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大規模木造で知っておくべき建築基準法のポイント

  • 大規模木造で知っておくべき建築基準法のポイント -

大規模の木造建築では、建築基準法上の扱いで一般的な木造住宅(4号建築物)と異なる点が多くあります。特に防火や耐火、避難などです。床面積が500m2を超えると2階建ての木造建築でも構造計算の対象になります。近年の法改正により木造建築が認められる範囲が徐々に広がっている傾向にありますので、大規模木造に取り組みやすい状況になっています。このコラムでは、大規模木造を計画する上で知っておきたい建築基準法のポイントについて、面積別、用途別に分けてお伝えします。

 

<このコラムでわかること>

大規模木造建築基準法の規定は面積や用途で厳しくなる

大規模木造における建築基準法の規定(店舗

大規模木造における建築基準法の規定(事務所

大規模木造における建築基準法の規定(保育所

大規模木造における建築基準法の規定(幼稚園

大規模木造における建築基準法の規定(高齢者施設

大規模木造における建築基準法の規定(宿泊施設

大規模木造における建築基準法の規定(共同住宅

大規模木造における建築基準法の規定(学校

・まとめ

 

大規模木造の建築基準法の規定は面積や用途で厳しくなる

大規模木造の建築基準法の規定は面積や用途で厳しくなる

 

大規模木造の建築基準法の規定は面積や用途で厳しくなる

建築基準法の規定の多くは階数、高さ、床面積などの「規模」や、建築物の「用途」によって決まります。床面積が大きくなればなるほど、防火地域や準防火地域ではより耐火性能の高い建築物にする必要が生じ、避難計画においても2以上の直通階段の設置が求められることが出てきます。

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床面積に応じて内装制限や小屋裏の隔壁、防火や排煙の区画、敷地内通路等も対象になります。

大規模木造で見逃しやすい建築基準法の規定としては、1,000m2を超える木造建築もしくは木造との混構造の建築物においては、道路に面した部分を除き、建物の周囲に原則3m以上(床面積3,000m2以下なら隣地境界線は1.5m以上)の通路を確保する必要があります。

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建築物の用途に関しては、学校、体育館、集会場、百貨店、市場、病院、旅館、共同住宅など建築基準法における特殊建築物に該当するかがポイントです。特殊建築物は、「不特定多数や避難弱者が使用する」といった理由から、戸建て住宅などに比べて防火や耐火、避難等の規定が厳しくなります。

大規模木造の設計のポイントは、耐火建築物と準耐火建築物への対応です。近年の建築基準法改正により、その規定の内容に大きな変更があります。

防耐火規制では、これまで建築物を「その他の建築物」「準耐火建築物」「耐火建築物」の3つに分類してきましたが、改正後は耐火建築物と同等の性能をもつ「準耐火建築物+α」という概念が登場しました。従来の準耐火建築物を上回る性能をもつ建築物です。

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以下の記事では、建物の用途別に建築基準法のポイントをお伝えします。

 

大規模木造における建築基準法の規定(店舗)

大規模木造における建築基準法の規定(店舗)

店舗は、法27条による特殊建築物です。建築基準法以外にも注意すべき規定などもあります。

木造の店舗で必要となる耐火性能は、3階建て以上は耐火建築物、2階建てで床面積の合計が500m2以上の場合は準耐火建築物とする必要があります。防耐火上、木造の耐火建築物以外するためには、3階以上の階を店舗の用途に使用せず、床面積の合計を3,000m2未満にする必要があります。

木造の店舗の場合、内装制限適用の規模に達しないものであれば内装を木材の現しのすることができます。また適用規模にかかわらず、天井面のみの準不燃材料で仕上げれば、その他の内装は全部木材仕上げですることも可能です。(平成12年建告1439号)

大規模木造における建築基準法の規定(店舗)の詳細については下記の記事をご参照ください。

木造で店舗を計画するための関連法規まとめ

 

大規模木造における建築基準法の規定(事務所)

大規模木造における建築基準法の規定(事務所)

事務所は、法27条による特殊建築物に該当しません。

そのため、大規模建築物の主要構造部に関する法21条の規定に従い、高さ13m以下、軒の高さが9m以下および延べ床面積が3,000m2以下の場合は、耐火・準耐火建築物以外の建築物として建設できます。

木造の事務所の場合、内装制限は該当する規模になると、内装に不燃材料、準不燃材料、難燃材料等の使用が必要などの制限がかかります。

大規模木造における建築基準法の規定(事務所)の詳細については下記の記事をご参照ください。

木造で事務所を計画するための関連法規まとめ

 

大規模木造における建築基準法の規定(保育所)

大規模木造における建築基準法の規定(保育所)

保育所は、建築基準法上「児童福祉施設」に分類され、法27条による特殊建築物です。

保育所を計画する際に注意すべきことは、建築基準法以外にも「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」を満たす必要があることです。児童福祉施設の設備及び運営に関する基準には居室の面積の規定があります。

木造の保育所の場合、内装制限適用の規模に達しないものであれば内装を木材の現しのすることができます。また適用規模にかかわらず、天井面のみ準不燃材料で仕上げれば、その他の内装は全部木材仕上げですることも可能です。(平成12年建告1439号)

保育所は、都市計画法上の建設地域の条件はありません。都市計画上の全地域に建てることができます。

大規模木造における建築基準法の規定(保育所)の詳細については下記の記事をご参照ください。

木造で保育所を計画するための関連法規まとめ

 

大規模木造における建築基準法の規定(幼稚園)

大規模木造における建築基準法の規定(幼稚園)

幼稚園は、建築基準法上「学校」に分類され、法27条による特殊建築物です。

幼稚園を計画する際に注意すべきことは、建築基準法以外にも学校教育法の「幼稚園設置基準」を満たす必要があることです。

木造の幼稚園で必要となる耐火性能は、建築基準法における耐火性能に関する規定よりも厳しい規定です。基本的に園舎は2階建て以下を原則としています。保育室、遊戯室および園児の便所は原則として1階に設けなければなりません。ただし耐火建築物とすれば2階に設けることができます。

幼稚園は、特殊建築物の内装制限および建物の規模による内装制限の対象外です。ただし、火器使用室、地階や無窓居室およびその避難経路は内装制限を受けます。

大規模木造における建築基準法の規定(幼稚園)の詳細については下記の記事をご参照ください。

木造で幼稚園を計画するための関連法規まとめ

 

大規模木造における建築基準法の規定(高齢者施設)

大規模木造における建築基準法の規定(高齢者施設)

高齢者施設の多くは、建築基準法27条による特殊建築物です。

高齢者施設は基本的に建築基準法施行令19条により児童福祉施設等に含まれます。建築基準法では、階数や床面積の規模に応じた耐火性能が求められています。

主に要介護状態の方を対象とした高齢者施設である「特別養護老人ホーム」を計画する際に注意すべきことは、「特別養護老人ホームの設備および運営に関する設置基準」に規定があることです。その規定では2階建て以上の場合は「耐火建築物」、平屋建ての場合は「準耐火建築物」が基本となります。

主に自立状態の方を対象とした高齢者施設である「ケアハウス」を計画する際に注意すべきことは、社会福祉法による「軽費老人ホームの設備および運営に関する設置基準」に耐火性能に関する規定があることです。原則として、準耐火建築物以上とする必要があります。3階建て以上の場合や3,000m2を超える場合は耐火建築物としなければなりません。ただ平屋建てで、安全性の確保の措置をした上で、都道府県知事等が認めた場合は、耐火建築物・耐火建築物以外の建築物として木造で計画することができます。

大規模木造における建築基準法の規定(高齢者施設)の詳細については下記の記事をご参照ください。

木造で高齢者施設を計画するための関連法規まとめ

 

大規模木造における建築基準法の規定(宿泊施設)

大規模木造における建築基準法の規定(宿泊施設)

宿泊施設は、法27条による特殊建築物です。

旅館業法において宿泊施設の種別に応じて設置基準があり、客室の面積等の要件があります。計画の規模に応じて、必要となる耐火性能も変わります。

木造の宿泊施設は、耐火要件による構造のグレードが上がる規模は、「2階部分の宿泊施設の用途に供する床面積300m2」、「高さ13m、軒高9m」、「延床面積3,000m2」、「3階建て」の4つのポイントがあります。

木造の宿泊施設の場合、火気使用室、地階や無窓居室およびその避難経路は内装制限を受けます。居室の内装は、平成12年建告1439号により天井面のみを準不燃材料で仕上げれば、その他の内装は木材仕上げですることも可能です。

大規模木造における建築基準法の規定(宿泊施設)の詳細については下記の記事をご参照ください。

木造で宿泊施設を計画するための関連法規まとめ

 

大規模木造における建築基準法の規定(共同住宅)

大規模木造における建築基準法の規定(共同住宅)

共同住宅は、法27条による特殊建築物です。法27条1項により3階以上を特殊建築物の用途に供する建築物は、耐火建築物とする必要があります。

共同住宅については、利用者が特定の者で建物の構造を充分に理解していること、円滑な避難が期待できること、および各住戸ごとに小規模区画されており火災の拡大が比較的遅いことなど、防火上や避難上、他の特殊建築物に比べて有利な条件を有していることから、防火および避難に関する一定の技術基準に適合する1時間準耐火建築物とすることができ、防火地域以外の区域内に建設することが可能です。

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木造の共同住宅の場合、内装制限は、該当する規模になると、内装に不燃材料、準不燃材料、難燃材料等の使用が必要などの制限がかかります。

大規模木造における建築基準法の規定(共同住宅)の詳細については下記の記事をご参照ください。

木造で共同住宅を計画するための関連法規まとめ

 

大規模木造における建築基準法の規定(学校)

大規模木造における建築基準法の規定(学校)

学校は、建築基準法27条による特殊建築物です。

建築基準法では、階数や床面積の規模に応じた耐火性能が求められています。学校を計画する際に注意すべきことは、学校教育法の設置基準によって必要最低床面積が規定されていることです。そのため、生徒数によっては耐火建築物や準耐火建築物でしか建設できない場合もあります。

2015年の建築基準法の改正により、3階建ての学校等について一定の延焼防止措置を講じた1時間準耐火構造の建築物とすることが可能になり、木造の学校等が建てやすくなりました。

また、これらの規模の建築物であっても 3,000m2以内毎に耐火性の高い壁等で区画することで、耐火構造以外の建築物とすることができるようになり、3,000m2を超える木造の建築物が建てやすくなります。

大規模木造における建築基準法の規定(学校)の詳細については下記の記事をご参照ください。

木造で学校を計画するための関連法規まとめ

 

まとめ

木造で施設を計画する際には、建築基準法に加え、関連する条例等を遵守することが求められます。

法律や条例等は常に改正されていきますし、その解釈や運用については該当の行政窓口や指定検査確認機関等により異なりますので、本コラムの内容は「記事掲載時の一般的な考え方」であることのご理解、ご了承をお願いします。

建築実務者の皆様においては、常に最新の法規等の情報をチェックしつつ、該当の行政窓口や指定検査確認機関等によく内容を確認をしてから設計や施工を進めていただくようお願い申し上げます。

 

大規模木造を設計するのに使い勝手がよい工法は集成材構法です。大スパン・大空間が求められる大規模案件においては、設計、供給、施工、コストパフォーマンスの良さが、高い次元で成立している工法が求められます。

集成材構法として実力・実績のある工法の一つが「耐震構法SE構法」です。SE構法は「木造の構造設計」から「構造躯体材料のプレカット」に至るプロセスを合理化することでワンストップサービスとして実現した木造の工法です。

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また構法を問わず、木造の構造設計から構造躯体材料のプレカットに至るスキームづくりに取り組む目的で「株式会社木構造デザイン」が設立されました。構造設計事務所として、「⾮住宅⽊造専⾨の構造設計」、「構造設計と連動したプレカットCADデータの提供」をメイン事業とし、構造設計と⽣産設計を同時に提供することで、設計から加工までのワンストップサービスで木造建築物の普及に貢献する会社です。

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