【京都府】中大規模木造の実務ポイントとSE構法の技術
脱炭素社会への移行に向けて、木造化・木質化への流れが加速しています。日本国内においても、各都道府県で県産材の活用などの取り組みを進めています。
京都府は「京都府産木材の利用の促進に関する基本方針」を策定して、公共建築物の木造化・木質化を推進したり、木造の民間施設の建設を支援したりすることで、府産材の需要喚起に努めています。また「ウッドマイレージCO₂京都」や「京都の木証明書」といった認証制度を導入しています。
この記事では、京都府における中大規模木造の実務ポイントとSE構法の技術についてお伝えします。
<このコラムでわかること>
・中大規模木造の普及が進む京都府の特徴
・京都府産木材の利用の促進に関する基本方針
・京都府産木材認証制度
・京都府における公共建築物等の木材利用
・京都府の中大規模木造に最適なSE構法の概要
・SE構法へのお問合せ、ご相談について
・まとめ
中大規模木造の普及が進む京都府の特徴
京都府は、日本の首都が置かれていた歴史があります。
2023年には文化庁の誘致に成功し、中央省庁としては明治以来初めての東京以外への移転となります。
京都府は、北部の丹後半島と舞鶴湾、若狭湾で日本海に面しており、北部に丹後山地、福知山盆地、中央部に丹波高地、亀岡盆地、南部に京都盆地があり、標高1,000m以下の低山地帯を形成しており、府の面積の75%以上が山地・丘陵地です。
府北部は日本海側気候、府南部の宇治市より南は瀬戸内海式気候で、舞鶴・綾部及び丹後は海洋性気候、それ以外は内陸性気候を示しており、府北部を中心に豪雪地帯が広がります。
府庁所在地である京都市への人口集中率が高いです。
京都市や宇治市といった観光都市を抱えるため、観光業は強く、世界遺産が多く、清水寺や金閣寺など様々な寺社があります。
京都府産木材の利用の促進に関する基本方針
京都府では、木材を利用し、森林資源を「循環」させることは、森林の適正な整備につながり、森林の多面的機能の持続的な発揮や地域経済の活性化に貢献することから、京都府が整備する公共建築物等における京都府産木材の率先利用と民間建築物への波及効果を一層促進していくため、「京都府産木材の利用の促進に関する基本方針」として策定しています。
◾️京都府産木材利用の取り組み
公共施設の木造化木質化、公共土木工事での土木資材としての利用、机や室名札等の木製品に京都府産木材が利用されています。
民間建築物においても、府の補助事業の活用等により住宅や商業施設等で京都府産木材が利用されています。
◾️民間との連携
「建築物木材利用促進協定」制度は、「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」の成立に伴い、建築物における木材利用を促進するために創設されました。
建築主等の事業者は、国又は地方公共団体と、建築物における木材の利用に関する構想や建築物における木材利用の促進に関する構想を盛り込んだ協定を締結することができます。
京都府産木材認証制度
京都府産木材認証制度は、京都府産木材の利用により、木材の輸送時に排出される二酸化炭素量(ウッドマイレージCO₂)の削減と森林整備を促進することで、地球温暖化防止を進める制度です。
京都府では、認証制度創設以降、木材の産地(京都府産)とウッドマイレージCO₂を認証する「京都府産木材認証(ウッドマイレージCO₂京都の木認証)」により、京都府産木材の利用を推進してきました。
令和元年度からは、より幅広く京都府産木材の利用を進めるため、新たに木材の産地(京都府産)を証明する「京都府産木材証明(京都の木証明)」を創設しました。
京都府産木材認証制度には、京都府産木材であることを証明する仕組みが2つあります。
◾️「京都府産木材認証(ウッドマイレージCO₂京都の木認証)」
木材の生産、加工及び流通の全てを取扱事業体が行った京都府産木材に対して、指定認証機関が認証を行います。
◾️「京都府産木材証明(京都の木証明)」
木材の生産、加工及び流通の全てを取扱事業体又は認証機関登録事業体が行った京都府産木材に対して、指定認証機関が証明を行います。
京都府における公共建築物等の木材利用
公共建築物は、広く国民一般の利用に供するものであることから、木材を用いることにより、木と触れ合い、木の良さを実感する機会を幅広く提供することができます。
このため、建築物木材利用促進基本方針では、公共建築物について、積極的に木造化を促進することとしています。
林野庁の資料「森林・林業白書」によると、京都府では下記のように木造率が推移しています。
・2017年度:建築物全体(33.9%)、公共建築物(6.6%)、うち低層の公共建築物(20.2%)
・2019年度:建築物全体(34.3%)、公共建築物(7.0%)、うち低層の公共建築物(13.3%)
・2021年度:建築物全体(36.3%)、公共建築物(3.2%)、うち低層の公共建築物(10.0%)
2022年度以降に整備に着手する国の公共建築物については、建築物木材利用促進基本方針に基づき、計画時点においてコストや技術の面で木造化が困難であるものを除き、原則として全て木造化を図ることになっています。
京都府の中大規模木造に最適なSE構法の概要
耐震構法SE構法(以下、SE構法)は、大規模木造建築物の技術を基に開発された技術です。
SE構法は構造計算された耐震性の高い木造建築を実現する、独自の建築システムです。
SE構法は耐震性の高さ、設計の自由度、コストパフォーマンスの良さ、ワンストップサービス等で高い評価を受けており、さまざまな大規模木造の実績が増えています。
SE構法は、単純に「剛性のある木質フレーム」というだけではなく、さまざまな利点を追求し、大規模木造で求められる大空間・大開口を可能にして、意匠設計者の創造性を活かせる設計の自由度を提供しています。
関連記事:耐震構法SE構法は全棟で立体解析による構造計算を実施
SE構法は「木造の構造設計」と「構造躯体材料のプレカット」そして施工というプロセスを合理化することでワンストップサービスとして実現した木造の工法です。その合理的なシステムが、設計・施工のプロセスにおいて納期や工期の短縮につながります。
関連記事:「ウッドショック等のリスクにSE構法のワンストップサービスが強い理由」
SE構法へのお問合せ、ご相談について
大規模木造をSE構法で実現するための流れは下記となります。
1.構造設計
SE構法を活用した構造提案を行います。企画段階の無料の構造提案・見積りから、実施設計での伏図・計算書作成、確認申請の指摘対応等を行っております。また、BIMにも対応可能です。
2.概算見積り
SE構法は構造設計と同時に積算・見積りが可能です。そのため躯体費用をリアルタイムで確認可能で、大規模木造の設計において気になる躯体予算を押さえつつ設計を進めることが可能です。
3.調達
物件規模、用途、使用材料を適切に判断して、条件に応じた最短納期で現場にお届けします。また、地域産材の手配にも対応しております。
4.加工
構造設計と直結したCAD/CAMシステムにより、高精度なプレカットが可能です。また、多角形状、曲面形状などの複雑な加工形状にも対応可能です。
5.施工
SE構法の登録施工店ネットワークを活用し、計画に最適な施工店を紹介します。(元請け・建方施工等)
6.非住宅版SE構法構造性能保証
業界初の非住宅木造建築に対応した構造性能保証により安心安全を担保し、中大規模木造建築の計画の実現を後押しします。
↓SE構法へのお問合せ、ご相談は下記よりお願いします。
https://www.ncn-se.co.jp/large/contact/
まとめ
非住宅木造においては、SE構法の構造躯体の強みを活かした構造設計により、コスト減、施工性向上を実現することができます。
SE構法は構造用集成材の中断面部材(柱は120mm角、梁は120mm幅)が標準なため、住宅と同等の部材寸法でスパン8m程度までの空間を構成できるコストパフォーマンスをうまく活用していただければと考えております。
スパンが10mを超える空間は、特注材やトラス、張弦梁などを活用することも可能です。
計画段階からNCNの特建事業部に相談することで、木造建築に関する知見をうまく利用していただき、ファーストプランの段階から構造計画を相談することで、合理的に設計実務を進めることが可能です。
集成材構法として実力・実績のある工法の一つが「耐震構法SE構法」です。SE構法は「木造の構造設計」から「構造躯体材料のプレカット」に至るプロセスを合理化することでワンストップサービスとして実現した木造の工法です。
また構法を問わず、木造の構造設計から構造躯体材料のプレカットに至るスキームづくりに取り組む目的で「株式会社木構造デザイン」が設立されました。構造設計事務所として、「⾮住宅⽊造専⾨の構造設計」、「構造設計と連動したプレカットCADデータの提供」をメイン事業とし、構造設計と⽣産設計を同時に提供することで、設計から加工までのワンストップサービスで木造建築物の普及に貢献する会社です。
株式会社エヌ・シー・エヌ、株式会社木構造デザインへのご相談は無料となっておりますので、お気軽にお問い合わせください。