【長崎県】中大規模木造の実務ポイントとSE構法の技術
長崎県は、歴史的な木造文化と最先端の建築技術を融合させた「中大規模木造」の先進地域として注目されています。
グラバー園や出島に代表される多文化的な木造洋館の遺産を背景に、県は近年、木材利用促進法を受けた独自の方針を策定しています。
県産材やCLT等の木質材料を活用した公共・民間建築の木造化を推進しています。
木造化・木質化の実例も増えており、中高層建築への支援体制も整備され、木造技術と地域林業が連携しています。
この記事では長崎県における中大規模木造の実務ポイントとSE構法の技術についてお伝えします。
<このコラムでわかること>
・中大規模木造の普及が進む長崎県の特徴
・長崎県建築物等木材利用促進方針
・長崎県における公共建築物等の木材利用
・長崎県の中大規模木造に最適なSE構法の概要
・SE構法へのお問合せ、ご相談について
・まとめ
中大規模木造の普及が進む長崎県の特徴
長崎県は日本有数の木造建築・木材利用のポテンシャルを持ち、歴史と現代の技術・循環共生を融合した地域ならではの特色があります。
その特徴を歴史、公共政策・取り組み、先端事例という3つの視点からご紹介します。
1.歴史的背景と伝統建築
長崎市のグラバー園や出島などは、鎖国解除後に西洋文化が流入した拠点地域です。
グラバー園内に残る旧グラバー住宅などは、日本最古級の木造による西洋建築とされ、木造の洋館として貴重な文化遺産です。
これらは木造梁組み+洋風外装(アーチ窓・ベランダなど)の技術を示し、多文化的な工夫の例とされます。
平戸市のオランダ商館や長崎市の崇福寺・孔子廟など、中国・オランダの影響を受けた建築が多く残っています 。
また離島・対馬では、殖産建築に使われてきた平柱構法など地域独自の伝統木造技術が今も研究されています。
2.公共政策と木材利用促進
長崎県は「建築物等における木材の利用の促進に関する法律」に基づき、公共建築における県産材、九州産材の利用を推進しています 。
これは森林資源の「植える・育てる・伐る・使う」循環型利用を強化し、脱炭素・CO₂長期貯蔵の観点でも有効とされます。
長崎県は、木造・木質化アドバイザー制度を設置し、公共施設だけでなく民間住宅や木造中高層建築にも木材利用を促しています。
これにより設計・施工の技術支援が得られ、県産材需要の底上げが期待されています。
長崎県庁の最上階は木質耐火部材を採用して一部木造化しています。
3.先進モデルと地域産業との連携
ハウステンボス内「変なホテル」では、地元九州産、長崎県産スギが使われており、CLTや木質壁材を客室に多用しています。
木の香りと調湿・断熱特性を活かして、森林イメージの演出と地域林業支援を両立しています。
長崎県の木造建築・木材利用は、歴史的価値と現代の持続可能性を統合した地域モデルとして非常に豊かです。
グラバー洋館に代表される文化財的木造洋館から、CLT活用のホテルまで、技術・政策・産業が連動した循環型木材社会を目指しています。
これは建築と林業、地域経済、文化継承を包括的に連携するローカル・エコシステムとして、全国にも先駆けた取り組みです。
長崎県が次にどんな木造建築・まちづくりの風景を描いていくのか、今後も注目です。
長崎県建築物等木材利用促進方針
「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が施行され、長崎県においても、本法律を受け、「長崎県公共建築物等木材利用促進方針」が策定されました。
「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律(都市(まち)の木造化推進法)」で、再生可能な資源である木材の利用を促進することが、地球温暖化の防止・循環型社会の形成をするうえで重要となっていることから、木材の利用を促進する建築物が公共建築物から民間を含めた一般の建築物まで拡大されました。
長崎県ではこの法律の改正により、県の方針を改正し、公共建築物はもとより民間の一般の建築物を含めて、木材の利用の促進に取り組んでいます。
◾️背景・目的
森林の多面的機能(保水・環境保全・炭素貯蔵)を維持するには、県産材利用による林業活性化が不可欠です。木材は断熱・調湿など建築性能に優れ、製造時のエネルギーも少なく、カーボンニュートラル資材として脱炭素社会に貢献します。
◾️対象建築
公共性の高い建築(学校、福祉施設、庁舎、公営住宅等)の新築・増改築において、木質化・県産材の使用を推進しています。県・市・町だけでなく、それに準じる民間建築も対象です 。
◾️供給体制の整備
・県産木材の安定供給:材工分離方式・中大規模木造支援・建築士向け研修会など実務支援を実施。
・技術支援:CLT等先端木質素材の構造・防火基準の整備・設計・施工相談窓口の活用も推進。
◾️設計施工上の留意点
・木材特性(調湿性・断熱性・仕上がり美)を活かした空間設計を推奨。
・CLT等利用時には法規制(防火・構造)の最新情報を踏まえた構造計算が必要。
・公共事業では「木材利用マニュアル」の参照と県担当者との連携が円滑な木質化に有効。
◾️実務者へのアクション
1.設計図段階から県産材・CLT利用を検討
2.発注時に材工分離方式導入で供給確保
3.設計・施工上の相談窓口を早期活用
4.建築士会・技術者研修で最新知見・認証制度(構造・防火)を獲得
以上のポイントを踏まえることで、実務現場において「地域循環」「品質確保」「法規順守」がバランス良く進められ、脱炭素・高性能な木造建築の実現が期待できます。
長崎県における公共建築物等の木材利用
公共建築物は、広く国民一般の利用に供するものであることから、木材を用いることにより、木と触れ合い、木の良さを実感する機会を幅広く提供することができます。
このため、建築物木材利用促進基本方針では、公共建築物について、積極的に木造化を促進することとしています。
林野庁の資料「森林・林業白書」によると、青森県では下記のように木造率が推移しています。
・2017年度:
建築物全体(46.2%)、公共建築物(13.5%)、うち低層の公共建築物(31.4%)
・2019年度:
建築物全体(44.9%)、公共建築物(11.2%)、うち低層の公共建築物(24.9%)
・2021年度:
建築物全体(49.1%)、公共建築物(14.4%)、うち低層の公共建築物(30.2%)
2022年度以降に整備に着手する国の公共建築物については、建築物木材利用促進基本方針に基づき、計画時点においてコストや技術の面で木造化が困難であるものを除き、原則として全て木造化を図ることになっています。
長崎県の中大規模木造に最適なSE構法の概要
耐震構法SE構法(以下、SE構法)は、大規模木造建築物の技術を基に開発された技術です。
SE構法は構造計算された耐震性の高い木造建築を実現する、独自の建築システムです。
SE構法は耐震性の高さ、設計の自由度、コストパフォーマンスの良さ、ワンストップサービス等で高い評価を受けており、さまざまな大規模木造の実績が増えています。
SE構法は、単純に「剛性のある木質フレーム」というだけではなく、さまざまな利点を追求し、大規模木造で求められる大空間・大開口を可能にして、意匠設計者の創造性を活かせる設計の自由度を提供しています。
関連記事:耐震構法SE構法は全棟で立体解析による構造計算を実施
SE構法は「木造の構造設計」と「構造躯体材料のプレカット」そして施工というプロセスを合理化することでワンストップサービスとして実現した木造の工法です。その合理的なシステムが、設計・施工のプロセスにおいて納期や工期の短縮につながります。
関連記事:「ウッドショック等のリスクにSE構法のワンストップサービスが強い理由」
SE構法へのお問合せ、ご相談について
大規模木造をSE構法で実現するための流れは下記となります。
1.構造設計
SE構法を活用した構造提案を行います。企画段階の無料の構造提案・見積りから、実施設計での伏図・計算書作成、確認申請の指摘対応等を行っております。また、BIMにも対応可能です。
2.概算見積り
SE構法は構造設計と同時に積算・見積りが可能です。そのため躯体費用をリアルタイムで確認可能で、大規模木造の設計において気になる躯体予算を押さえつつ設計を進めることが可能です。
3.調達
物件規模、用途、使用材料を適切に判断して、条件に応じた最短納期で現場にお届けします。また、地域産材の手配にも対応しております。
4.加工
構造設計と直結したCAD/CAMシステムにより、高精度なプレカットが可能です。また、多角形状、曲面形状などの複雑な加工形状にも対応可能です。
5.施工
SE構法の登録施工店ネットワークを活用し、計画に最適な施工店を紹介します。(元請け・建方施工等)
6.非住宅版SE構法構造性能保証
業界初の非住宅木造建築に対応した構造性能保証により安心安全を担保し、中大規模木造建築の計画の実現を後押しします。
↓SE構法へのお問合せ、ご相談は下記よりお願いします。
https://www.ncn-se.co.jp/large/contact/
まとめ
非住宅木造においては、SE構法の構造躯体の強みを活かした構造設計により、コスト減、施工性向上を実現することができます。
SE構法は構造用集成材の中断面部材(柱は120mm角、梁は120mm幅)が標準なため、住宅と同等の部材寸法でスパン8m程度までの空間を構成できるコストパフォーマンスをうまく活用していただければと考えております。
スパンが10mを超える空間は、特注材やトラス、張弦梁などを活用することも可能です。
計画段階からNCNの特建事業部に相談することで、木造建築に関する知見をうまく利用していただき、ファーストプランの段階から構造計画を相談することで、合理的に設計実務を進めることが可能です。
集成材構法として実力・実績のある工法の一つが「耐震構法SE構法」です。SE構法は「木造の構造設計」から「構造躯体材料のプレカット」に至るプロセスを合理化することでワンストップサービスとして実現した木造の工法です。
また構法を問わず、木造の構造設計から構造躯体材料のプレカットに至るスキームづくりに取り組む目的で「株式会社木構造デザイン」が設立されました。
構造設計事務所として、「⾮住宅⽊造専⾨の構造設計」、「構造設計と連動したプレカットCADデータの提供」をメイン事業とし、構造設計と⽣産設計を同時に提供することで、設計から加工までのワンストップサービスで木造建築物の普及に貢献する会社です。
株式会社エヌ・シー・エヌ、株式会社木構造デザインへのご相談は無料となっておりますので、お気軽にお問い合わせください。