耐震構法SE構法のプランニングがうまくいく設計の考え方を徹底解説
SE構法では、意匠計画と並行して構造計画を考慮して計画することが、SE構法のポテンシャルを最大限に活用することができます。フローチャートの手順に合わせて意匠と構造のバランスよく両立させながらプランニングを行うことが重要なポイントです。
<このコラムでわかること>
- SE構法の設計におけるモジュールの検討
- SE構法の設計における高さの検討
- SE構法の設計における構造グリッドの検討
- SE構法の設計における構造フレームの検討
- SE構法の設計における水平構面の構成
SE構法の設計におけるモジュールの検討
SE構法では、まずモジュールを検討することから始めます。SE構法の基本構造モジュールは、910mm・1,000mmの2種類を標準としています。
- SE構法の基本構造モジュールは、910mm・1,000mm以外も可能ですが、コスト的には不利になります。
- SE構法の基本構造モジュールは、1,000mmを超えるモジュールは対応できません。
- SE構法の基本構造モジュールの混用は可能ですが、構造的、経済的に無駄が多くなります。
SE構法の基本構造モジュールは、合板寸法に合わせることが基本となります。基本構造モジュールは、合板の寸法910mm・1,000mmに合わせると無駄がなく経済的です。小梁間の最大寸法は1,000mmとなります。この基本構造モジュールの上に、通し柱や大梁を配置するようにモジュールを決定してください。
SE構法の設計における高さの検討
横架材間の距離、つまり高さを検討します。各階の梁天端を「GL」という基準レベルで考え、仕上げ厚の加わるFLと区別して検討します。基礎パッキンなどによって柱の下端高さと土台天端のレベルが異なる時は、土台天端を基準の「1GL」として、「1GL ±○○」と表記されます。高さは仕上げ厚を差し引いた横架材間の寸法です。
SE構法では、軒高9mを超える建物も建築可能ですが、構造計算がルート2相当となります。確認申請先にルート2建築主事(特定建築基準適合判定資格者)がいることを事前に確認してください。
SE構法の設計における構造グリッドの検討
構造グリッドとは、柱・大梁・耐力壁で構成された構造フレームを立体的に組み合わせるための基本となる立体格子状のグリッド線の集まりをいいます。この構造グリッド上に組み立てられた立体構造フレームが、鉛直荷重・水平荷重に対して安全であるように、構造計画を行います。
各階の平面グリッドは下階の平面グリッドと重なるようにしてください。上下階の平面グリッドが合わないと構造的に不安定になり、柱梁等が増えたり部材断面が大きくなったりするなど、構造的・経済的に無駄が多くなります。
構造グリッドの詳細は別のコラムでお伝えします。
SE構法の設計における構造フレームの検討
構造フレームとは各通りの立面グリッド上に配置された柱・梁・耐力壁などで構成されたフレー
ムです。この構造フレームは、鉛直力や同じ方向の水平力に対して抵抗する構造材になります。
構造フレームの詳細は別のコラムでお伝えします。
SE構法の設計における水平構面の構成
水平構面とは、梁に合板を直接打ち付けて剛床とし、荷重を各フレームに伝達する役目をします。中大規模木造では一般に、床面・小屋面・屋根面が水平構面となります。
SE構法における水平構面の種類は上記の表の内容になります。SE-DSパネルはオプションです。屋根面に使用することにより、小屋面の火打ち梁が不要になります。
まとめ
SE構法で設計を進める際には、意匠設計者と構造設計者であるNCNとの間で、計画の初期段階からの打合せが重要になります。まずご相談をいただく基本設計案の設計内容に応じて、モジュール、高さ、構造グリッドを決めていきます。次にNCNサイドで構造フレームの検討、水平構面の構成を行ない、意匠設計者へ提案します。
NCNでは様々な中大規模木造の設計、施工実績がございますので、お気軽にご相談ください。