SE構法木造5階建ビル完成見学会レポート|中大規模木造の今
木造で5階建てのビルを建てる—かつては特別な挑戦とされたその計画が、都市部の日常的な選択肢になりつつあります。
2026年9月11日(金)、神奈川県横浜市磯子区に完成したSE構法による純木造5階建てビル「Wood Five Story」の完成見学会が、株式会社安藤建設と株式会社エヌ・シー・エヌの共催で開催されました。
JR新杉田駅からほど近い敷地に建つこの建物は、1階・2階を安藤建設の自社オフィス、3階から5階を共同住宅とする複合用途のビルです。
1階から最上階まですべてを木造で構成した、SE構法による木造5階建てとしては全国で2棟目、首都圏エリアでは初めてのプロジェクトです。
当日は4部構成で自由見学が行われ、設計者、施工者、建築主、事業主など、立場の異なる多くの参加者が現地に足を運びました。
中大規模木造・中高層木造への関心の高さが表れた一日となりました。
本記事では、この完成見学会のイベントレポートとして、建物とイベントの概要、当日の様子と参加者の関心が集まったテーマ、そして木造5階建を成立させた構造設計・防耐火・コストの技術ポイントを、非住宅木造を検討する発注者と建築実務者の視点から整理してお伝えします。
◾️SE構法による純木造5階建てビル完成見学会イベント概要
・開催概要|横浜・新杉田で4部構成の完成見学会を共催
・建物概要|地上5階建て全階木造・延床703.3㎡の複合用途ビル
・全国2棟目・首都圏エリア初|この木造5階建が持つ意味
◾️見学会の様子|非住宅木造・中大規模木造への関心の高さ
・発注者から実務者まで、多数の参加者が訪れた当日の様子
・木造5階建の内部で参加者が体感したスケールと質感
・質問が集中したテーマ|コスト・防耐火・工期・構造設計
◾️見学会が示した中高層木造・木造5階建の可能性
・建築基準法改正と防耐火の規制合理化が開いた中高層木造の扉
・都市部の狭小敷地・複合用途に効く非住宅木造という選択
・木材96トン・CO2約211トン貯蔵|脱炭素という事業価値
◾️見学会で確認できたSE構法の技術ポイント
・木造ラーメン構法と全棟構造計算に裏づけられた構造設計
・高強度耐力壁・高耐力柱脚金物と構造評定という技術的裏づけ
・コストと工期|同規模RC造比で約2割削減を見込む軽量構造
◾️NCN(SE構法)の非住宅木造ソリューション
・SE構法とは|非住宅木造・中大規模木造を支える構造技術
・防耐火・中高層木造・大空間への対応力
・企画から施工までのワンストップ体制とコストメリット
◾️まとめ
◾️SE構法へのお問合せ、ご相談について
SE構法による純木造5階建てビル完成見学会イベント概要

まずは、今回の完成見学会がどのようなイベントだったのかを整理します。
舞台となったのは、横浜市磯子区に完成した純木造5階建てビル「Wood Five Story」。
設計をカサプルデザイン株式会社、施工を株式会社安藤建設、構造設計と環境設計を株式会社エヌ・シー・エヌが担当した、非住宅木造・中大規模木造の実証とも言えるプロジェクトです。
見学会は安藤建設とエヌ・シー・エヌの共催により、設計者・施工者・建築主・事業主を対象として開催されました。
この建物が「全国2棟目・首都圏初」という位置づけを持つことが、イベントへの注目度を大きく押し上げています。
ここでは開催概要、建物概要、そしてこのプロジェクトが持つ意味という3つの視点から、イベントの全体像をお伝えします。
開催概要|横浜・新杉田で4部構成の完成見学会を共催
完成見学会は、多くの方に実際の建物を見ていただけるよう、1日4部構成で実施されました。
竣工した建物をそのまま会場とする「自由見学」形式とし、参加者が自分のペースで各階を巡り、構造や納まりをじっくり確認できる進め方を採りました。
開催概要は次のとおりです。
・定員・参加費:各回30名、全4回で計120名。参加費は無料とし、事前予約制・先着順で募集しました。
・対象者:設計者、施工者、建築主、事業主など。発注者と建築実務者の双方に開かれたイベントとなっています。
・主催:株式会社安藤建設・株式会社エヌ・シー・エヌの共催。施工者と構造設計者が揃って参加者を迎えました。
図面や写真ではなく、完成した木造5階建の内部を自らの目で確かめられる機会は、そう多くありません。
中大規模木造の検討段階にある発注者・実務者にとって、判断材料を一度に得られる貴重な場となりました。
建物概要|地上5階建て全階木造・延床703.3㎡の複合用途ビル
見学会の主役となった「Wood Five Story」は、木造建築の常識を更新する規模と用途を備えたビルです。
一部を鉄骨造やRC造とする混構造ではなく、地上5階すべてを木造で構成した「純木造」である点が最大の特徴になります。
建物概要は次のとおりです。
・名称・所在地:Wood Five Story(神奈川県横浜市磯子区)。JR新杉田駅から徒歩圏という都市型の立地です。
・構造・階数:木造(SE構法)、地上5階建て・全階木造。敷地面積は約213平方メートルと、都市部らしいコンパクトな敷地に建っています。
・延床面積:703.3平方メートル。狭小敷地を上へ積み上げることで、必要な床面積を確保しています。
・用途:1階・2階は施工を担う安藤建設の自社オフィス、3階から5階は共同住宅。事務所と住宅が一棟に同居する複合用途ビルです。
・設計体制:意匠設計はカサプルデザイン株式会社、施工は株式会社安藤建設、構造設計は株式会社エヌ・シー・エヌ 特建事業部、環境設計は同社環境設計部が担当しました。
自社オフィスと賃貸住宅を組み合わせた構成は、都市部の事業用不動産として現実的なモデルです。
木造で事業収益を生む建物をつくれることを、この一棟が具体的に示しています。
全国2棟目・首都圏エリア初|この木造5階建が持つ意味
「Wood Five Story」は、SE構法による木造5階建てとして全国で2棟目、首都圏エリアでは初のプロジェクトです。
この数字は単なる話題性ではなく、中高層木造がいま置かれている段階を正確に映し出しています。
このプロジェクトが持つ意味は次のとおりです。
・実証から実装への転換点:木造5階建が「研究的な特例」ではなく、一般的な事業用建築として成立する段階に入ったことを示しています。
・首都圏という舞台:地価が高く敷地条件も厳しい首都圏で成立したことは、他の都市部でも同様の計画が可能であることを意味します。
・事業者自らが施主:施工を担う安藤建設が自社オフィスとして使う建物であり、つくり手が自ら木造ビルの性能を引き受けた点に説得力があります。
・用途の広がり:非住宅木造が倉庫や店舗といった低層用途にとどまらず、オフィス・共同住宅という中高層の主要用途へ踏み出しました。
・後続計画への波及:完成した実例が存在することで、次の計画では金融機関や行政との協議、テナント募集などの説明が格段に進めやすくなります。
「木造でここまでできる」という実例が都市部に現れたことは、これから中大規模木造を検討する発注者にとって、何よりの後押しになります。
見学会は、その事実を自分の目で確認する場でもありました。
見学会の様子|非住宅木造・中大規模木造への関心の高さ

今回の完成見学会で強く印象に残ったのは、参加者の熱量です。
設計事務所、建設会社、工務店、ハウスメーカーといった建築実務者はもちろん、これから建物を計画する建築主・事業主の姿も目立ち、各回とも多くの参加者が現地を訪れました。
非住宅木造・中大規模木造というテーマが、一部の専門家だけのものではなく、事業を動かす立場の人々にとっても現実的な検討対象になっていることが、会場の空気から伝わってきます。
そこに立ち、見上げ、触れることで初めて理解できることがあるからこそ、多くの方が平日の日中に横浜まで足を運んでくださったのだと感じました。
ここでは、当日の様子、参加者が建物内部で体感したこと、そして質問が集中したテーマという3つの角度から、見学会の現場をレポートします。
発注者から実務者まで、多数の参加者が訪れた当日の様子
見学会は各回30名・全4回計120名という定員を設けて事前予約制で募集しましたが、告知の段階から反響は大きく、当日は各回とも多くの参加者が来場しました。
木造5階建という実物を前に、開始前から建物を見上げて写真を撮る方の姿が見られたのが印象的です。
当日の様子は次のとおりです。
・幅広い参加者層:設計事務所や建設会社、工務店、ハウスメーカーの実務者に加え、自社ビルや賃貸事業を検討する建築主・事業主も多数参加しました。
・自由見学ならではの密度:時間内に各階を自由に巡る形式としたため、参加者それぞれが関心のある部位に時間をかけて向き合えました。
・記録に残す参加者:意匠や構造、施工の納まりなど、細部を丁寧に撮影する実務者が多く見られました。
・共催者への直接質問:施工を担った安藤建設と構造設計を担当したエヌ・シー・エヌの担当者が会場に立ち、その場で質疑に応じました。
数字で示される定員以上に、当日の会場には中大規模木造への期待が満ちていました。
木造5階建の実物が持つ説得力は、資料やCGでは代替できないものだと改めて感じられます。
木造5階建の内部で参加者が体感したスケールと質感
参加者の反応が最も大きかったのは、やはり建物内部に足を踏み入れた瞬間です。
5階分を木で積み上げた建物の中に立つという経験は、木造建築のイメージそのものを更新します。
内部で体感できたポイントは次のとおりです。
・5層分の垂直方向のスケール:階段室から見上げる木造5階建の高さは、低層の木造建築とはまったく異なる迫力を持ちます。
・事務所としての空間性:1階・2階のオフィス空間は、木造ラーメン構法により柱・梁で構成され、開放的な執務空間が確保されています。
・住宅としての居住性:3階から5階の共同住宅部分では、木造ならではの落ち着きと、賃貸住宅として必要な性能が両立されていることを確認できます。
・木の質感と存在感:仕上げの向こうにある構造体の存在を意識できる空間は、テナントや入居者への訴求力という点でも価値があります。
・都市の敷地に建つ実感:周囲の鉄骨造・RC造の建物と並んで違和感なく建つ姿から、非住宅木造が都市景観に馴染むことが実感できます。
「木造5階建てはどんな空間になるのか」という問いに対して、最も明快な答えを返してくれるのが実物です。
参加者が一様に見せた驚きこそ、中高層木造の可能性を物語っていました。
質問が集中したテーマ|コスト・防耐火・工期・構造設計
自由見学の合間には、共催者への質問が絶えませんでした。
寄せられた質問の内容は、発注者と実務者が中大規模木造に対して何を知りたがっているかを、そのまま映し出しています。
関心が集中した主なテーマは次のとおりです。
・コスト:「同規模のRC造・鉄骨造と比べて実際にいくらかかるのか」という問いが最多でした。概算段階でどこまで精度を出せるかへの関心も高いテーマです。
・防耐火:木造5階建に求められる防耐火の要件をどう満たしたのかという質問が目立ちました。
・構造設計:全棟で許容応力度計算を行う体制、柱脚まわりの納まり、地震時の挙動に関する確認が繰り返されました。
・工期:プレカット部材を現地で組み立てる方式による工期短縮の実際と、天候の影響への対処法についての質問がありました。
・事業性:賃貸住宅としての収益性、減価償却や融資の考え方など、事業主ならではの視点からの質問も寄せられました。
コスト・防耐火・工期・構造設計という4点は、中大規模木造の計画で必ず論点になる要素です。
裏を返せば、この4点に明確な答えを用意できる構法・パートナーを選ぶことが、計画を前に進める条件だと言えます。
見学会が示した中高層木造・木造5階建の可能性

「Wood Five Story」が完成し、多くの方に見ていただけたことには、一棟の竣工を超えた意味があります。
木造5階建が現実の事業として成立したという事実は、これまで鉄骨造やRC造しか選択肢がないと考えられてきた領域に、木造という新しい解を持ち込むものだからです。
背景には建築基準法の改正による防耐火規制の合理化があり、都市部の狭小敷地や複合用途といった条件とも相性の良さが見えてきました。
さらに、木材を大量に使う建物は、そのまま炭素固定という環境価値を持ち、企業の脱炭素の取り組みを目に見えるかたちで示す資産にもなります。
ここでは法制度、都市部での適性、脱炭素という3つの観点から、中高層木造の可能性を整理します。
建築基準法改正と防耐火の規制合理化が開いた中高層木造の扉
木造5階建を現実のものにした最大の要因は、建築基準法における防耐火規制の合理化です。
かつては階数と規模に応じて一律に厳しい耐火性能が求められ、木造で中高層を計画することは容易ではありませんでした。
押さえておきたい法制度のポイントは次のとおりです。
・階数に応じた耐火性能:一律の要求ではなく階数ごとにきめ細かな基準が導入され、たとえば階数5以上9以下の建築物の最下層について、90分の耐火性能で設計できる規定が整備されています。
・大規模建築物のあらわし:延べ面積3,000平方メートルを超える建築物でも、壁等による区画などの措置を講じることで、構造部材の木材をあらわしで見せる設計が可能になりました。
・別棟扱いの活用:耐火壁や渡り廊下で分棟的に区画することで、防火規定上は別棟として扱え、計画の自由度が広がります。
・防火壁の合理化:他の部分と防火壁で区画される場合など、1,000平方メートルを超えても防火壁の設置が不要となるケースが整理されました。
・構造計算の前提化:規模と階数が大きくなるほど、許容応力度計算による精緻な構造設計が不可欠になります。
制度は着実に中大規模木造に有利な方向へ動いています。
ただし適用の判断には専門知識が必要であり、最新の法令に精通し、構造設計から確認申請まで一貫して相談できるパートナーの存在が計画の実現性を左右します。
都市部の狭小敷地・複合用途に効く非住宅木造という選択
「Wood Five Story」の敷地面積は約213平方メートル。
決して広い敷地ではありません。そこに延床703.3平方メートルの5階建てを建て、オフィスと共同住宅を同居させたという事実は、都市部の土地活用に対する明確な提案になっています。
都市部での非住宅木造の適性は次のとおりです。
・狭小敷地での床面積確保:限られた敷地では、上へ積むことが床面積を得る唯一の方法です。木造5階建はその選択肢を大きく広げます。
・軽量であることの利点:木造はRC造の約3分の1から5分の1という軽さで、基礎工事の負担を軽減できます。地盤条件の厳しい都市部では大きな意味を持ちます。
・複合用途への対応:下層をオフィスや店舗、上層を賃貸住宅とする構成は、事業収益と自社利用を両立させる現実的なモデルです。
・近隣配慮と工期:プレカット部材を現地で組み立てる方式は、密集地での施工期間を短縮し、近隣への影響を抑えることにつながります。
・建物の価値訴求:木造であること自体が、テナントや入居者、取引先に対する環境配慮のメッセージになります。
都市部だからこそ木造が難しいという常識は、すでに通用しません。
むしろ敷地条件が厳しい都市部でこそ、軽さと施工性という木造の強みが効いてきます。
木材96トン・CO2約211トン貯蔵|脱炭素という事業価値
木造建築を選ぶ価値は、空間やコストだけではありません。
木材は成長の過程で二酸化炭素を吸収し、建築物となった後も炭素を長期間固定し続けます。
「Wood Five Story」は、その効果を具体的な数値で示せる建物です。
脱炭素に関するポイントは次のとおりです。
・木材使用量:約96トンの木材を使用しています。5階建てという規模だからこそ実現できる木材利用量です。
・炭素固定量:建物全体で約211トンの二酸化炭素を貯蔵し、炭素固定による脱炭素に貢献します。
・数値で語れる環境価値:使用木材量と炭素固定量を数値で示せるため、統合報告書やサステナビリティ報告での発信素材になります。
・事業評価への波及:ESG投資やサステナビリティ経営の文脈で、建物そのものが企業姿勢を示す資産になります。
・建てることが森林を支える:木材需要が生まれることで、森林の適切な循環と林業の持続につながります。
発注者にとって、環境価値を定量的に語れることは大きな武器です。
木造ビルを建てるという選択が、そのまま企業の脱炭素の取り組みとして成立する—この点も、見学会で多くの共感を得たポイントでした。
見学会で確認できたSE構法の技術ポイント

ここからは、木造5階建を成立させた技術面を具体的に見ていきます。
「Wood Five Story」の構造設計を担当したのは、SE構法を開発・提供する株式会社エヌ・シー・エヌです。
SE構法は、S造やRC造に用いられるラーメン構造を木造建築に応用した木造ラーメン構法であり、構造性能の安定した構造用集成材と独自開発の接合金物を組み合わせることで、木造でありながら大空間と中高層を実現します。
全棟で許容応力度計算を行う構造設計、高強度な耐力壁と高耐力柱脚金物という部材開発、そして軽量であることがもたらすコストと工期の優位性。
この3点が、見学会で参加者が確認できた技術の核心です。
いずれも中大規模木造の計画で必ず問われる項目であり、実物で確かめられる意味は小さくありません。
木造ラーメン構法と全棟構造計算に裏付けられた構造設計
木造5階建を安全に成立させる前提は、建物にかかる力を正確に把握し、一つひとつの部材で受け止めることです。SE構法は、その考え方を構法として体系化しています。
構造設計のポイントは次のとおりです。
・木造ラーメン構法:S造・RC造に用いられるラーメン構造を木造に応用し、柱と梁を独自開発の接合金物で剛接合。耐力壁に頼りきらない構造とすることで、開放的な空間を安全に実現します。
・全棟で構造計算:マンションやビルと同様に、全棟で許容応力度等計算を実施します。基礎から上部構造まで一貫して計算することが最大の特長です。
・立体フレーム解析:建物を立体フレームモデルとして解析し、複雑な形状やセットバックのある計画でも構造安全性を確認します。
・構造用集成材の採用:強度性能が明確な構造用集成材を用いることで、設計時の想定どおりの性能を現場で再現できます。
・実績が示す耐震性:1997年から現在に至るまで、地震による半壊・倒壊件数はゼロという実績を積み重ねています。
木造5階建ての安心は、感覚ではなく計算によって担保されます。
「ビルと同じように構造計算された木造」であることが、発注者にとっての判断基準になり、金融機関や関係者への説明力にも直結します。
高強度耐力壁・高耐力柱脚金物と構造評定という技術的裏づけ
階数が増えるほど、建物の下層部には大きな力が集中します。
木造5階建てを実現するにあたって課題となるのが、この力を受け止める耐力壁と柱脚まわりの性能です。
「Wood Five Story」では、そのための技術が具体的なかたちで投入されています。
技術的な裏づけは次のとおりです。
・高強度な耐力壁の開発:5階建てに必要な水平力を負担できる高強度の耐力壁を開発し、限られた壁量で必要な耐力を確保しています。
・高耐力柱脚金物:柱の脚部に生じる大きな引き抜き力・圧縮力を基礎へ確実に伝えるための高耐力柱脚金物が用いられています。
・構造評定の取得:これらの技術について日本建築センターの構造評定を取得しており、第三者による技術的な確認を経ています。
・接合部という要:木造の性能は接合部で決まります。独自開発の接合金物により、断面欠損を抑えながら高い接合耐力を確保します。
「木造で5階建ては本当に大丈夫か」という問いに対し、評定という客観的な裏づけと、実物という具体的な答えの両方を示せることが、SE構法の強みです。
コストと工期|同規模RC造比で約2割削減を見込む軽量構造
発注者が最も気にするコストと工期についても、このプロジェクトは具体的な数値を提示しています。
木造の優位性が事業計画の数字としてどう表れるかを、実際のプロジェクトで示した事例です。
コストと工期のポイントは次のとおりです。
・軽さがもたらす基礎コスト削減:木造はRC造の約3分の1から5分の1という軽量性を持ち、基礎の材料費・施工費を抑えられます。地盤改良費の削減にもつながります。
・工期・コストの削減見込み:同規模のRC造と比較して、工期・コストともに2割程度の削減を見込んでいます。
・プレカットによる施工合理化:CAD/CAMによる高精度プレカット部材を現地で組み立てる方式により、現場作業を効率化し工期を短縮します。
・間接費の圧縮:工期が短くなれば、仮設費・現場管理費・金利負担といった間接費も連動して縮小します。
・構造設計と見積りの連動:構造設計と同時に躯体の概算見積りを行える体制があれば、計画段階から予算をリアルタイムで確認しながら最適化できます。
コストと工期は、事業の成否を決める現実的な条件です。
木造がRC造に対して数字で優位を示せることは、中大規模木造を検討する発注者にとって、最も強い後押しになります。
NCN(SE構法)の非住宅木造ソリューション

「Wood Five Story」で構造設計を担った株式会社エヌ・シー・エヌ(NCN)は、耐震構法SE構法の開発・提供を通じて、非住宅木造・中大規模木造の分野で数多くの実績を積み重ねてきました。
SE構法は1997年に建築基準法の認定を受けて以来、住宅から中大規模建築まで幅広く採用され、施工実績は2万棟を超えます。
公共施設、学校・寮、保育園・幼稚園、老人ホーム・福祉施設、病院、事務所、店舗、集合住宅など対応用途は多岐にわたり、今回の木造5階建てのような中高層木造にも対応します。
ここでは、SE構法の基本性能、防耐火・中高層・大空間への対応力、そして企画から施工までのワンストップ体制という3点をご紹介します。
SE構法とは|非住宅木造・中大規模木造を支える構造技術
SE構法は、木造の弱点とされてきた接合部の強度と構造の安定性を、独自の技術で解決した耐震構法です。
木造でありながら、ビルと同等の考え方で構造を組み立てられる点に本質があります。
SE構法の基本的な特長は次のとおりです。
・構造用集成材+接合金物:構造性能の安定した構造用集成材を、独自開発の接合金物で強固に剛接合。丈夫な材料と専用部材の組み合わせが強固な構造体を生みます。
・木造ラーメン構法:柱と梁で構造を成立させることで、耐力壁に縛られない自由な平面計画と無柱の大空間を安全に実現します。
・全棟構造計算:マンションやビルのような構造計算(許容応力度等計算)を全棟で実施。基礎から上部まで厳密に計算します。
・実績に裏づけられた耐震性:1997年から現在に至るまで、地震による半壊・倒壊件数はゼロ。
・幅広い対応用途:公共施設、学校・寮、保育園・幼稚園、福祉施設、病院、事務所、店舗、集合住宅、寺院・教会、仮設建築まで対応します。
非住宅木造で求められるのは、意匠の自由度と確かな安全性の両立です。
SE構法は、構造計算に裏づけられた安心感によって、この2つを高い次元で成立させます。
防耐火・中高層木造・大空間への対応力
中大規模木造の計画で壁になりやすいのが、防耐火要件と大スパンです。
SE構法は、この2つの難所に対する解決手段を持っています。
対応力のポイントは次のとおりです。
・防耐火への対応:燃え代設計により柱や梁をあらわしで見せることができ、耐火建築物とすることも可能です。被覆により重量が増しても、立体解析による構造計算で無理なく対応します。
・中高層木造への対応:今回の木造5階建をはじめ、3階建て以上の中高層木造に対応します。1階RC造+上階木造といった混構造も選択できます。
・大空間・大スパン:標準的な部材で約8mまでのスパンに対応し、さらに大きな空間はトラスや張弦梁を活用して実現します。
・複雑な形状への加工:多角形状や曲面など、シンボル性の高い意匠にもCAD/CAMによる高精度プレカットで対応します。
・BIM対応:設計の初期段階からBIMを活用し、意匠・構造・設備の調整を効率的に進められます。
木を見せたい、大きな空間がほしい、階数を積みたい—非住宅木造に寄せられる要求は年々高度になっています。
SE構法は、その要求に実績で応えてきた構法です。
企画から施工までのワンストップ体制とコストメリット
もう一つの強みが、企画段階から施工まで一貫して支えるワンストップ体制です。
窓口を一本化することで、品質・コスト・工期のすべてを最適化します。
ワンストップ体制とコストメリットは次のとおりです。
・企画段階からの支援:構造の無料提案や概算見積りに対応し、基本構想の段階から伴走します。早い段階で構造とコストの見通しが立てば、計画の手戻りを防げます。
・リアルタイムな見積り:構造設計と積算を同時進行させることで、躯体費用を把握しながら予算内での最適解を探れます。
・木材調達への対応:唐松・桧など地域産材の調達にも対応し、調達計画を工程に織り込みます。
・高精度プレカット:CAD/CAMによる高精度加工で複雑な形状にも対応し、現場精度と工期短縮を両立します。
・施工体制の確保:全国のSE構法登録施工店ネットワークを活用し、プロジェクトに適した施工会社をご紹介できます。
非住宅木造・中大規模木造は、関わる関係者が多く、専門性も高い領域です。
構造設計からプレカット、施工支援までを一つの窓口に集約できることは、発注者の安心と、実務者の負担軽減に直結します。
まとめ

2026年9月11日に開催された「Wood Five Story」完成見学会は、SE構法による純木造5階建てビルという実物を通じて、中大規模木造・中高層木造の現在地を示すイベントとなりました。
横浜市磯子区の約213平方メートルという敷地に、延床703.3平方メートル・地上5階建て全階木造の建物が完成し、1階・2階はオフィス、3階から5階は共同住宅として使われます。
SE構法による木造5階建てとしては全国2棟目、首都圏エリアでは初のプロジェクトです。
見学会には設計者・施工者・建築主・事業主など多くの参加者が訪れ、コスト・防耐火・工期・構造設計といったテーマに質問が集中しました。
これらはいずれも、非住宅木造を検討する際に必ず論点となる要素です。
今回のプロジェクトでは、木造ラーメン構法と全棟構造計算、高強度耐力壁と高耐力柱脚金物、そして同規模RC造比で工期・コストともに約2割削減という見込みによって、その問いに具体的な答えが示されました。
木造5階建はもはや例外ではありません。
非住宅木造・中大規模木造をご検討の際は、構造設計から防耐火、コスト管理、施工体制までをワンストップで支えるSE構法に、ぜひご相談ください。
SE構法へのお問合せ、ご相談について
大規模木造をSE構法で実現するための流れは下記となります。
1.構造設計
SE構法を活用した構造提案を行います。企画段階の無料の構造提案・見積りから、実施設計での伏図・計算書作成、確認申請の指摘対応等を行っております。また、BIMにも対応可能です。
2.概算見積り
SE構法は構造設計と同時に積算・見積りが可能です。そのため躯体費用をリアルタイムで確認可能で、大規模木造の設計において気になる躯体予算を押さえつつ設計を進めることが可能です。
3.調達
物件規模、用途、使用材料を適切に判断して、条件に応じた最短納期で現場にお届けします。また、地域産材の手配にも対応しております。
4.加工
構造設計と直結したCAD/CAMシステムにより、高精度なプレカットが可能です。また、多角形状、曲面形状などの複雑な加工形状にも対応可能です。
5.施工
SE構法の登録施工店ネットワークを活用し、計画に最適な施工店を紹介します。(元請け・建方施工等)
6.非住宅版SE構法構造性能保証
業界初の非住宅木造建築に対応した構造性能保証により安心安全を担保し、中大規模木造建築の計画の実現を後押しします。
↓SE構法へのお問合せ、ご相談は下記よりお願いします。
https://www.ncn-se.co.jp/large/contact/
NCNは構造設計から生産設計(プレカット)までのワンストップサービスが強みです。
計画段階からご相談いただくことで、木構造デザインの木造建築に関する知見をうまく利用していただき、ファーストプランの段階から構造計画を相談いただくことで、合理的に設計を進めていただければと考えております。
集成材構法として実力・実績のある工法の一つが「耐震構法SE構法」です。SE構法は「木造の構造設計」から「構造躯体材料のプレカット」に至るプロセスを合理化することでワンストップサービスとして実現した木造の工法です。
また構法を問わず、木造の構造設計から構造躯体材料のプレカットに至るスキームづくりに取り組む目的で「株式会社木構造デザイン」が設立されました。
構造設計事務所として、「⾮住宅⽊造専⾨の構造設計」、「構造設計と連動したプレカットCADデータの提供」をメイン事業とし、構造設計と⽣産設計を同時に提供することで、設計から加工までのワンストップサービスで木造建築物の普及に貢献する会社です。
株式会社エヌ・シー・エヌ、株式会社木構造デザインへのご相談は無料となっておりますので、お気軽にお問い合わせください。






