~工務店では不安、ハウスメーカーでは不満~【3匹の子ぶたvol.068】

第3章 つくる住宅から、しつらえる住まいへ


工務店では不安、ハウスメーカーでは不満

では、家をしつらえるためにはどうすればよいのだろう。
まず、その仕組みが大切だと考える。
まずは、顧客本意で家をつくってくれる人、工務店に頼もうと考えるのが順当だと思う。
ただし、工務店では構造の知識が十分かどうか、また、その他の性能は実験されているのかどうか不安に思うのは当然である。
ここで、お勧めしたいのが、第三者機関による性能評価制度の利用である。

これまで何度か触れてきたが、2000年に「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」という法律が制定された。
この法律の制定で、施主が望めば第三者の検査を受け、その住宅の性能を法に基づいて評価されることになった。
その評価では、住宅メーカーでも工務店でも同じ基準で評価される。
耐震性に関しては、構造計算が義務づけられておらず、相変わらず壁の枚数を割り増すだけなので、やはり構造計算を受けることをお勧めする。
建築の検査も同時に依頼すれば、欠陥住宅も防ぐことができる。
この方法によって第三者の格付けをもらえば、工務店が小さい会社でも性能面では安心できる。
ただ、小さい会社には倒産するというリスクがあるが、これについてもよい制度ができた。

「完成保証保険制度」である。

小さい会社が請負工事の途中で倒産してしまうと困るという不安に対して、万一、工務店が倒産してもその住宅を完成する費用を負担してくれる保険である。
現在、数万円でその保険は買うことができるので、たいした費用にはならない。
会社の規模による不安が取り除かれれば、あとはデザインや設計力になる。ここでいうデザインとは格好のよさだけではない。その会社が選ぶ内装材料や外装材にも注目してほしい。
住宅メーカーは一般的に、仕上げが一棟ごとに異なると「色がカタログと違う」というクレームの原因になるので均質の素材を利用したがる。
大量消費には大量生産品がマッチする。
これは天然素材が使えないことを意味している。

しかし、長寿命を視野に入れてメンテナンスを考えれば、できるだけ自然の素材のまま使うことが望ましい。
自分の感性にあう素材感は「しつらえ」の基本でもある。 私は、家を建てるときはよい工務店に依頼することをお勧めしたい。
ただし、前述のような、しっかりとした制度を利用することが前提である。

「家を買う」という感覚を捨てなさい
私がいままで見てきた例で、「家を建ててよかった」という方々はどなたも「家を買う」という感覚を捨て、「家を一緒につくっていく」という感覚の持ち主であった。
そして、もう一つの重要なポイントは、よい人に会うことである。
私の立場でいわせてもらえば、法律で義務化されていないのに、木造住宅でわざわざお金をかけて構造計算をしようという工務店は、住む人のために目先に走らず、安心で心底住む人のための住宅をつくるよいつくり手であることが多い。
「建築基準法」で義務のない構造計算をすることは、工務店などの業者にとっては手間がかかることだし、数十万円ものお金がかかることでもある。手を抜こうとする業者は絶対に構造計算をしないだろう。
大空間をつくるだけならコンクリート造にすればいいのだから、木造にこだわることもない。
スギのムク材は一本1,900円で買えるのに、強度の安定した集成材にすれば2,500円は払わなければならない。
建てたら終わりと考える業者はこんな余計なことはしないはずだ。
どんな企業でも、営業のマニュアルをつくるときにはネガティブトークをなるべく避けるのが鉄則だから、場合によっては余計な心配をさせることになる構造計算の説明など、まずすることはない。
それよりも坪単価を安くして売りやすくしたほうがいいと考える。

実際に「構造計算について話すと不安をあおりかねないからいわないように。
断熱性が高くて結露がないことを打ち出したほうがいい」と考えている営業マンに会ったこともある。
収入が少ない人に、予算が少ないからこの家になりますともいわない。
あとでローンで苦しむことがわかっていても、「いまの金利をいかに安く見せるか」というマニュアルどおりに高い家を建てさせる。
こういう営業マンが多いのが、いまの住宅業界である。
そうしたなかにあって、多くのユーザーがあまり興味を示さない構造計算や現場の工程について一つひとつ説明し、
法律でも規定されてもいない手間をいとわずに家を建てようとする業者があったとすれば、それこそが「よいつくり手」の条件なのではないだろうか。

 

sanbiki「家、三匹の子ぶたが間違っていたこと」 田鎖郁男・金谷年展(共著)

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