【助成金情報】令和7年度JAS構造材実証支援事業まとめ
JAS構造材実証支援事業は、JAS構造材を活用する実証的取り組みに対し、その木材の調達費の一部が助成される仕組みです。
(一社)全国木材組合連合会より、「令和7年度JAS構造材実証支援事業」が発表されました。
本助成金は所定の要件を満たす非住宅木造建築に対して助成を得ることが可能な助成金制度です。
株式会社エヌ・シー・エヌ(以下NCN)では、建築実務者向けに向けて、通常の構造設計や構造躯体供給に加えて、助成金情報の発信や申請のアドバイス、サポートを提供しています。
このコラムでは、大規模木造で活用できる助成金について、木構造躯体供給メーカーの立場で伝えたいポイントを紹介します。(この記事は2025年6月2日時点の情報ですのでご注意ください。)
<このコラムでわかること>
・JAS構造材実証支援事業の概要
・JAS構造材実証支援事業の利用条件
・JAS構造材実証支援事業の助成対象となる木材製品
・令和7年度のJAS構造材実証支援事業の主な変更点
・令和7年度のJAS構造材実証支援事業の助成額
・令和7年度のJAS構造材実証支援事業の申請スケジュール
・JAS構造材実証支援事業へのNCNのサービス
・SE構法へのお問合せ、ご相談について
・まとめ
JAS構造材個別実証支援事業の概要
大規模木造で利用できる助成金として注目されているのが「JAS構造材実証支援事業」です。
JAS構造材実証支援事業とは、非住宅建築物等にJAS構造材を活用する実証的な取り組みに対し、その木材の調達費の一部を助成する仕組みです。
関連リンク:JASとは「日本農林規格」。JAS構造材の基礎知識
JAS構造材活用宣言事業における登録事業者(利用事業者)が、低層の戸建ての居住専用住宅・事業用併用住宅等を除く建築物(施主が国以外)において、構造部分にJAS構造材を利用することを通じて、設計、調達、施工時等におけるJAS構造材の利用に関する実態調査及び課題の抽出などを行うことを目的としています。
全国木材組合連合会より令和7年度の【JAS構造材実証支援事業】の公募が開始されています。詳しくは下記リンクをご確認ください。
JAS構造材実証支援事業に取り組む場合には、必ずご自身で公募要領のご確認をお願いします。
JAS構造材実証支援事業の利用条件
JAS構造材実証支援事業の対象とすることができる建築物は建築確認申請を提出し、且つ次の要件を満たす物件です。
JAS構造材実証支援事業の利用条件は下記です。
<対象物件>
・建築確認申請の建築主が国でないもの。
・建築確認申請において、構造計算を行ったことが確認できるもの。
・3階以下の居住専用住宅及び事業用併用住宅等を除く建築物。
・建築物において基礎より上部の部分において、本事業以外の国、地方公共団体、その他公的機関からの補助や助成を受けていないことが確認されたもの。
・新築及び増改築する助成対象の床面積(4階建て未満の建築物の非木造部分を除く)が 10 ㎡を超えるものであること。
・下記に定める指定する部位でJAS構造材を使用した建築物であること。
・実証事業の成果を林野庁又は全木連が無償で活用し公表できることを建築主が同意したもの。
・林野庁が作成した「建築物に利用した木材に係る炭素貯蔵量の表示に関するガイドライン」により炭素貯蔵量を算出するものであること。
JAS構造材実証支援事業の助成対象となる木材製品
大規模木造を建てることになると、木造でも構造計算が必須となります。
構造計算の必要な大規模木造においては、品質が明示されたJAS構造材は有利です。
JAS構造材実証支援事業の助成対象となる木材製品は下記です。
<助成対象となるJAS構造材>
次の三つのいずれかの要件を満たすことが求められています。
①JAS格付けされた機械等級区分構造用製材、または目視等級区分構造用製材(乾燥材に限る)が柱、梁桁、トラス、土台のいずれかに使用されること(一部でも可)
②JAS格付けされた2×4工法構造用製材及びたて継ぎ材(2×4用製材)、構造用集成材、構造用LVL、CLTが構造部の柱、壁、床、屋根、横架材のいずれかに使用されること(一部でも可)
③JAS格付けされた保存処理材が土台に使用されること
*助成対象となる木材は全て実証事業者が「クリーンウッド法」に基づき合法性の確認ができたものであることが必要です。
*詳細は公募要領・説明資料にてご確認ください。クリーンウッド法については、林野庁ホームページにてご確認ください。
関連リンク:中大規模木造の構造材の特性やメリット・デメリット
令和7年度のJAS構造材実証支援事業の主な変更点
令和7年度の主な変更点は下記です。
〇申請者要件
・JAS構造材活用宣言事業で利用者事業者として登録、且つ令和7年度を初年度とした3か年目標を有していること
〇事業申請、交付申請に必要な書類
・事業申請時に、事業者が実証するテーマを選択し自らが行う取組を設定。
また、交付申請時に、設定した実証テーマの取組成果を報告。【説明資料P27、P31、P32、P40、P62】
・事業申請時に「環境負荷低減の取組に関するチェックシート」を提出。【説明資料P32、P38】
〇助成対象物件
・建築確認申請において、構造計算を行ったことが確認できること
・住宅系(戸建て住宅、共同住宅、長屋等)は4階以上を対象
ただし、4階未満の共同住宅、長屋、寄宿舎、下宿のうち、延べ床面積 300m²超又は3階建ては宣言事業者ごとに1件可
・建築物用途区分の用途番号08010~08060は国産材活用住宅ラベルを有するものに限る【説明資料P65】
〇助成対象木材
・目視等級区分構造用製材(乾燥処理材)については、単独でJAS構造材とすることができる
令和7年度のJAS構造材実証支援事業の助成額
JAS構造材実証支援事業の助成額は下記です。
<助成額>
助成金額上限額:15,000,000円(ただし3,000㎡以上は、30,000,000円上限)
・JAS構造材使用材積 × 60,000円/m3
・構造用合板調達費 × 1/2
上記の合算金額が助成額となります。
採択された事業の助成予定額の合計が予算額を上回った場合には、助成額を調整(申請ごとに一律一定割合の金額を減)することがあります。
令和7年度のJAS構造材実証支援事業の申請スケジュール
JAS構造材実証支援事業では、活用宣言への登録と実証支援事業での事業申請と助成金交付申請の手続きが必要です。
1.活用宣言への登録
令和7年4月10日(木)~令和8年3月19日(木)
2.事業申請(事業へのエントリー)
令和7年6月2日(月)~令和7年6月20日(金)(必着)
※提出先:物件所在地の都道府県の地域木材団体
※先着順ではなく、途中で締め切ることはありませんが、書類に不備があった場合に受け付けられない場合があります。
3.助成金交付申請(使用したJAS構造材に応じた助成金の申請)
受付締切:令和7年11月28日(金)
上記以外に諸条件がございますので、申請時には必ず申請者自身で募集要項を確認の上、お申込みください。
エヌ・シー・エヌではSE構法を採用いただいた案件については、助成金申請サポートを行っております。
非住宅木造の構造設計・材料供給・助成金について、お困りの方はお気軽にお声がけください。
関連リンク:「ご依頼から施工まで(大規模建築におけるSE構法導入)」
SE構法へのお問合せ、ご相談について
大規模木造をSE構法で実現するための流れは下記となります。
1.構造設計
SE構法を活用した構造提案を行います。企画段階の無料の構造提案・見積りから、実施設計での伏図・計算書作成、確認申請の指摘対応等を行っております。また、BIMにも対応可能です。
2.概算見積り
SE構法は構造設計と同時に積算・見積りが可能です。そのため躯体費用をリアルタイムで確認可能で、大規模木造の設計において気になる躯体予算を押さえつつ設計を進めることが可能です。
3.調達
物件規模、用途、使用材料を適切に判断して、条件に応じた最短納期で現場にお届けします。また、地域産材の手配にも対応しております。
4.加工
構造設計と直結したCAD/CAMシステムにより、高精度なプレカットが可能です。また、多角形状、曲面形状などの複雑な加工形状にも対応可能です。
5.施工
SE構法の登録施工店ネットワークを活用し、計画に最適な施工店を紹介します。(元請け・建方施工等)
6.非住宅版SE構法構造性能保証
業界初の非住宅木造建築に対応した構造性能保証により安心安全を担保し、中大規模木造建築の計画の実現を後押しします。
↓SE構法へのお問合せ、ご相談は下記よりお願いします。
https://www.ncn-se.co.jp/large/contact/
まとめ
JAS構造材実証支援事業に取り組む場合には、必ずご自身で公募要領のご確認をお願いします。
NCNでは、SE構法で独自に構築したシステムを活用しながら木造住宅に用いられる材料を利用することで、大規模木造の建設にかかるコストと時間軸を抑える取り組みを行なっています。
それに加えて、大規模木造に関する助成金をうまく利用していただくことで、より厳しいコスト管理が要求される仕事においても、木造化が可能になります。
大規模木造に関する、基本的な質問・相談や、具体的な案件の相談等、経験豊富な専門スタッフが直接対応します。
NCNは構造設計から生産設計(プレカット)までのワンストップサービスが強みです。
計画段階からご相談いただくことで、木構造デザインの木造建築に関する知見をうまく利用していただき、ファーストプランの段階から構造計画を相談いただくことで、合理的に設計を進めていただければと考えております。
集成材構法として実力・実績のある工法の一つが「耐震構法SE構法」です。
SE構法は「木造の構造設計」から「構造躯体材料のプレカット」に至るプロセスを合理化することでワンストップサービスとして実現した木造の工法です。
また構法を問わず、木造の構造設計から構造躯体材料のプレカットに至るスキームづくりに取り組む目的で「株式会社木構造デザイン」が設立されました。
構造設計事務所として、「⾮住宅⽊造専⾨の構造設計」、「構造設計と連動したプレカットCADデータの提供」をメイン事業とし、構造設計と⽣産設計を同時に提供することで、設計から加工までのワンストップサービスで木造建築物の普及に貢献する会社です。
株式会社エヌ・シー・エヌ、株式会社木構造デザインへのご相談は無料となっておりますので、お気軽にお問い合わせください。