中大規模木造のコスト競争力を高めるポイントは「適材適所」に尽きる
中大規模木造を実現するための大きなポイントはコストです。欧米では、公共・民間を問わず、さまざまな中大規模木造建築物が建てられています。欧米で木造が選択されるのは、安くて合理的に建設できるからというシンプルな理由です。木造にコスト競争力があるから採用されるのであり、木造に関する過度なこだわりはありません。これから中大規模木造を増やしていくには、コスト競争力で選ばれる必要があります。そのためのポイントは木造の「適材適所」な利用に尽きます。
<このコラムでわかること>
・木造への過度なこだわりが中大規模木造の普及を妨げている
・中大規模木造普及のポイントは「適材適所」
・中大規模木造普及させるためにはコスト競争力を高める努力が必要
木造への過度なこだわりが中大規模木造の普及を妨げている
海外では今世紀に入り、CLTなどを使った中大規模木造建築物の建設が相次いでいます。「木造」に対する欧米の意識は、日本と決定的に異なっているのが実情です。
木を使うことを得意とする日本では、その文化や歴史ゆえに、構造躯体が木造であるべきだという理念が先行しがちで、「木を使っていること」を見せる点が重視されています。
中大規模木造普及のポイントは「適材適所」
中大規模木造普及のポイントは「適材適所」に尽きます。一般の木造を中大規模木造建築物で使うときの可能性を検証します。
まず木は比強度(同じ重さで比べたときの強度)では非常に強い素材ですが、強度は鉄骨に比べて劣ります。鉄骨造で最適化されているスパンの建物を単に木造に置き換えるという発想では、あまりメリットを得られません。
しかし、屋根面を木造とする建築物であれば、自重が軽いため構造上のメリットを発揮できます。例えば、事務所や店舗、倉庫など平屋建ての大スパンの建築物であれば、木造が有利です。
建物の用途や階数、スパンに応じて、適材適所で木造を採用することで、木材使用の拡大につながる可能性があります。
中大規模木造普及させるためにはコスト競争力を高める努力が必要
日本では法制度の整備など中大規模建築の木造化への追い風が吹いています。そのために必要なことはコスト競争力を高める努力です。
木造化を普及させるためにも、理念を先行させすぎずに、適材適所を考えて木造を設計し、中大規模木造の市場をつくっていく必要があります。発注者や設計者の木造のリテラシーを高めると同時に、木の生産者や施工者など関係者がメリットを得られる体制が必要です。
まとめ
木の利点として、加工性がよいことも上げられます。3D設計技術とCAD/CAMの加工技術の発展で複雑な架構も作れるようになっています。
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