木造建築.jpは移転しました。

このメッセージは木造建築.jpにアクセスいただいた方に向けて表示しています。

耐震構法SE構法で建てる大規模木造建築のサイトをご覧いただきありがとうございます。木造建築.jpは、2017年4月のリニューアに際して現在表示中のURLに移動しました。旧サイトをブックマークされている方は、お手数ですが新しいURLをご登録いただきますようお願いします。

株式会社エヌ・シー・エヌ

このメッセージを閉じる

WOODEN STRUCTURE中大規模木造

  • 大規模木造で保育所を計画するための法規まとめ -

 大規模木造は、幼児施設(保育所・幼稚園・認定こども園等)に求められる設計に対応可能です。幼児施設を計画する際に、鉄骨造ではコストや工期に対応できない場合は、大規模木造が有効な選択肢となります。

 保育所は、建築基準法上「児童福祉施設」に分類され、法27条による特殊建築物です。保育所を計画する際に注意すべきことは、建築基準法以外にも「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」を満たす必要があることです。

 このコラムでは、木造で保育所を実現するための関連法規の規定についてポイントをお伝えします。

 

<このコラムでわかること>

大規模木造建築計画における建築基準法のポイント

大規模木造保育所における耐火上の要件

大規模建築物の防火措置による高さ制限

大規模木造保育所における内装制限

・大規模木造保育所における防火区画立地制限

・大規模木造保育所に必須な児童福祉施設の設備及び運営に関する基準

・大規模木造保育所に適している理由

SE構法へのお問合せ、ご相談について

・まとめ

 

<エヌ・シー・エヌ保育園実例

那珂川道善コスモス保育園

ニプロ大館工場 企業内保育所

 

大規模木造の建築計画における建築基準法のポイント

大規模木造の建築計画における建築基準法のポイント

建築基準法の規定の多くは階数、高さ、床面積などの「規模」や、建築物の「用途」によって決まります。床面積が大きくなればなるほど、防火地域や準防火地域ではより耐火性能の高い建築物にする必要が生じます。

関連記事:大規模木造で知っておくべき建築基準法のポイント

防耐火規制においてはこれまで建築物を「その他の建築物」「準耐火建築物」「耐火建築物」の3つに分類してきました。改正後は耐火建築物と同等の性能をもつ「準耐火建築物+α」という概念が登場しました。従来の準耐火建築物を上回る性能をもつ建築物です。

関連記事:木造の準耐火建築物の可能性が広がる!改正建築基準法の解説

耐火建築物が必須となる要件が「高さ16m超」に緩和されたことを踏まえ、基準が合理化されました。

関連記事:木造でも高さ16m以下であれば防耐火要求無し!改正建築基準法の解説

木を現しとした木造4階建(主要構造部は75分準耐火構造)などの先行事例も登場しており、仕様規定化による効率化が期待されます。

関連記事:【新潮流】非住宅で木造4階建てが増えている理由

 

大規模木造の保育所における耐火上の要件

木造の保育所で必要となる耐火性能は、建築基準法以外にも児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(以下「児」と略す)等が定められており、これに従って都道府県ごとに条例が定められています。これらは建築基準法における防火・耐火性能に関する規定よりも厳しい規定です。

保育室等(乳児室、ほふく室、保育室または遊戯室)を何階に計画するかによって、耐火性能の要求水準が変わります。

下記の表で、階数別、高さ別、規模別に耐火上の要件をまとめます。

保育所における耐火上の要件

<備考>

・「その他の建築物」とは、耐火建築物・準耐火建築物以外の建築物のことです。

・複合用途の建築物とする場合は、上表だけとは限りません。

・本記事は2022年8月末段階の法規の情報となりますのでご注意ください。

・建築基準法や児童福祉施設の設備及び運営に関する基準の改正により、内容が変更することがあります。

 

 

大規模建築物の防火措置による高さ制限

高さ16mを超えても、地階を除く階数が4階建て以下であれば、階数に合わせた防火措置を行うことで、主要構造部を耐火構造としなくても建てられます。

建築基準法では、防・耐火上の構造や規模、室の用途により、内装に準不燃材料、難燃材料等の使用が必要になるなどの制限がかかります。

なお、内装制限は75分準耐火措置と1時間準耐火の措置は特定準耐火建築物として、30分の加熱に耐える措置は「その他」の制限となります。

防火措置による高さ制限の回避

 

非住宅の場合、規模や建築基準法、各種基準により、耐火建築物や準耐火建築物の仕様が求められることが多くなります。このため、防火・耐火のコストをできるだけ上げないように、建築計画を慎重に検討する必要があります。

関連記事:木造でも耐火建築物は可能!大規模木造における耐火建築物まとめ

関連記事:広がる木造準耐火の可能性!大規模木造における準耐火建築物まとめ

 

大規模木造の保育所における内装制限

保育所の場合、内装制限適用の規模に達しないものであれば内装に木材を現しにすることができます。また適用規模にかかわらず、天井面のみを準不燃材料で仕上げれば、その他の内装は全部木材仕上げですることも可能です。(平成12年建告1439号)

耐火構造による建築物または準耐火建築物(イ準耐)で床面積100m2以内ごとに準耐火構造の床もしくは壁または防火設備で区画されている部分の居室は内装制限は受けません。

内装制限は、下記の表に該当する規模になると、内装に不燃材料、準不燃材料、難燃材料等の使用が必要などの制限がかかります。 

大規模木造の保育所における内装制限

<備考>

・その他:火器使用室、地階や無窓居室および避難経路は内装制限を受けます。

・本記事は2022年8月末段階の法規の情報となりますのでご注意ください。

・建築基準法や児童福祉施設の設備及び運営に関する基準の改正により、内容が変更することがあります。

 

大規模木造の保育所における防火区画と立地制限

保育所で3階以上の保育室等を設ける場合、建築基準法以外にも、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(児32条8号ニ)において防火区画に関する規定がありますので確認する必要があります。

保育所は、都市計画法上の建設地域の条件はありません。都市計画上の全地域に建てることができます。

 

大規模木造の保育所に必須な児童福祉施設の設備及び運営に関する基準

保育所に必須な児童福祉施設の設備及び運営に関する基準には居室の面積の規定があります。

・乳児室      :乳児1人あたり床面積(児32条2号):1.65m2以上

・ほふく室     :乳児1人あたり床面積(児32条3号):3.3m2以上

・保育室または遊戯室:幼児1人あたり床面積(児32条6号):1.98m2以上

・屋外遊戯室    :幼児1人あたり床面積(児32条6号):3.3m2以上

保育所については、建築基準法、消防法の規定以外にも児童福祉施設の設備及び運営に関する基準で階段や避難器具の設置の規定があります。

また3階建て以上の場合は、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(児32条8号ホ、チ)において、内装制限や防災対象物品の使用についての規定がありますので確認する必要があります。

 

大規模木造が保育所に適している理由

大規模木造が保育所に適している理由

大規模木造が保育所に適している理由は下記です。

1.工期が短いため補助金事業に対応しやすい

保育所は公的な補助金で建設されることが多いです。補助金事業で保育所を実現するには、「年度内に竣工」するための短工期に対応する必要があり、そのために最も適した工法が「木造」になります。

例えばNCNが提供するSE構法は、一般に流通している構造用集成材を採用している工法のため、原則構造材発注後60日間以内で構造材を現場に搬入することが可能です。

また、木造は鉄骨造と比べ、世の中の情勢に影響されにくく、通年を通して納期が安定しているため、工程を組み立てやすいです。構造躯体の加工も全て提携するプレカット工場で加工後に現場に搬入しますので、工事着工から建て方まで短期間にスムーズに進められます。

関連記事:補助金事業には木造がベスト!木造がRC造やS造より工期短縮できる理由

 

2.木造化・木質化の流れに対応できる

カーボンニュートラル実現には、森林資源の循環利用と人工林の若返りとともに、木材利用の拡大が有効です。特に非木造がほとんどを占める中大規模の非住宅建築で木材利用を進めることが重要です。

関連記事:大規模木造とSDGs・脱炭素・ESG投資の相性が良い理由

 

3.木材や建材のトレーサビリティに関心が高まっている

近年、ESG(環境・社会・ガバナンス)投資で木造建築が注目されています。特に木材の調達については、持続可能な材料か、生産現場で人権侵害はないかなどの証明が今まで以上に求められるようになっています。

関連記事:大規模木造で知っておきたい森林認証制度(FSC、PEFC)の概要

 

4.木造建築は人や環境に優しい

木の温かみ、香りは人の気分を和らげてくれる沈静作用があります。木はやすらぎと心地よさをもたらしてくれる優しい材料です。

教育施設の調査において木材利用は、子ども達のストレス緩和、集中力の向上、インフルエンザや怪我の抑制効果などの報告があり、木造の建物は健康にも優しい建築物です。

関連記事:中大規模木造は人や環境に優しい理由

 

SE構法へのお問合せ、ご相談について

SE構法へのお問合せ、ご相談について

大規模木造をSE構法で実現するための流れは下記となります。

1.構造設計

SE構法を活用した構造提案を行います。企画段階の無料の構造提案・見積りから、実施設計での伏図・計算書作成、確認申請の指摘対応等を行っております。また、BIMにも対応可能です。

 

2.概算見積り

SE構法は構造設計と同時に積算・見積りが可能です。そのため躯体費用をリアルタイムで確認可能で、大規模木造の設計において気になる躯体予算を押さえつつ設計を進めることが可能です。

 

3.調達

物件規模、用途、使用材料を適切に判断して、条件に応じた最短納期で現場にお届けします。また、地域産材の手配にも対応しております。

 

4.加工

構造設計と直結したCAD/CAMシステムにより、高精度なプレカットが可能です。また、多角形状、曲面形状などの複雑な加工形状にも対応可能です。

 

5.施工

SE構法の登録施工店ネットワークを活用し、計画に最適な施工店を紹介します。(元請け・建方施工等)

 

6.非住宅版SE構法構造性能保証

業界初の非住宅木造建築に対応した構造性能保証により安心安全を担保し、中大規模木造建築の計画の実現を後押しします。

 

↓SE構法へのお問合せ、ご相談は下記よりお願いします。

https://www.ncn-se.co.jp/large/contact/

 

まとめ

木造で施設を計画する際には、建築基準法に加え、関連する条例等を遵守することが求められます。法律や条例等は常に改正されていきますし、その解釈や運用については該当の行政窓口や指定検査確認機関等により異なりますので、本コラムの内容は「記事掲載時の一般的な考え方」であることのご理解、ご了承をお願いします。

建築実務者の皆様においては、常に最新の法規等の情報をチェックしつつ、該当の行政窓口や指定検査確認機関等によく内容を確認をしてから設計や施工を進めていただくようお願い申し上げます。

 

SE構法は構造用集成材の中段面部材(柱は120mm角、梁は120mm幅)が標準なため、住宅と同等の部材寸法でスパン8m程度までの空間を構成できるコストパフォーマンスをうまく活用していただければと考えております。スパンが10mを超える空間は、特注材やトラス、張弦梁などを活用することも可能です。

計画段階からNCNの特建事業部に相談することで、木造建築に関する知見をうまく利用していただき、ファーストプランの段階から構造計画を相談することで、合理的に設計実務を進めることが可能です。

 

集成材構法として実力・実績のある工法の一つが「耐震構法SE構法」です。SE構法は「木造の構造設計」から「構造躯体材料のプレカット」に至るプロセスを合理化することで設計から施工までをワンストップサービスとして実現した木造の工法です。

「耐震構法SE構法」へのご相談はこちらです。

 

また工法を問わず、木造の構造設計から構造躯体材料のプレカットに至るスキームづくりに取り組む目的で「株式会社木構造デザイン」が設立されました。構造設計事務所として、「⾮住宅⽊造専⾨の構造設計」、「構造設計と連動したプレカットCADデータの提供」をメイン事業とし、構造設計と⽣産設計を同時に提供することで、設計から加工までのワンストップサービスで木造建築物の普及に貢献する会社です。

「木構造デザイン」へのご相談はこちらです。

 

株式会社エヌ・シー・エヌ、株式会社木構造デザインへのご相談は無料となっておりますので、お気軽にお問い合わせください。