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SE構法の事務所兼倉庫の事例紹介「DAI3福島営業所」

  • SE構法の事務所兼倉庫の事例紹介「DAI3福島営業所」 -

建築基準法の改正などを背景に、中大規模の建築で木造の採用例が増えてきます。木造が住宅分野だけではなく、教育施設や福祉施設、商業施設といった非住宅用途ですそ野が広がっています。木造で非住宅建築を実現するためには、計画立案や建材・資材の選択などが重要なポイントになります。木造特有の事情を考慮した上で、非住宅用途の建築を検討することで、鉄骨造よりもコストパフォーマンス高く建築物を実現することができます。例えば、SE構法の構造スペックをうまく活用すると、木造では実現が難しい大空間、大開口などを実現することができます。事務所や倉庫など今までは鉄骨造で計画された建築物も、木造(SE構法)が有効な選択肢となります。このコラムでは構造躯体にSE構法を採用した事務所兼倉庫の事例紹介をしながら、意匠計画やSE構法の構造設計等のポイントについてお伝えします。

 

<このコラムでわかること>

SE構法事務所兼倉庫「DAI3福島営業所」の概要

SE構法事務所兼倉庫「DAI3福島営業所」の意匠設計の特徴

SE構法事務所兼倉庫「DAI3福島営業所」構造設計の特徴

中大規模木造として事務所や倉庫SE構法で実現するポイント

・まとめ

 

SE構法の事務所兼倉庫「DAI3福島営業所」の概要

SE構法の事務所兼倉庫「DAI3福島営業所」の概要

「DAI3福島営業所」は福島県福島市に建つ事務所兼倉庫です。

<「DAI3福島営業所」の概要>

・用途:事務所兼倉庫

・木造2階建(SE構法)

・延床面積418.92㎡

・発注者:東京に本社を置く上下水道建設用資材、土木建設用資材を主に扱う商社

・敷地は、JR福島駅から西へ1.3kmほど、阿武隈川の支流である荒川を渡った、元々農地だったところが徐々に宅地化された地域。南側に県道126号線が通り、交通の便はよい。

事務所や倉庫は、スパンが大きく、壁の少ないオープンな空間が求められるため、今までは鉄骨造で計画されることが多かった用途の建築です。木造で計画することで、コストを抑えることが可能になります。

参考ページ:「店舗、事務所、倉庫には鉄骨造より木造が「安い、早い、うまい」理由」はこちらです。

 

SE構法の事務所兼倉庫「DAI3福島営業所」の意匠設計の特徴

SE構法の事務所兼倉庫「DAI3福島営業所」の意匠設計の特徴

建物は南北に長い敷地の西側に配置されています。建物の南側がオフィスエリア、北側が倉庫エリアで、その間となる中央にエントランスや階段、水回りなどの共用部が配置されています。建物全体の間口は30,940mmで、奥行は8,190mmです。

オフィスエリアは、1階がオフィス、2階は会議室と応接室、資料室等で計画されています。倉庫エリアは、1・2階が一体となった大きな吹き抜けのある倉庫スペースです。

オフィスのデザインの特徴としては、梁下を現しにして間に有孔板をはめ込んで天井面をフラットに納めています。適切な階高と天井高の設定、梁の現しによる木質感の両立により実現したデザインです。

倉庫のデザインの特徴としては、柱や梁などの構造躯体を現しとしながら、壁面は構造用合板現しではなくOSB合板を貼って仕上げて、質感を調整しています。

外壁は黒のガルバリウム鋼板、サッシュは白でコントラストをつけています。

鉄骨造に代わる工法として、法規制や建設コスト、施工、イニシャルコスト等も考慮して選択されたのが、木造(SE構法)です。

 

SE構法の事務所兼倉庫「DAI3福島営業所」の構造設計の特徴

SE構法であれば、事務所兼倉庫で求められるスパンの大きい空間にも対応できますし、架構をシンプルにすることが可能です。

SE構法は、独自のSE金物を使用した断面欠損の少ない構造によって柱と梁とを接合し、優れた耐震性能を実現しています。SE構法は表面にネジ切り加工を施した通常のボルトの約2倍の強さを持つSボルトを木材にねじ込み、高強度のSE金物との組み合わせにより、耐震性の高いラーメン構造を実現しています。

今回の事務所兼倉庫におけるSE構法の構造設計の主なポイントは下記です。

1階のオフィスは、間口10,920mm×奥行8,190mmの無柱空間1.1階のオフィスは、間口10,920mm×奥行8,190mmの無柱空間

→オフィス部分の2階床に梁せい650mmの梁を910mmピッチで入れてこの空間を実現しています。SE構法の標準ディテールと必要最小限の特注材により、事務所で求められる積載荷重の要件を満たした構造設計となっています。

 

1階の倉庫は間口12,740mm×奥行8,190mmの無柱空間。鉄骨階段でつながる2階部分は間口8,645mm×奥行8,190mmの吹き抜けと、間口8,645mm×奥行8,190mmの倉庫で構成2.1階の倉庫は間口12,740mm×奥行8,190mmの無柱空間。鉄骨階段でつながる2階部分は間口8,645mm×奥行8,190mmの吹き抜けと、間口8,645mm×奥行8,190mmの倉庫で構成

→無柱空間、大空間、大きな吹き抜け、高い階高という木造としては難易度の高い空間を実現するためのポイントが4本の「太い柱」です。「太い柱」とは360mm×120mmの柱材をダブルで使った巨大な柱で、通常のSE構法の柱(120mm×120mm)の6本分もあります。

→梁は成500mmをダブルで架けています。無柱で2階床が1/3しかない大きな吹き抜け空間において、短手の変形を抑えるための要素が内部になく、それゆえ柱を太くして対応しています。抱き合わせ柱を使うことで木造の大空間は十分に可能になります。

 

4本の太い柱の間口は5,460mmで、その間に搬出入口が位置し、その上部には幅5,580mmで出が3,500mmの大庇が取り付く3.4本の太い柱の間口は5,460mmで、その間に搬出入口が位置し、その上部には幅5,580mmで出が3,500mmの大庇が取り付く

→庇の持ち出し寸法が大きく片持ちでは構造的に難しいため、頂部の柱梁の結節点から約45度となるように鋼製の吊り材を入れて支えています。

 

屋根の軒の出は1,500mm4.屋根の軒の出は1,500mm

→SE構法では軒の出を1,800mm出してる事例もあります。

参考ページ:軒の出1,800mmの事例「ビジネスセンター 308タウン」はこちらです。

 

意匠設計が木造で推奨される910mmモジュールで設計されていることによるメリット

5.意匠設計が木造で推奨される910mmモジュールで設計されていることによるメリット

→構造部材の歩留まりが良く、コストパフォーマンスの高い構造躯体を実現しています。

参考ページ:「耐震構法SE構法のプランニングがうまくいく設計の考え方を徹底解説」はこちらです。

 

中大規模木造として事務所や倉庫をSE構法で実現するポイント

中大規模木造として事務所や倉庫をSE構法で実現するポイント

事務所や倉庫を木造(SE構法)で計画する場合のポイントと、鉄骨造と比較してのメリット、デメリットは下記です。

 

1.コスト

構造でSE構法を選択することで、基礎や構造躯体のコストが安くなります。外壁仕上げには住宅用サイディング、窓は住宅用アルミサッシなどを使うことで、建材費や施工費も抑えることができます。

参考ページ:「中大規模木造の建設費の概要とコストを抑えるポイント」はこちらです。

 

2.設計

事務所や倉庫のように鉄骨造で実現していた建築物をSE構法に切り替えるためには、大きな設計変更をすることなく、構造を成立させることが鍵となります。3階建以下でスパンが10m以内のような計画においてはSE構法を採用することでコストを大きく抑えることができ、材料の納期も早いので工期も大幅に短縮できます。

参考ページ:「耐震構法SE構法と鉄骨造を徹底比較(設計編)」はこちらです。

 

3.材料

SE構法は木(構造用集成材)、鉄骨造は鉄(鋼材)がその構造フレームを支える材料になります。材の強さや音に関する面では鉄骨造が優れており、断熱性や気密性では木造であるSE構法に優位性があります。また地球環境に対する影響についても、木造は製造時のCO2排出量が少なく、CO2固定量も多いという利点があります。

参考ページ:「耐震構法SE構法と鉄骨造を徹底比較(材料編)」はこちらです。

 

4.耐久・耐火性

木造、鉄骨造共に長持ちさせるためにはメンテナンスが不可欠になります。耐久性については、SE構法(木造)は水に弱い、鉄骨造はサビに弱いという特性をふまえた設計、施工が求められます。耐火性については、耐火建築物あるいは準耐火建築物においても、SE構法も鉄骨造もそれぞれ対応が可能です。

参考ページ:「耐震構法SE構法と鉄骨造を徹底比較(耐久・耐火性編)」はこちらです。

 

5.施工

SE構法と鉄骨造を比較するときに、最も検討すべきことは施工の実現性とコスト差です。鉄骨造を今までのように設計、施工することが、鋼材価格の変動や職人不足などの構造的な問題により、困難になっています。SE構法は木造ですので、鉄骨造と比較して、住宅関連のインフラを活用することで施工者の確保や材料コスト、納期等に優位性があります。

参考ページ:「耐震構法SE構法と鉄骨造を徹底比較(施工・コスト編)」はこちらです。

中大規模木造として事務所や倉庫をSE構法で実現するポイント

まとめ

事務所や倉庫のような用途の建築においては、SE構法の構造躯体の強みを活かした構造設計により、コスト減、納期短縮、施工性向上を実現することができます。

SE構法は構造用集成材の中段面部材(柱は120mm角、梁は120mm幅)が標準なため、住宅と同等の部材寸法でスパン8m程度までの空間を構成できるコストパフォーマンスをうまく活用していただければと考えております。スパンが10mを超える空間は、特注材やトラス、張弦梁などを活用することも可能です。

特に倉庫のような無柱かつ大空間が求められる場合には、短辺方向に平角柱、大梁を抱き合わせにするディテールを用いることで、特注材を最小限に抑えることなどで対応することがSE構法では可能です。

計画段階からNCNの特建事業部に相談することで、木造建築に関する知見をうまく利用していただき、ファーストプランの段階から構造計画を相談することで、合理的に設計実務を進めることが可能です。

参考ページ:「SE構法による大開口、大空間、大スパン、木造耐火の事例まとめ」はこちらです。

 

集成材構法として実力・実績のある工法の一つが「耐震構法SE構法」です。SE構法は「木造の構造設計」から「構造躯体材料のプレカット」に至るプロセスを合理化することでワンストップサービスとして実現した木造の工法です。

「耐震構法SE構法」へのご相談はこちらです。

 

また構法を問わず、木造の構造設計から構造躯体材料のプレカットに至るスキームづくりに取り組む目的で「株式会社木構造デザイン」が設立されました。構造設計事務所として、「⾮住宅⽊造専⾨の構造設計」、「構造設計と連動したプレカットCADデータの提供」をメイン事業とし、構造設計と⽣産設計を同時に提供することで、設計から加工までのワンストップサービスで木造建築物の普及に貢献する会社です。

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