中大規模木造に関連する防耐火構造の考え方と関連法規
中大規模木造には、「必要な防耐火性能をいかにして満たすか」という難題が必ずつきまといます。可燃材料である木材で、火災に強い中大規模木造を建てるために、中大規模木造の企画、設計時に必要となる、防耐火構造の考え方と関連法規についてお伝えします。
<このコラムでわかること>
・中大規模木造における耐火建築物の建築基準法ポイント整理
・中大規模木造における準耐火建築物の選択肢は2種類
中大規模木造における耐火建築物の建築基準法ポイント整理
建築の主要構造部(壁、柱、梁、床、屋根、階段)に必要な防耐火構造は、「建築地の防火地域」「建物の用途」「建物の高さ」の3つの規制による構造制限のうち、もっとも厳しい規制が適用されます。
その構造制限によって、今度は建物に必要な防耐火構造が決定します。建物の防耐火構造には、「耐火建築物」「準耐火建築物」「防火木造」「木造建築物(裸木造)」の4つに分類されます。
耐火建築物は、主要構造部を耐火構造とし、延焼の恐れのある部分の外壁開口部に防火設備(防火戸等)を設けたものなどです。現在、1時間耐火構造の要件を満たす木部材が開発されていますので、耐火建築物が求められる場合でも、最上階から数えて4層までを木造でつくることができます。
中大規模木造における準耐火建築物の選択肢は2種類
準耐火建築物は、通常の準耐火建築物と、木造3階建て共同住宅仕様(イ準耐火建築物−1)があります。
通常の準耐火建築物には、下記の3種類があります。いずれも延焼の恐れのある部分の外壁開口部に防火設備(防火戸等)を設けたものです。
- 主要構造部を準耐火構造とした「イ準耐火建築物2」
- 外壁を耐火構造として屋根に一定の防火性能を持たせた「ロ準耐火建築物1号」
- 主要構造部を不燃材料とした「ロ準耐火建築物2号」
上記のうち、「ロ準耐火建築物2号」以外は、木造で建築が可能です。
まとめ
2000年の建築基準法改正以降、必要な性能を満たしていれば、耐火構造、耐火建築物として扱うことができるようになり、木造建築の可能性が広がりました。さらに近年の技術開発より、石膏ボードなどで木材を耐火被覆する方法や、燃焼を阻害する素材と木材を組み合わせる方法で、耐火構造の木造部材も登場しています。
木造で施設を計画する際には、建築基準法に加え、関連する条例等を遵守することが求められます。法律や条例等は常に改正されていきますし、その解釈や運用については該当の行政窓口や指定検査確認機関等により異なりますので、本コラムの内容は「記事掲載時の一般的な考え方」であることのご理解、ご了承をお願いします。建築実務者の皆様においては、常に最新の法規等の情報をチェックしつつ、該当の行政窓口や指定検査確認機関等によく内容を確認をしてから設計や施工を進めていただくようお願い申し上げます。
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