SE構法の施工体制は「全て元請け」と「建て方施工」が選択できる
カーボンニュートラルの実現に向けた世界的潮流や法改正を背景に、日本国内でも「中大規模木造」の市場環境は劇的に変化しています。
しかし、実際の建築現場に目を向けると、多くの設計事務所や建設会社が「施工の担い手不足」という深刻な課題に直面しています。
特に、普段は鉄筋コンクリート(RC)造や鉄骨造を主体としている建設会社にとって、ノウハウや大工の手配が必要となる木造建築への参入は容易ではありません。
エヌ・シー・エヌ(以下、NCN)が提供する「SE構法」は、こうした実務者の皆様の課題を解決するために、柔軟な施工体制をご用意しています。
基本となるのは、認定を受けた「SE構法登録施工店」が元請けとして全工事を行うパターンです。
そしてもう一つが、元請け会社様はそのままに、木造の構造躯体部分のみをSE構法登録施工店が担当する「建て方施工」という選択肢です。
本記事では、中大規模木造建築を成功に導くためのこれら2つの施工体制に加え、非住宅木造建築に特化した新たな仕組みである「大規模木造建築ネットワーク」についても詳しく解説します。
施工の不安を解消し、木造化を推進するための具体的な解決策をぜひご確認ください。
<このコラムでわかること>
◾️中大規模木造の需要拡大と建設会社が直面する施工の課題
・鉄骨・RC造主体の建設会社における木造施工のハードル
・木造ノウハウと大工不足を解決するSE構法のシステム
・プロジェクト規模に応じた施工パートナー選定の重要性
◾️SE構法の施工体制①「SE構法登録施工店」による一括請負
・技術力と品質を担保する「SE構法登録施工店」制度とは
・SE構法施工管理技士による徹底した現場管理
・木造・非住宅・大規模それぞれの得意分野を持つ登録店
◾️SE構法の施工体制② 構造躯体のみを依頼する「建て方施工」
・元請け会社の苦手を補完する「建て方施工」の仕組み
・大工不在の現場でも高品質な構造躯体を実現する方法
・協働体制によるリスクヘッジと施工精度の確保
◾️実務における見積りと施工会社選定のプロセス
・構造設計から直結した積算と建て方費用の算出
・材工共による見積り提出と契約形態の柔軟性
・コストと品質のバランスを見極めるパートナー選び
◾️非住宅木造に特化した新制度「大規模木造建築ネットワーク」
・2025年始動!木造化の市場課題に応える新プラットフォーム
・施工の最適なパートナーを紹介するマッチング機能
・木造建築・SE構法の実績豊富な会社が参画するネットワークの強み
◾️まとめ
◾️SE構法へのお問合せ、ご相談について
中大規模木造の需要拡大と建設会社が直面する施工の課題

世界的な脱炭素の流れや法改正を受け、中大規模建築の木造化市場は劇的に変化しています。
しかし、実際のプロジェクト現場では「設計はできても施工の担い手が決まらない」というケースが少なくありません。
特に、これまで鉄筋コンクリート(RC)造や鉄骨造を主体としてきた建設会社にとって、社内に大工職人が不在であることや、木造特有の施工ノウハウが不足していることは、木造建築参入への大きな障壁となっています。
本章では、市場の拡大に伴い建設実務者が直面している「施工」の課題と、その解決策となるSE構法のシステムについて解説します。
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鉄骨・RC造主体の建設会社における木造施工のハードル
中大規模木造のプロジェクトが増加する一方で、施工を担う建設会社の選定は多くの発注者や設計者にとって悩みの種となっています。
理想的には、発注者が自由に選定した建設会社が全ての施工を行うことですが、現実には大きな障壁があります。
一般の建設会社は、これまで鉄筋コンクリート造や鉄骨造の施工を主体として事業を展開してきました。
そのため、大工さんとの接点がないため手配できず、木造特有の施工ノウハウが不足していたりすることが多く、木造の構造躯体の施工自体が困難であるケースが少なくありません。
木造ノウハウと大工不足を解決するSE構法のシステム
SE構法は、鉄骨造やRC造で主流のラーメン構法を木造に取り入れ、システム化した構法です。
構造計算による安全性の担保はもちろんですが、施工面においても合理的なシステムを構築しています。
従来の在来工法が職人の「勘と経験」に依存する部分が大きかったのに対し、SE構法はプレカットされた高精度な集成材と専用のSE金物を使用するため、施工品質の均一化が可能です。
このシステム化された特徴により、木造施工の経験が浅い建設会社であっても、適切なパートナーと組むことで、高品質な中大規模木造を実現する道が開かれます。
プロジェクト規模に応じた施工パートナー選定の重要性
中大規模木造の施工会社選定には、一般の建設会社から選ぶパターンと、SE構法登録施工店から選ぶパターンの大きく2つが想定されます。
小規模な店舗から大規模な公共施設まで、工事の規模や内容は多岐にわたります。
SE構法登録施工店の中にも、戸建住宅をメインとする工務店から、RC・鉄骨も手掛ける地域建設会社、非住宅を主体とする中・大規模の建設会社まで様々なタイプが存在します。
プロジェクトの規模や建設地、求められる技術レベルに応じて、最適な施工体制とパートナーを見極めることが、プロジェクト成功の第一歩となります。
SE構法の施工体制①「SE構法登録施工店」による一括請負

SE構法を採用する際、基本となる施工体制は「SE構法登録施工店」による一括請負です。
これは、NCNと技術提携を結んだ認定店が元請けとなり、構造躯体から仕上げまで全工事を担当する形式です。
登録施工店には、所定の技術研修を受講し修了考査に合格した「SE構法施工管理技士」が必ず1名以上在籍しており、その技術力によって施工品質が担保されています。
まずは、戸建から非住宅木造まで対応可能なこの登録施工店制度の仕組みと、各社の得意分野の分類について詳しく見ていきましょう。
技術力と品質を担保する「SE構法登録施工店」制度とは
SE構法では、施工品質を確実に担保するために「SE構法登録施工店」という独自の制度を設けています。
これは、NCNと技術提携を結んだ建設会社や工務店のみが登録できる仕組みです。
SE構法の構造躯体を施工する場合、基本となるのはこの登録施工店が元請けとなり、構造躯体を含めた全ての工事を一括で施工する体制です。
この制度により、設計通りの強度と耐震性能が実際の建物で発揮されることを保証し、発注者に対して安心・安全な木造建築を提供することが可能になります。
SE構法施工管理技士による徹底した現場管理
SE構法登録施工店には、必ず一名以上の「SE構法施工管理技士」という資格を持つ技術者が在籍しています。
この資格は、単に登録すれば得られるものではありません。
取得には専門的な技術研修を受講し、修了考査に合格する必要があります。
さらに、資格取得後も更新研修などが実施され、常に最新の技術や知識の研鑽に努めています。
現場を知り尽くした専任の管理技士が施工管理を行うことで、中大規模木造特有の複雑な納まりや工程管理においても、高いレベルでの品質管理が維持されます。
木造・非住宅・大規模それぞれの得意分野を持つ登録店
2026年現在、全国には約600社以上のSE構法登録施工店が存在します。
その内訳は多岐にわたり、①木造戸建住宅主体の工務店、②木造・RC・鉄骨に対応可能な地域の建設会社、③非住宅を主体とする中・大規模の建設会社などに分類されます。
SE構法登録施工店の中から元請け会社を選定する場合、これらの特性を理解した上でマッチングを行うことが可能です。
ただし、大規模な非住宅案件に対応できる③のような建設会社は数として限定的であり、建設地によっては対応可能な登録店が見つかりにくいこともありますのでご注意ください。
SE構法の施工体制② 構造躯体のみを依頼する「建て方施工」

「普段はRC造や鉄骨造がメインで、大工が手配できない」という建設会社に最適なのが、構造躯体部分のみを専門家に任せる「建て方施工」という選択肢です。
これは、元請けとしての立場はそのままに、SE構法の構造躯体工事(建て方)のみを登録施工店に外注し、協働するスキームです。
木造の施工ノウハウがない場合でも、木造躯体のプロである登録施工店と組むことで、無理なく中大規模木造プロジェクトを実現できます。
ここでは、この体制のメリットと、リスクを抑えた施工チームの構築法について解説します。
元請け会社の苦手を補完する「建て方施工」の仕組み
鉄骨造やRC造を得意とする建設会社が元請けとなる場合、最も有効な選択肢が「建て方施工」です。
これは、元請け会社はそのままに、SE構法の構造躯体部分(建て方)の施工だけをSE構法登録施工店に依頼する方法です。
元請け会社に木造のノウハウや大工がいなくても、木造躯体のプロフェッショナルである登録施工店がサブコンとして現場に入り、構造部分の施工を担当します。
これにより、元請け会社は得意な基礎工事や仕上げ工事、全体管理に集中しつつ、木造躯体については専門店の技術を活用することができます。
大工不在の現場でも高品質な構造躯体を実現する方法
中大規模木造において、「木造の構造躯体の施工の担い手」を確保することは必須条件です。
木造の施工には大工が中心的な役割を果たしますが、一般的なゼネコンでは大工を自社で抱えているケースは稀です。
しかし、「建て方施工」を選択すれば、SE構法登録施工店が抱える、SE構法の施工経験が豊富な大工を現場に投入することができます。
専門知識を持った大工が施工することで、大規模な木造フレームや特殊な金物の取り付けも正確に行われ、設計性能通りの強固な構造躯体が完成します。
協働体制によるリスクヘッジと施工精度の確保
「建て方施工」は、元請け会社と登録施工店が協働してプロジェクトを進める体制です。
この体制の最大のメリットは、施工リスクの低減です。
木造に不慣れな会社が無理に自社施工を行って品質トラブルを招くリスクを回避し、施工面を確実に任せることができます。
NCNでは、この協働体制を円滑に進めるために、元請け会社に対して適切なSE構法登録施工店を紹介し、施工体制の構築をサポートしています。
これにより、どのような建設会社であっても、中大規模木造への参入障壁を下げることが可能です。
実務における見積りと施工会社選定のプロセス

施工体制の検討と並行して重要になるのが、正確な見積りとパートナー選定です。
SE構法では、NCNが構造設計を行うことで設計段階から構造材の数量を確定できるため、登録施工店はそれに基づいた精度の高い積算が可能となります。
登録施工店から提出される「材工共(材料費+建て方施工費)」の見積りを基に、元請け会社は全体予算を把握し、「全て任せる」か「建て方のみ依頼するか」を判断できます。
本章では、実務に即した見積りの流れと、コストと品質のバランスを考慮した選定ポイントをご紹介します。
関連:【解説】SE構法による大規模木造の実務プロセス詳細レポート
構造設計から直結した積算と建て方費用の算出
中大規模木造では、設計の初期段階でのコスト試算が難しいという課題があります。
SE構法の場合、NCNが全ての構造設計を自社で実施しているため、このプロセスが非常にスムーズです。
確定した設計内容に基づき、NCNからSE構法登録施工店へ構造材の見積書を送付します。
登録施工店はそのデータをもとに、現場での施工に必要な人件費や経費を含めた「建て方費用」を正確に積算します。
構造設計と積算が連動しているため、精度の高いコスト把握が可能となります。
材工共による見積り提出と契約形態の柔軟性
登録施工店は、構造材費と建て方施工費を合わせた「材工共」の見積書を作成し、元請けの建設会社に提出します。
元請け会社は、この見積りを基に全体の工事費を算出できます。
このプロセスにより、元請け会社は「木造躯体工事」という一つの工種としてSE構法部分を下請け発注する形をとることができます。
施工会社の選定にあたっては、見積金額の妥当性はもちろん、「木造(SE構法)の施工が可能な体制があるかどうか」を確認した上で、「全て元請け」か「建て方施工」かを選択・判断していただきます。
コストと品質のバランスを見極めるパートナー選び
中大規模木造では、工法に関わらず施工の担い手確保が重要ですが、SE構法であれば「建て方施工」という選択肢により、施工会社選定の幅が大きく広がります。
コスト面だけでなく、現場の管理能力や木造への理解度を含めたパートナー選びが重要です。
NCNでは、これまでの豊富な実績とネットワークを活かし、プロジェクトの予算や要望に合わせて、最適なスキームを提案します。
施工体制やコストに不安がある段階からでも、お気軽にお問い合わせください。
非住宅木造に特化した新制度「大規模木造建築ネットワーク」

市場の急成長に伴い、「中大規模木造の実績がある施工会社が見つからない」という課題が増えています。
これに応えるため、NCNは2025年より、非住宅木造に特化した「大規模木造建築ネットワーク」を始動しました。
厳しい要件を満たした全国のプロフェッショナル企業と連携し、設計事務所やゼネコンの要望に合わせて「総合請負」や「専門請負」の最適なパートナーを紹介するこの新しいプラットフォームについて、その概要と活用メリットを解説します。
2025年始動!木造化の市場課題に応える新プラットフォーム
市場の急拡大に伴い、「中大規模木造の経験豊富な施工業者が少なく、どこに依頼すれば良いか分からない」という声が増加しています。
こうした課題に対し、NCNは非住宅木造建築に特化した「大規模木造建築ネットワーク」を設立しました。
これは、従来の登録施工店制度に加え、中大規模木造の受注を積極的に受け入れられる体制が整った全国のパートナーと共に、市場課題を解決するための新たなプラットフォームです。
施工の最適なパートナーを紹介するマッチング機能
このネットワークの核心は、クライアントやゼネコンの要望に応じた最適なパートナー紹介機能です。
例えば、設計事務所が総合請負業者を探している場合は、特定建設業許可を持ち元請けが可能な「総合請負パートナー」を紹介します。
一方で、ゼネコンが木工事のできる業者を探している場合は、建て方施工や専門工種に対応できる「専門請負パートナー」を紹介します。
これにより、「全て元請け」か「建て方施工」かというニーズに対し、より確実でスピーディーな業者選定が可能になります。
木造建築・SE構法の実績豊富な会社が参画するネットワークの強み
「大規模木造建築ネットワーク」への入会には、「SE構法登録施工店であること」に加え、「SE構法での非住宅木造の実績があること」という厳しい資格要件があります。
参画するのは、実際に店舗や施設などの中・大規模案件を手掛けた実績を持つ、選りすぐりのプロフェッショナル集団です。
単なる施工店のリストではなく、木造化を加速させるための「設計・サプライチェーン・施工・品質」に応える仕組みとして、皆様のプロジェクトを強力にサポートします。
まとめ

中大規模木造建築のプロジェクトにおいて、最大のハードルとなりがちなのが「施工体制の構築」です。
しかし、SE構法を採用することで、その課題は解決可能です。
SE構法の施工体制には、大きく分けて二つの選択肢があります。
一つは、技術力のある「SE構法登録施工店」が元請けとして全工事を行う方法。
もう一つは、鉄骨やRCを得意とする建設会社様が元請けとなり、構造躯体部分のみを登録施工店に依頼する「建て方施工」という方法です。
さらに、非住宅分野に特化した「大規模木造建築ネットワーク」です。
実績豊富なパートナー企業とのマッチングにより、プロジェクトの規模や地域に合わせた最適な施工チームの組成がよりスムーズになります。
NCNでは、構造設計から施工者の紹介まで、中大規模木造のワンストップサービスを提供しています。
木造化をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。
SE構法へのお問合せ、ご相談について

大規模木造をSE構法で実現するための流れは下記となります。
1.構造設計
SE構法を活用した構造提案を行います。企画段階の無料の構造提案・見積りから、実施設計での伏図・計算書作成、確認申請の指摘対応等を行っております。また、BIMにも対応可能です。
2.概算見積り
SE構法は構造設計と同時に積算・見積りが可能です。そのため躯体費用をリアルタイムで確認可能で、大規模木造の設計において気になる躯体予算を押さえつつ設計を進めることが可能です。
3.調達
物件規模、用途、使用材料を適切に判断して、条件に応じた最短納期で現場にお届けします。また、地域産材の手配にも対応しております。
4.加工
構造設計と直結したCAD/CAMシステムにより、高精度なプレカットが可能です。また、多角形状、曲面形状などの複雑な加工形状にも対応可能です。
5.施工
SE構法の登録施工店ネットワークを活用し、計画に最適な施工店を紹介します。(元請け・建方施工等)
6.非住宅版SE構法構造性能保証
業界初の非住宅木造建築に対応した構造性能保証により安心安全を担保し、中大規模木造建築の計画の実現を後押しします。
↓SE構法へのお問合せ、ご相談は下記よりお願いします。
https://www.ncn-se.co.jp/large/contact/
NCNは構造設計から生産設計(プレカット)までのワンストップサービスが強みです。
計画段階からご相談いただくことで、木構造デザインの木造建築に関する知見をうまく利用していただき、ファーストプランの段階から構造計画を相談いただくことで、合理的に設計を進めていただければと考えております。
集成材構法として実力・実績のある工法の一つが「耐震構法SE構法」です。SE構法は「木造の構造設計」から「構造躯体材料のプレカット」に至るプロセスを合理化することでワンストップサービスとして実現した木造の工法です。
また構法を問わず、木造の構造設計から構造躯体材料のプレカットに至るスキームづくりに取り組む目的で「株式会社木構造デザイン」が設立されました。
構造設計事務所として、「⾮住宅⽊造専⾨の構造設計」、「構造設計と連動したプレカットCADデータの提供」をメイン事業とし、構造設計と⽣産設計を同時に提供することで、設計から加工までのワンストップサービスで木造建築物の普及に貢献する会社です。
株式会社エヌ・シー・エヌ、株式会社木構造デザインへのご相談は無料となっておりますので、お気軽にお問い合わせください。










