SE構法誕生秘話

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SE構法誕生秘話

日本住宅の革命『SE構法』は、この二人から始まった。


私の好きな日本住宅の空間

私は日本住宅が好きです。空間や素材感が素晴らしいと思うのです。しかし在来工法では耐力壁を優先して考えるため壁だらけになって、私の好きな日本住宅の空間はできません。それを現代の技術力で実現できないかと取り組んだのがSE構法です。もうひとつSE構法へ取り組むきかけとなったのは、あの阪神淡路大震災でした。震災による死者は5500人を超え、その死因の89%は家の下敷きになったための圧死でした。つまり在来工法のままでは強度がとれないわけです。そこで大型建造物を造る時に用いる大断面集成材に着目し、木の感性と日本的な木組みを生かした、耐震性の高い住宅ができないかと考えるようになりました。

杉山社長からの住宅提案

その頃、冬季オリンピックの舞台となる記念アリーナのエムウェーブの構造設計を担当することになりました。この時の集成材をセブン工業にお願いして、専用の加工ラインを作っていただきました。そしてそのエムウェーブの完成パーティーの席で、当時のセブン工業の杉山社長と出会い、次は住宅にこれを利用できないだろうか、と今のSE構法の基本となる話を持ちかけられたのです。そこから研究は急速に進むこととなりました。最大の課題は、木組みの接合部を構造的に、施工的にどう単純化し、かつデザイン的に美しく見せるかにありました。その研究の成果がSE金物です。できあがると全く分からないように、くさびの原理を応用し、ドリフトピンを打ち込むことにより、柱が引き寄せられる仕組みです。

こうした仕組みを実現しえた背景には、コンピュータ制御のプレカットの精度が近年、驚異的に向上したことがあります。20年前ならできなかった技術なんですね。その結果、当たり前のように行われていた「現場合わせ」が不要になったんです。キチッとした材料、キチッとした加工、キチッとした施工をシステム化したわけです。

高性能集成材と独自金物の開発

SE構法は高強度で均一性の高いプレカット集成材にSE金物を組み合わせることで、構造だけで十分な強度を確保することに成功しました。
衝撃をふわっと緩衝しながら受けとめる機構をもっているのが鉄骨造。SE構法により、その仕組みが木造でも可能になったのです。だから、これを木骨構造って呼んでるのです。木でありながら、鉄骨に負けない強さをもった家ということでですね。この構法の最大の長所は、木造でありながら、鉄骨造やRC造とほとんど変わらない構造計算を取り入れているという点です。だから、性能もきちんと把握できる。在来工法と比べると、坪単価は多少高くなるけど、そういう保証があることを考えると、コスト勝負をする必要はないと思うんです。近頃、話題のスケルトン&インフィルも、SE構法の家の住まい方です。木造の戸建て住宅で、スケルトン&インフィルを実現したのは、SE構法が初めてでしょう。まさに、ここから新しい日本住宅の歴史が始まったと言えるでしょう。

在来工法への不信感

私が、それまで手がけていた大型木造建築の技術を、一般住宅に置き換えられたらと考えたのが、SE構法の始まりでした。その動機は、それまでの在来工法に不信感をもっていたからなんです。文献を見ると、在来工法は明治時代からすでに批判が繰り広げられているんですね。当時から地震で良く倒れたようで、その度に国から「筋交いを入れろ!」「壁を増やせ」と指導するばかりで、構造そのものの根底には目を向けずにここまで来てしまったんですね。大正末期から戦前にかけ木構造の第一人者として活躍した東工大の田辺平学教授は、地震のたびに倒壊する木造住宅を見て「大工の手からノミを奪え」という有名な論文を書かれました。今から70年も前に、木造住宅に金物を使って構造計算をする剛構造を普及しようとした先駆者がいたんです。残念ながら田辺教授の主張は受け入れられず、その後も強度に不安を抱えたままの在来工法が主流を占めているのが日本の木造住宅なのです。それでもアンケートを採れば、今も住まい手の9割は木造住宅を希望しているんですね。つまり、みんな木造住宅に住みたいんです。プレハブでは満足いかないんです。

木造に住みたいという強いニーズ

この木造に住みたいというニーズと木造は強度が弱いという問題点ですが、セブン工業時代に培った大型木造建築の技術があれば、解消できると考えたのです。現実的に無垢材の強度は1本1本違います。だから強度測定をすると6対1とか4対1とかバラつくので、確かな構造計算など不可能なのです。それならば高いレベルで均一の強度を発揮する集成材を利用すれば構造計算ができると考えました。その研究の結果、木材の長所はそのままに、圧縮、引っ張り、曲げ、せん断において無垢材の1.3倍の強度をもつエンジニアリングウッド(JAS構造用集成材)を主要な構造部分に使用しました。さらに特殊な金具の開発でハードジョイントを実現し、確かな構造計算ができる新しい木造住宅を生み出したのです。そのため構造強度に自信があり、構造に保証もつけています。通常のハウスメーカーは自分で造った家に責任をもちます。しかしエヌ・シー・エヌは家を造るわけではありません。造るのは工務店のみなさんです。それでもエヌ・シー・エヌは、工務店が建てた家に対しても責任をもとうというわけです。実際にSE構法は銀行ローンや火災保険に関して、コンクリート住宅並みに評価されているんです。

スケルトン&インフィルの木造住宅

最近はスケルトン&インフィル型のマンションが増えてきましたが、SE構法なら戸建て住宅でそれができるんです。
今後、中古住宅の性能評価が始まることになりますが、そんな時代にこそスケルトン&インフィルの住宅は有利なわけです。間取りが自由に変えられるわけですから、内装を変えてこういう住み方をしよう、ということもできます。それは同時に中古住宅の転売もしやすくなるわけですね。つまりこれからの住宅は社会的耐久性と共に、中古住宅市場で売買される社会的循環性が大切なってくると思われます。