただき誠にありがとうございました。

今後とも地域工務店様の取り組みを支援できるサービス開発に努めてまいります。

本日はありがとうございました。

 

エヌ・シー・エヌでは、2025年4月省エネ基準適合義務化に向け、建物用途を問わず「省エネ計算サービス」を提供しています。

またAE-Sim/Heat Plus(多数室動的熱解析ソフト)を用いた「室温燃費シミュレーション」サービスの提供も開始しています。

パッシブデザインを展示場計画に取り入れたい、自社の設計手法にパッシブデザインを取り入れたい方は、下記までお気軽にお問い合わせください。

 

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株式会社エヌ・シー・エヌ 環境設計部

050-1780-0264

https://www.ncn-se.co.jp/energy/

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