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WOODEN STRUCTURE中大規模木造

店舗、事務所、倉庫、福祉施設等の非住宅の木造化で期待のJAS構造材

  • 店舗、事務所、倉庫、福祉施設等の非住宅の木造化で期待のJAS構造材 -

木材は建築物に使用する際に、他の構造材料と比較して、軽いわりに強く、適度の調湿機能などがあり、人にとって快適な材料です。現在、日本の森林資源は人工林を中心に伐採の適期を迎えて、建築分野で使いやすい木材が取れることもあり、とても豊かになっています。木材の需要拡大で期待されるのは、福祉施設、店舗、事務所、倉庫などの「低層非住宅」の木造化です。中大規模木造では、JAS構造材の製材で設計の自由度が広がる可能性があり、同時に「JAS構造材」の普及にも期待がかかります。

 

<このコラムでわかること>

・期待されるJAS構造材の利用拡大。日本の森林資源は活用時期に

店舗、事務所、倉庫、福祉施設等の低層非住宅木造化を推進

・品質が明示されたJAS構造材中大規模木造設計の幅を広げる

非住宅で求められるJAS構造材の課題は構造設計部材供給

・まとめ

 

期待されるJAS構造材の利用拡大。日本の森林資源は活用時期に

日本の森林資源は人工林を中心に毎年増加しています。主に、スギやヒノキ、カラマツなどの人工林です。

日本の森林資源は、戦後の木材需要を満たすために大量に消費され、一度は枯渇しかけました。その後、植林し、再生したものが、一般的な「主伐期」である50年を超えて活用の時期を迎えています。森林資源は、適切に管理すれば再生可能で、永続的に活用することができます。

資源の少ない日本にあって、森林資源はとても大きな可能性を持っています。木材自給率も徐々に回復してきました。日本の人工林が育っていることもあり、原木が太くなっているので、品質のよい製材、あるいは断面が大きい製材を、以前よりも確保しやすい状況にあります。

建築分野で木材の需要を拡大するには、これまでほとんど木造でつくられてこなかった「低層非住宅」や「中高層建築」の木造化の推進が不可欠です。そして鍵となるのが、JAS構造材の利用拡大です。

 

店舗、事務所、倉庫、福祉施設等の低層非住宅の木造化を推進

現在、建築用の木材の多くは木造住宅で使われています。人口減少と少子高齢化が進むに連れて、新築住宅の需要は低下すると予測されています。

そのとき木材需要で期待されるのが、「低層非住宅」や「中高層建物」の分野です。住宅とそれほど技術的な違いのない低層非住宅は鉄骨造が圧倒的多数を占めています。低層非住宅の木造化を進めていくためには「鉄骨造から木造へ」という流れをつくる必要があります。

新築住宅の減少が予測されるだけに、これまで木造を主体としてきた設計者や工務店にとっても、低層非住宅は重要な市場になる可能性があります。

木造に対する関心は、設計者や施工者だけでなく、発注者の間でも高まっています。公共施設に限らず、民間の建物も発注者の意向で木造を検討するケースが増えてきています。発注者の意識が変わってきた背景には、注目されているSDGsESG投資の観点もあります。

「木造建築は「SDGs」や「ESG投資」でも企業価値を高められる理由」はこちらです。

低層非住宅の木造化として、需要が増えることが期待できる建物用途は主に下記です。

・店舗

・事務所

・倉庫

・高齢者施設:有料老人ホーム、デイサービスセンター、サービス付高齢者向け住宅

・教育施設:保育園、幼稚園、認定こども園

・医療施設:医院、診療所

・福祉施設:障害者施設

中大規模木造は、住宅より大きなスパンが必要だったり、部材レベルから検討すべきことも多かったりしますので、設計の早い段階から構造設計者と相談することが重要です。

 

品質が明示されたJAS構造材が中大規模木造の設計の幅を広げる

ある規模以上の中大規模木造を建てることになると、木造でも構造計算が必須となります。構造計算の必要な中大規模木造においては、品質が明示されたJAS構造材は有利です。

JAS構造材の基礎知識についてはこちらです。

一般的な製材は自然素材なので1本ずつバラツキがあります。JAS材はJAS規格に基づいて認証工場で格付けを行うため、明確に品質が示される利点があります。例えば、製材を用いて準耐火構造の燃えしろ設計をする場合は、原則としてJAS材を使うことになります。

ただ、現実的に木造建築は構造的に製材だけで成り立たないこともあります。スパンや荷重条件などによる適切な工法、部材選定が必要です。建物用途や設計内容に応じて、構造用集成材やCLTなどの木質材料を適材適所で使い分けることも大切です。

中大規模木造の設計では、主に構造面でスパンや壁量などで「限界」があることも事実です。鉄骨造や鉄筋コンクリート造に慣れた実務者は、木造固有な事情を理解して対応することが求められます。

 

非住宅で求められるJAS構造材の課題は構造設計と部材供給

製材の利用拡大や低層非住宅の木造化を図っていこうとするとき、大きな課題は構造設計と部材供給です。

構造設計については、無等級材を使うよりも、品質の裏付けがあるJAS材を用いるほうが安心です。現状ではJAS構造材に対する認識や理解も十分に広がっていないので、発注者や設計者への情報提供が求められています。

部材供給については、製材のJAS構造材の流通量が少ない点です。同じ構造用の木材でも、集成材は基本的にはJAS材以外のものは市場にあまり流通していません。

製材のJAS構造材が少ない要因はいくつかあります。大きな要因は、これまでは木材の強度性能を明示しなくても設計できる木造住宅が中心だったことにあります。中大規模木造では、住宅にはない大スパンの空間が必要とされることがあります。

これから中大規模木造をつくるようになると、木材の強度性能が明示されたJAS構造材を使うほうが、経済性や設計の自由度の面で有利になる可能性が十分にあります。

建築基準法等の緩和もあり、木造の高層化も進むと予想されます。高層になるほど構造の重要性も増すので、材料が規格化されているJAS構造材が果たす役割は大きいです。

 

まとめ

住宅だけでなく非住宅の分野でも木造を推進することで、森林資源の活用と循環に貢献でき、さらに後継者不足などの課題が指摘される林業の活性化にもつながります。

中大規模木造の普及には、製材品質の確実性が重要であり、それにはJAS規格が大きな役割を果たします。JAS構造材はあまりコストアップもなく、品質が担保されていることが大きな利点です。

中大規模木造を設計・施工する際にコストパフォーマンスを高めるためには、部材断面の小さい一般流通材をなるべく使用し、特注の大断面部材や接合金物を減らし、加工や組み立ての容易な製材を多く用いることがポイントです。

中大規模木造は、設計の早い段階から木造が得意な構造設計事務所や、木構造メーカーなどに相談することが重要です。

 

全国木材組合連合会様より令和2年度の【JAS構造材個別実証事業】の第一次公募が開始されました。

JAS構造材に関する助成金についてはこちらです。

令和2年度より、対象物件・材料が追加されており、より活用し易くなっております。

NCNでは、SE構法によるJAS構造用集成材を活用した、非住宅の構造設計のご提案、構造材料の手配・プレカット、施工者のご紹介に合わせまして、本事業に関しまして、上記ご提案と申請サポートをさせていただいております。

NCNへのご相談は無料となっておりますので、お気軽にお問い合わせください。

 

【次回のコラム→「改正民法で契約ルールが変わる!瑕疵から契約不適合へ」 改正民法について気になるポイントを2回に分けて解説します。】