木造建築は「SDGs」や「ESG投資」でも企業価値を高められる理由
日本は国土の約3分の2を森林が占める世界でも有数の森林国です。これらの木材を有効に活用して森林資源の循環利用を図ることは、地球温暖化防止や国土保全、地域経済の活性化などに繋がります。「持続可能な開発目標(SDGs)」への対応、「環境や社会、企業統治を重視する(ESG投資)」の拡大などを背景に、環境や社会への貢献度が企業価値を左右する時代が訪れています。持続可能な木材利用を経営戦略に上手に取り組む企業が増えており、自社の事業用の建築物を木造で計画する企業も増えています。
<このコラムでわかること>
・木造建築は「第二の森林」となり地球温暖化防止に役立つ
・建築物の木造化による「SDGs」の取り組みが企業経営にプラス
・「ESG投資」でも環境という要素で木造化・木質化は評価の対象に
木造建築は「第二の森林」となり地球温暖化防止に役立つ
森林が炭素を固定する特性を持つことから、木造建築は「第二の森林」としての役割があります。
建築物に木材を利用することは、森林側の「第一の森林」を維持しながら、木造建築の「第二の森林」を増やしていくことにつながります。
建築物を建てるという行為自体が二酸化炭素の排出を伴いますが、鉄筋コンクリート造や鉄骨造と比較して、木造は建設工事において二酸化炭素を減らすことができるので、結果として二酸化炭素を減らすには木造が有利ということです。
森林側の実情を考えると、伐採を進めるべき時期が訪れています。日本では、植林から50年を超える人工林の面積が全体の半分に達しています。これらを伐採し、その後に植林する、という循環をつくり、森林を維持していくことが求められています。
建築物の木造化による「SDGs」の取り組みが企業経営にプラス
近年、企業経営のグローバルトレンドとして「持続可能な開発目標(SDGs)」への対応、「環境社会、企業統治の要素を考慮する(ESG投資)」が強く意識されるようになりました。
持続可能な開発目標(SDGs)とは,2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標です。持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の誰一人として取り残さないことを誓っています。
「環境、社会、企業統治の要素を考慮する(ESG投資)」のESGとは、Environment(環境)・Social(社会)・Governance(ガバナンス・企業統治)の頭文字をとったものです。企業が環境問題や社会問題に取り組んでいるか、ガバナンス(企業統治)に力を入れているかどうかなどを考慮して投資するかどうか決める考え方で、「ESG投資」と呼ばれています。
民間で建設する建築物で木造化、木質化を図ることは、今後この二つの流れにそうものとして評価されていくことが予想されます。木造化・木質化には、地球温暖化防止と持続可能な森林経営の下支えという二重の意味を持ちます。
「SDGs」の17の目標の一つに「陸の豊かさも守ろう」という目標が掲げられています。そこで具体的に示されているには、森林の持続的な管理です。建築物の木造化・木質化はそうした目標達成に貢献することができます。
「ESG投資」でも環境という要素で木造化・木質化は評価の対象に
森林は二酸化炭素を吸収するので地球温暖化にプラスに働きますし、伐採して使用する木材も二酸化炭素を貯める機能があります。廃材などはバイオマス燃料として熱源となり、循環型社会では重要な役割を果たします。
ESG投資では、企業の社会的責任(CSR)に広く目を向け、長期にわたる視点で総合的な投資判断が行われます。ESG投資の観点で考えると、木造施設の建設は効果的な資本投下となる可能性があります。
日本は伐採期を迎えた森林資源を活用する段階になっており、循環型社会への貢献、顧客満足度の向上といったリターン要素も、投資家からプラスな評価を受けていく可能性もあります。
まとめ
木材を有効に活用していくことが、「伐って、使って、植えて、育てる」といった森林資源の循環利用を図るうえで重要であり、地球温暖化や国土保全などといった森林の公益的機能の発揮、林業の振興を通じた地域経済の活性化につながります。SDGsやESG投資などは経営面からも木材利用は注目されていますし、その建築物を利用する人の健康面や精神面にもプラスの影響が期待できます。自社の施設を「木造ビル」として計画する企業も増えています。
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