【非住宅木造】林野庁、国土交通省、環境省の令和6年度予算要求の速報
林野庁、国土交通省、環境省の令和6年度当初予算では、先導的・先駆的な事業や木造化の普及に資する事業等を対象とする建築主向け関係予算が引き続き要求されています。
林野庁予算では、建築用木材の技術開発への支援が引き続き要求されています。
国土交通省予算では、都市木造建築物を担う設計者の育成・サポート等の取組に対する支援が引き続き要求されています。
環境省予算では、建築物・住宅の脱炭素化に向けてZEB・ZEH化を支援するため引き続き要求されています。また、CLT等の建築木材の省CO2効果の高い再利用方法を調査・検証するための事業費を農林水産省と連携し引き続き要求されています。
このコラムでは、非住宅木造に関する林野庁、国土交通省、環境省の令和6年度予算要求の速報についてお伝えします。(予算要求の速報のため、確定情報ではありませんのでご注意ください。この記事は2024年2月時点の情報ですのでご注意ください。)
<このコラムでわかること>
・【林野庁】建築用木材供給・利用の強化
・【林野庁】林業・木材産業の生産基盤強化
・【国土交通省】サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)
・【国土交通省】中大規模木造建築の普及加速化に向けた支援
・【国土交通省】都市木造建築物設計支援事業
・【環境省】建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業
・【環境省】ZEB普及促進に向けた省エネルギー建築物支援事業(一部経済産業省連携事業)
・【環境省】LCCO2削減型の先導的な新築ZEB支援事業
・【環境省】CE×CNの同時達成に向けた木材再利用の方策等検証事業(農林水産省連携事業)
・【環境省】集合住宅の省CO2化促進事業(経済産業省連携事業)
・SE構法へのお問合せ、ご相談について
・まとめ
【林野庁】建築用木材供給・利用の強化
林野庁予算における「建築用木材供給・利用の強化」の概要は下記です。
<対策のポイント>
森林経営の持続性を担保しつつ、サプライチェーンの強化や建築用木材の利用実証・普及等の都市の木造化等促進、製材やCLT・LVLの技術開発・普及等を通じた建築物への利用環境整備による安定需要拡大を支援。
<事業目標>
○ 国産材の供給・利用量の増加(34百万m3 [令和3年]→ 42百万m3 [令和12年まで])
<事業の内容>
1.森林を活かす都市の木造化等促進総合対策事業
2.CLT・LVL等の建築物への利用環境整備事業
【林野庁】林業・木材産業の生産基盤強化
林野庁予算における「林業・木材産業の生産基盤強化」の概要は下記です。
<対策のポイント>
路網の整備・機能強化、高性能林業機械の導入、搬出間伐の実施、再造林の低コスト化、エリートツリー等苗木の安定供給とともに、木材加工流通施設、特用林産振興施設の整備等の川上から川下までの取組を総合的に支援。
<事業目標>
〇国産材の供給・利用量の増加(34百万m3[令和3年]→42百万m3 [令和12年まで])
<事業の内容>
1.林業・木材産業生産基盤強化対策
2.再造林低コスト化促進対策
【国土交通省】サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)
国土交通省予算における「サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)」の概要は下記です。
<事業のポイント>
木造化に係る住宅・建築物のリーディングプロジェクトを広く民間等から提案を募り、支援を行うことにより、総合的な観点からサステナブルな社会の形成を図る。
<事業の内容>
1.多様な用途の先導的木造建築物への支援
先導的な設計・施工技術が導入される実用的で多様な用途の木造建築物等の整備に対し、国が費用の一部を支援。
2.実験棟整備への支援と性能の検証
CLT等の新たな木質建築材料を用いた工法等について、建築実証と居住性等の実験を担う実験棟の整備費用の一部を支援。
【国土交通省】中大規模木造建築の普及加速化に向けた支援
国土交通省予算における「中大規模木造建築の普及加速化に向けた支援」の概要は下記です。
<事業のポイント>
カーボンニュートラルの実現に向け、木造化の未開拓領域であり炭素貯蔵効果が期待できる中大規模木造建築の普及に資する優良なプロジェクトに対して支援を行うとともに、コストや施工性等において高い競争力を有し広く展開できる構法の技術開発に対する支援への重点化を図る。
<現行制度の概要>
◾️優良木造建築物等整備推進事業
◾️普及加速化に資する構法の技術開発等に係る支援
<優良木造建築物等整備推進事業についての最新情報>
2024年2月13日に国土交通省より最新情報が公開されています。
暫定の内容ではありますが、令和5年度の要件から下記内容が変わる見込みです。
なお、この内容は現在実施中のアンケート結果によって変更となる可能性があります。
○ 先導枠を創設
○ 「事務所」の場合の規模要件を「3 階以上」から「4 階以上」に見直し
○ 非住宅の場合の規模要件を「1,000 ㎡超」から「3,000 ㎡超」に見直し
○ 要件に「再造林・再利用等に資する取組がなされること」を追加
○ 省エネ性能に係る要件を「省エネ基準に適合」から「ZEH・ZEB 水準に適合」に見直し
○ 市街化調整区域であって、土砂災害警戒区域又は浸水想定区域に立地している住宅は補助額を原則半額
○ 土砂災害特別警戒区域に加え、災害危険区域における住宅は原則、補助対象外
【国土交通省】都市木造建築物設計支援事業
国土交通省予算における「都市木造建築物設計支援事業」の概要は下記です。
<事業のポイント>
低層住宅やS造・RC造に加えて、非住宅や中高層の木造建築物(中大規模木造建築物)に取り組みたいという設計者の技術力向上を図るため、設計者を育成する取組を推進する。
<事業の概要>
◾️中大規模木造建築物の設計者向け講習会
意匠設計者及び構造設計者向けに、中大規模木造建築物の設計に関するテキストを用いた講習会をWEBや対面形式等により、全国規模で実施することで、知識・技術を習得する機会を幅広く提供。
【環境省】建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業
環境省予算における「建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業」の概要は下記です。
<事業の目的>
・2050年カーボンニュートラル実現、そのための2030年度46%減(2013年度比)の政府目標の早期達成に寄与するため、建築物等におけるZEB化・省CO2改修の普及拡大により脱炭素化を進める。
・建築物等において外部環境変化への適応強化、付加価値向上を進め、快適で健康な社会の実現を目指す。
<事業の内容>
(1)ZEB普及促進に向けた省エネルギー建築物支援事業(一部経済産業省連携事業) (2)LCCO2削減型の先導的な新築ZEB支援事業
(3)国立公園利用施設の脱炭素化推進事業
(4)水インフラにおける脱炭素化推進事業(国土交通省、経済産業省連携事業)
(5)サステナブル倉庫モデル促進事業(国土交通省連携事業)
(6)省CO2化と災害・熱中症対策を同時実現する施設改修等支援事業(一部国土交通省連携)
(7)CE×CNの同時達成に向けた木材再利用の方策等検証事業(農林水産省連携事業)
【環境省】ZEB普及促進に向けた省エネルギー建築物支援事業(一部経済産業省連携事業)
環境省予算における「ZEB普及促進に向けた省エネルギー建築物支援事業(一部経済産業省連携事業)」の概要は下記です。
<事業の目的>
- 一度建築されるとストックとして長期にわたりCO2排出に影響する建築物分野において、建築物のZEB化の普及拡大を強力に支援することで2050年のカーボンニュートラル実現に貢献する。
- 建築物分野の脱炭素化を図るためには既存建築物ストックの対策が不可欠であり、2050年ストック平均でZEB基準の水準の省エネルギー性能の確保を目指す。
<事業の内容>
①新築建築物のZEB普及促進支援事業(経済産業省連携事業)
②既存建築物のZEB普及促進支援事業(経済産業省連携事業)
③非住宅建築物ストックの省CO2改修調査支援事業
【環境省】LCCO2削減型の先導的な新築ZEB支援事業
環境省予算における「LCCO2削減型の先導的な新築ZEB支援事業」の概要は下記です。
<事業の目的>
- 建築物分野においてZEB化を促進するにあたり、運用時の脱炭素化のみならず建築物のライフサイクルを通じて脱炭素化を目指す先導的な建築物への支援によって2050年のカーボンニュートラル実現をリードする。
- 建築物における更なる付加価値向上の可能性を模索し、快適で健康な社会の実現に貢献する。
<事業の内容>
①LCCO2(ライフサイクルCO2)削減型の先導的な新築ZEB支援事業
②ZEB化推進に係る調査・検討事業
【環境省】CE×CNの同時達成に向けた木材再利用の方策等検証事業(農林水産省連携事業)
環境省予算における「CE×CNの同時達成に向けた木材再利用の方策等検証事業(農林水産省連携事業)」の概要は下記です。
<事業の目的>
建築分野において、資源を循環利用する循環経済・サーキュラーエコノミー(CE)と、脱炭素・カーボンニュートラル(CN)を同時達成するための、省エネ・省CO2に資するCLT等の木材再利用の方策を検証するほか、普及促進に向けた関連情報等の整理を行う。
<事業の内容>
資源を持続可能な形で利用できる経済社会を構築することは世界共通の課題であり、「循環経済・サーキュラーエコノミー(CE)」の概念が国際的にも急速に広まりつつある。UNEP国際資源パネル(UNEP-IRP)が「経済をより循環型にすることは、全てのセクターにおける温室効果ガスの大幅かつ加速度的な削減可能性を高めるために不可欠」と指摘するなど、CEを脱炭素・カーボンニュートラル(CN)等と同時に達成することの重要性が高まっている。
このため、本事業では、建築物に使用されているCLT等の木材を新たな建築物等に再利用する際に、その省エネ・省CO2効果の把握等を行う方策を検討するほか、建築分野において効果的にCLT等の木材を再利用する手法の確立に向けたモデル実証や普及促進のための関連情報の整理、先進的事例の収集等を行う。
【環境省】集合住宅の省CO2化促進事業(経済産業省連携事業)
環境省予算における「集合住宅の省CO2化促進事業(経済産業省連携事業)」の概要は下記です。
<事業の目的>
①エネルギーの⾃給⾃⾜により災害にも強く、ヒートショック対策にもなるZEH(ゼッチ)の更なる普及、⾼断熱化の推進。
②現⾏の省エネ基準に適合しない既存住宅の断熱性能向上による原油価格⾼騰対策にも資する省エネ・省CO2化。
③2030年度に⽬指すべき住宅の姿としては、新築される住宅についてZEH基準の⽔準の省エネルギー性能の確保を⽬指す。 2030年度の家庭部⾨からのCO2排出量約7割削減(2013年度⽐)に貢献することを⽬指す。
④2050年のカーボンニュートラル達成に向けて脱炭素社会の推進。
<事業の内容>
(1)集合住宅の省エネ・省CO2化、⾼断熱化を⽀援するため、以下の補助を⾏う。
①新築低層ZEH-M(3層以下)への定額補助︓40万円/⼾
②新築中層ZEH-M(4〜5層)への定率補助︓補助率1/3以内
③新築⾼層ZEH-M(6〜20層)への定率補助︓補助率1/3以内
④上記①に蓄電システムを導入、低炭素化に資する素材(CLT(直交集成板)等)を一定 量以上使⽤、先進的再エネ熱利⽤技術を活⽤する⼜はV2Hを導入する場合の別途補助︓蓄 電システム2万円/kWh(上限額20万円/台。一定の条件を満たす場合は24万円/台)など
(2)既存集合住宅の断熱リフォーム︓1/3補助(上限15万円/⼾(⽞関ドアも改修する場合 は上限20万円/⼾))
(3)省エネ住宅の普及拡⼤に向けた課題分析・解決⼿法に係る調査検討を⾏う(委託)
※①②③について、⽔害等の災害時における電源確保に配慮された事業は、一定の優遇を⾏う。
※③について、補助対象事業者が締結した建築物木材利⽤促進協定に基づき木材を用いる事業については優先採択枠を設ける。
SE構法へのお問合せ、ご相談について
大規模木造をSE構法で実現するための流れは下記となります。
1.構造設計
SE構法を活用した構造提案を行います。企画段階の無料の構造提案・見積りから、実施設計での伏図・計算書作成、確認申請の指摘対応等を行っております。また、BIMにも対応可能です。
2.概算見積り
SE構法は構造設計と同時に積算・見積りが可能です。そのため躯体費用をリアルタイムで確認可能で、大規模木造の設計において気になる躯体予算を押さえつつ設計を進めることが可能です。
3.調達
物件規模、用途、使用材料を適切に判断して、条件に応じた最短納期で現場にお届けします。また、地域産材の手配にも対応しております。
4.加工
構造設計と直結したCAD/CAMシステムにより、高精度なプレカットが可能です。また、多角形状、曲面形状などの複雑な加工形状にも対応可能です。
5.施工
SE構法の登録施工店ネットワークを活用し、計画に最適な施工店を紹介します。(元請け・建方施工等)
6.非住宅版SE構法構造性能保証
業界初の非住宅木造建築に対応した構造性能保証により安心安全を担保し、中大規模木造建築の計画の実現を後押しします。
↓SE構法へのお問合せ、ご相談は下記よりお願いします。
https://www.ncn-se.co.jp/large/contact/
まとめ
NCNでは、大規模木造に関する基本的な質問・相談や、具体的な案件の相談等、経験豊富な専門スタッフが直接対応します。
計画段階からご相談いただくことで、NCNの木造建築に関する知見をうまく利用していただき、ファーストプランの段階から構造計画を相談いただくことで、合理的に設計を進めていただければと考えております。
集成材構法として実力・実績のある工法の一つが「耐震構法SE構法」です。
SE構法は「木造の構造設計」から「構造躯体材料のプレカット」に至るプロセスを合理化することでワンストップサービスとして実現した木造の工法です。
また構法を問わず、木造の構造設計から構造躯体材料のプレカットに至るスキームづくりに取り組む目的で「株式会社木構造デザイン」が設立されました。
構造設計事務所として、「⾮住宅⽊造専⾨の構造設計」、「構造設計と連動したプレカットCADデータの提供」をメイン事業とし、構造設計と⽣産設計を同時に提供することで、設計から加工までのワンストップサービスで木造建築物の普及に貢献する会社です。
株式会社エヌ・シー・エヌ、株式会社木構造デザインへのご相談は無料となっておりますので、お気軽にお問い合わせください。