耐震構法SE構法で構造とコストを両立させる鍵は構造グリッドの理解
SE構法のポテンシャルを最大限に活用するために抑えておきたいのが「構造グリッド」の考え方です。構造グリッドを有効に活用した設計を行うことで、意匠と構造の計画的な整合性が上がり、構造躯体のコストパフォーマンスも向上します。このコラムでは、SE構法の構造グリッドについて詳細を解説します。
<このコラムでわかること>
- SE構法における構造グリッドとは?
- SE構法における平面グリッドの考え方
- SE構法における平面グリッドの組合せ
- SE構法における立面グリッドの考え方
- SE構法における立面グリッドの組合せ
SE構法における構造グリッドとは?
構造グリッドとは、柱・大梁・耐力壁で構成された構造フレームを立体的に組み合わせるための基本となる立体格子状のグリッド線の集まりをいいます。
この構造グリッド上に組み立てられた立体構造フレームが、鉛直荷重・水平荷重に対して安全であるように、構造計画を行ないます。
各階の平面グリッドは下階の平面グリッドと重なるようにしてください。上下階の平面グリッドが合わないと構造的に不安定になり、柱梁等が増えたり部材断面が大きくなったりするなど、構造的・経済的に無駄が多くなります。
SE構法における平面グリッドの考え方
SE構法における平面グリッドの標準寸法は、以下の通りです。
・3階建て 5m×6m
・2階建て 5m×8m
(最大スパンは9m以下、区画面積は50m2以下)
上記の標準寸法は、構造性能とコストなどを考慮した上での「推奨するスパン設定」ですので、SE構法ではその数字を超える計画にも対応は可能です。
SE構法における平面グリッドの組合せ
SE構法では、平面グリッドを配置し組み合わせることで、構造グリッドの平面計画を行います。同じ平面計画でも、平面グリッドの組合せ方法は様々です、平面グリッドの組合せ数が多いほど構造的には強く安全側になります。
SE構法では、平面グリッドを組み合わせるときは、必ず上階の平面グリッドの4隅が下階の平面グリッド上に乗るようにしてください。
SE構法における立面グリッドの考え方
構造グリッドを横から見て立面的に各通り線ごとのグリッド線で囲まれた構造区画を立面グリッドといいます。(各通りごとに考えます)1つの立面グリッドの大きさは以下の通りです。
各階の立面グリッドの両端は、下階の立面グリッドの両端と重なるようにしてください。上下階の立面グリッドが合わないと構造的に不安定となり、部材断面等が大きくなり不経済な設計になります。
SE構法における立面グリッドの組合せ
SE構法では立面グリッドを配置し組合せて行くことで、構造グリッドの立面計画を行ないます。同じ立面でも立面グリッドの組合せ方法は様々です。立面グリッドの組合せ数が多いほど構造的には強く安全側になります。
立面グリッドを組み合わせるときは、必ず立面グリッド線が下階の立面グリッド線上に乗るようにしてください。
まとめ
SE構法では、大小の各構造グリッドが集まって建物全体の構造が形成されます。これらの構造グリッドが一体となって構成されることがSE構法では重要になります。しかしながら、プロジェクトの設計内容次第では、必ずしも構造グリッドがうまく構成できない形状もあります。このような形状のものは、一体であると考えられるゾーンごとに建物を分けて、各ゾーンが別の建物であるとして構造計画を考える「構造におけるゾーニング計画」を適切に行なう必要があります。
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