なぜ木造で福祉施設を計画するとコストが安くなるのか?
福祉施設を木造で計画・設計されるプロジェクトが増えています。背景には国の政策による後押しもありますが、最大の理由はコストです。このコラムでは、なぜ福祉施設を木造で計画すると安くできるのか、その理由についてお伝えします。
<このコラムでわかること>
・福祉施設を木造で計画する最大のメリットはコストが安くなる
・木造は地盤改良費、基礎工事費、構造躯体費も抑えられる
・木造にするとコストが安くなる意外なポイントは「アルミサッシ」
福祉施設を木造で計画する最大のメリットはコストが安くなる
福祉施設を木造で計画する最大のメリットはコストが安くなることです。鉄筋コンクリート造や鉄骨造と比較すると、材料費だけでもかなりのコストダウンになります。
郊外や地方など敷地面積が広いことが多い福祉施設の場合、2階建以下で1,000〜3,000m2程度の面積規模になることが多いと思われます。
準耐火建築物であれば、設計の内容、仕様にもよりますが、ほとんどのケースで木造のコストメリットは顕著に表れます。耐火建築物の場合ですと、石膏ボードの数量が大幅増になるなどの「木造耐火」仕様にする必要があるため、木造のコストメリットは小さくなります。
木造は地盤改良費、基礎工事費、構造躯体費も抑えられる
木造で計画するメリットとしては、地盤改良にも表れます。木造は建物重量が非常に軽いため、地盤の状況次第では杭や地盤改良を必要としない直接基礎が実現可能になります。
木造は構造体として軽量なので、基礎への負担が比較的少なく、配筋やコンクリートの数や量を減らすことができます。鉄筋コンクリート造や鉄骨造と比較すると、とても小さい断面のものになり、結果としてコストを大幅に抑えることにつながります。
木造の構造躯体費は、共有部分などのスパンの大きな空間のみ特注材を使用し、他の部分は一般的に住宅用に流通している木材を使用することで、コストを抑えることができます。木工事の施工はほとんどを大工が担うことになるので、その点でもコストを抑えることができます。
木造にするとコストが安くなる意外なポイントは「アルミサッシ」
木造の場合、住宅用アルミサッシを使用できるのも大きなメリットです。市場で多く流通していますので、ビル用アルミサッシと比較して、大幅に安価な製品を短期間で納入できます。
施工費においても、木造であれば大工工事で住宅用アルミサッシの取付けが可能になります。鉄骨造でビル用アルミサッシの場合は取付けに溶接が必要になることで、設置工事に大工以外の職人が必要となりコストアップにつながります。
福祉施設の設計においても温熱環境は重要なため、高断熱化のために複層ガラスを採用するケースもありますが、住宅用アルミサッシはペアガラスが主流のため、そうした点においても利点となります。
アルミサッシの注意点として、木造用アルミサッシの製作限界を超える場合は、鉄骨用アルミサッシ等で代用することが必要になります。
まとめ
設計の規模や仕様にもよりますが、全体の工事費に対する木工事の割合は3割前後です。工期が比較的短いことで、施工会社の経費や仮設工事費、大工や職人など「ヒト」に関する金額も抑えることができます。
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