耐震構法SE構法によるトラスで大空間を実現する
中大規模木造で大空間を実現するために特注の「大断面部材」を用いて大スパンを実現することも可能ですが、一般的な建築物において、コストや納期、搬入等を考えると、あまり現実的な選択肢ではありません。SE構法で設計を行う場合には、トラスを有効に活用し、必要に応じた構造と適切な部材選択を行うことで、納期の短縮も、コストダウンも可能になります。
<このコラムでわかること>
・中大規模木造におけるトラスの概要
・SE構法による中大規模木造におけるトラスのメリット
中大規模木造におけるトラスの概要
トラス構造は、構造部にかかる力を圧縮力と引っ張り力の軸力のみに単純化し構造体の安定化をはかるものです。三角形がつり合うことで構造部にかかる力に耐えるようになっており、引っ張る力と引っ張られまいとする力が働き、せん断力が発生しません。
この結果、外力に対する抵抗力が高く、軽量でありながら形が崩れにくいという特性を持ち、材料コストを抑えながら、構造体が変形しにくく、大きな構造物や空間をとることができるのが大きな特徴です。
以上の特性を活かして、トラス構造は大空間に利用されます。
SE構法による中大規模木造におけるトラスのメリット
中大規模木造で大スパンを実現するためには、トラスを有効的に活用することがポイントになります。主なメリットとしては下記の2点です。
1.トラスを構成する部材が軽量で下部構造に局部荷重負担を掛けない
→一般的に流通している中断面の部材で構成できるため、トラス自体は軽量である。
2.輸送効率を含め生産性が良く、製造工期、施工工期が短い
→トラス部材は現場接合が可能で、大断面部材と比較しても容易に部材分割・搬入が可能。
SE構法による中大規模木造建築では、トラスの実績が多数あります。使われるのは他の構造部材と同様に一般流通材の構造用集成材です。登り梁の断面は120×240mmが標準で、束材や斜材は120 mm角が標準です。
SE構法のディテールでは金物が露出しませんので、室内に木の架構を現しにしたトラスが可能になり、美しい空間が実現できます。
まとめ
大スパンの空間を計画するにあたり、単純梁の構造の場合ですと、特注材製作による納期、搬入が可能かどうか、コストアップになるなどの問題で、現実的に単純梁を採用することができないことが多いです。そうした場合に、一つの選択肢としてトラスは有効な設計手法です。
SE構法では様々なトラスの設計、施工実績がございますので、お気軽にご相談ください。